
「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」は、ハリーたちがホグワーツで体験したクリスマスをテーマにした特別企画。昨年の開催では、大きなツリーやごちそうに囲まれた大広間の装飾が中心だったが、今年はさらにスケールアップ。グリフィンドールの男子寮やダイアゴン横丁、さらにはホグワーツ城の模型まで、劇中に登場した印象的なクリスマスの雰囲気を存分に味わうことができるように。
劇中でハリーたちが経験したクリスマスや雪景色に包まれた名シーンの数々を、ストーリーや裏話と共に振り返りながら、「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」の魅力を写真たっぷりで紹介していこう!

■ホグワーツといえば大広間!“魔法”に満ちた、宙に浮く400本のキャンドルや豪勢なごちそうがお出迎え
数々の印象的なシーンが生まれた場所である、ホグワーツ魔法魔術学校の大広間。今回の「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」では、400本のキャンドルが天井に浮かび、第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)でハリーが大広間に入った時の圧倒的な景色を体験することができる。



入学時のシーンでは、大広間に足を踏み入れた新入生たちが、夜空のように見える天井や美しく輝くたくさんのキャンドルに「わぁ!」と感嘆の声をもらしていた。ハリーたちと同じように、この場面で一気に“魔法の世界”の魅力に惹き込まれた人も多いことだろう。
『ハリー・ポッターと賢者の石』の撮影当初、大広間のキャンドルの撮影には本物のロウソクが使用されていたのだが、風でワイヤーに炎が触れてしまう問題が発生。安全上の理由から特殊効果を使うことになったのだとか。「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」では、ライトを使って映画さながらの臨場感で宙に漂うキャンドルを実現させている。

もちろんホグワーツに欠かせないごちそうもたっぷり。ダンブルドア校長の魔法によって始まった豪勢な宴では、大きなお皿いっぱいに盛り付けられた料理が印象的。食いしん坊のロンが両手にチキンを握りしめてかぶりつく姿は印象に残っている人も多いはず。


これらのごちそうも、撮影時に使用された食品サンプルと同じ型を使って成形されたリアルサイズのもの。ローストポテトやグリーンピース、ケーキやクリスマスプディングなど、イギリスの伝統的なクリスマスのごちそうが並び、寮ごとに色分けされたクリスマスクラッカーなど、映画そのままの光景を忠実に再現しながらも、本物の料理と同じように一つ一つ微妙な違いがあるのがポイントだ。


そんな大広間でのクリスマスシーンといえば、やはり『ハリー・ポッターと賢者の石』が印象的。クリスマス休暇で家に帰る生徒が多いなか、ハリーとロンは学校に残ることに。荷造りを済ませたハーマイオニーが大きなトランクを引いて大広間に入ってくると、ハリーとロンは仲良く“魔法使いのチェス”をやっていた。今回の特別展示では、ハーマイオニーが思わず「野蛮だわ!」と言っていたチェスに興じるハリーとロンの姿も見ることができる。
■グリフィンドールの談話室&男子寮には、思い出と友情がいっぱい!


クリスマスといえば、談話室でのハリーとロンのやり取りも思い出深い。クリスマスの朝、ロンの「メリークリスマス!」という呼びかけで起きてきたハリー。ロンは母モリーから届いたイニシャル入りの手編みのセーターを恥ずかしそうに着ており、ハリーにもプレゼントが届いていることを伝えてくれる。ハリーにとって、人生で初めて愛情のこもったクリスマスプレゼントを手にする瞬間だ。
そしてもう一つ、送り主不明で贈られたプレゼントを開けてみると、中身はかつて父ジェームズが使っていた「透明マント」だった。これが後々ハリーにとって欠かせないアイテムとなるのはシリーズを観ればわかるはず。家族の絆を再確認したり、ロンとの友情を深めたり、まさに「ハリー・ポッター」シリーズにとって欠かせない要素が詰まった胸が熱くなるクリスマスシーンだった。


スタジオツアー東京内のセットでは、そんなクリスマスの朝の光景が忠実に再現されている。ツリーやリボンで彩られた談話室に、イニシャル入りのセーターを着たハリーとロン。
また、男子寮では、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(05)で三大魔法学校対抗試合の伝統として開催されるクリスマスの舞踏会に向けて、ダンスの特訓に励んでいたネビル・ロングボトムの姿も。思春期真っ只中のハリーたちが女子たちを意識したり、子どもから大人へと一歩踏み出そうとする姿が描かれる本作には、多くの人がソワソワ&キュンキュンとさせられたことだろう。


■ ホグワーツ生御用達のダイアゴン横丁&ホグズミード村で、映画の特殊効果を目撃!
グリンゴッツ銀行やオリバンダーの店など、ホグワーツ生御用達のダイアゴン横丁もすっかり雪景色に。映画本編ではいつも新学期の前に訪れる場所なので、雪が積もっている様子を見られるのはちょっぴり貴重かも。


実は『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)以降で登場するホグズミードは、ダイアゴン横丁のセットの一部に装飾を施して撮影が行われている。劇中では、保護者のサインが得られず1人だけホグズミードに外出できなかったハリーだが、イタズラ好きの双子フレッドとジョージから「上級生の仲間入りだ」と“忍びの地図”をもらうエピソードが印象的。2人の助言通り、地図に記された秘密の抜け道からホグズミードへたどり着くことができた。
また、ホグズミードの外れにある“叫びの屋敷”の近くではマルフォイたちに「穢れた血め!」と絡まれているロンとハーマイオニーをハリーが助けるシーンも、3人の友情が感じられる温かい場面だった。

その後、ホグズミードにあるパブ「三本の箒」に忍び込んだハリー。そこでシリウス・ブラックが自分の名付け親であること、両親の親友であったにもかかわらず2人を死に追いやった張本人だという衝撃の事実を知ってしまう。このシーンは、シリーズ全体がドラマティックな展開へと舵を切る転換点になったといっても過言ではないだろう。


シリウスの過去を知ってショックを受けたハリーは、透明マントをかぶったまま外へ飛びだす。雪の上にはハリーの足跡だけが残り、店内に入ることができずに外で待っていたロンとハーマイオニーは、その足跡を追いかけていく。このシーンを再現するように、今回の展示では路地の雪に足跡が現れるという魔法のような演出も仕掛けられている。

ダイアゴン横丁のセットの先にある「スノーマジック」の展示では、SFXチームによる“雪の魔法”の秘密も紹介されているので、制作陣の創意工夫の結晶をより深く知ることができるはずだ。
■ しんしんと降り続く雪のプロジェクションマッピングで、ホグワーツ城がさらに美しく

劇中では季節の移り変わりを示すように登場してきたホグワーツ城の全景。86名の職人の手によって模型が作られ、撮影では模型の映像にデジタル処理を施して、リアルな姿が作りだされてきた。「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」では、映画撮影時と同じ手法でホグワーツ城に雪化粧が施されている。今年はそれだけにとどまらず、新たにプロジェクションマッピングの演出も追加!しんしんと降りつづく雪が表現されている。


雪景色のホグワーツ城といえば、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』でホグズミードに行けないハリーが時計台から生徒たちを見送る切ないシーンや、ホグワーツ城の西塔の最上部にある“ふくろう小屋”でハリーがチョウ・チャンをダンスパーティに誘って断られてしまう『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』での甘酸っぱいシーンが印象的。

また『ハリー・ポッターと賢者の石』では、ハグリットがクリスマスツリーとして飾るための大きなもみの木を運んでいる様子が象徴的に使われていた。シリーズ全作で小道具部門のチーフを務めたピエール・ボハナは、ホグワーツのクリスマスについて「学校に残った生徒たちにも特別な時間を過ごしてもらいたい。そんな気持ちで、大人たちは学校を華やかな飾りで整えました」と語っている。「撮影当時、スタッフたちはそのあたたかな雰囲気を映像のなかに宿すことを大切にしました。そしてその精神は、『ホグワーツ・イン・ザ・スノー』の展示にも受け継がれています」。ホグワーツ城の圧巻の光景に心を奪われたら、セットや映画のワンシーンまで目を凝らし、ホグワーツの先生たちの深い愛情をひしひしと感じてほしい。


360度ぐるりと見ることができるホグワーツ城の模型。その美しく荘厳な姿に見惚れてみたり、映画の本編に登場する場所を探してみたり、映画ではなかなか見られないディテールを楽しんだり。きっと時が流れるのも忘れて、この幻想的な光景をいつまでも眺めていたくなること間違いなしだ!

「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」では、ここで紹介した展示以外にも館内ロビーや屋外エクステリアでクリスマス・ライトアップを実施。バックロットカフェやフードホール、フロッグカフェ、バタービールバーでは冬限定のスペシャルフード&ドリンクメニューの提供も行なっている。
この冬は是非ともスタジオツアー東京へ足を運び、“冬のホグワーツ”と“冬の魔法界”で過ごす夢のようなひと時を体感してみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬
