
雛人形の顔を作る「頭師(かしらし)」を目指す男子高校生・五条新菜(ごじょうわかな/CV:石毛翔弥)と、クラスの人気者で読者モデルの喜多川海夢(きたがわまりん/CV:直田姫奈)が、コスプレを通じて心を通わせていく学園ラブコメディ「その着せ替え人形は恋をする」Season2(毎週土曜深夜0:00-0:30、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Lemino・TVer)。9月13日に放送された第23話「自分の人生には良い事なんて起こらないと思ってた」は、緒方旭(CV:河瀬茉希)の過去をはじめ、乾紗寿叶(CV:種崎敦美)の秘めた想いなど、多くの視聴者の心に刺さる珠玉のエピソードだった。(以下、ネタバレを含みます)

■ジュジュ様の葛藤! “好き”だからこそできないコスプレとは?
紗寿叶に「フラワープリンセス烈!!」ブラックロベリアのコスプレをしてもらいたい本多都(CV:風間万裕子)たちは、ロケハンのつもりでスタジオに来た紗寿叶にサプライズで衣装を用意する。しかしそれを知った紗寿叶は、開口一番「絶対にコスしません」と頑なに拒否。その理由は、自身の身長や体型、童顔といったコンプレックスから、ブラックロベリアのイメージを損なってしまうことを恐れてのことだった。しかし都が、自分ならそれら全ての問題を解決できると豪語すると、紗寿叶はその熱意にほだされて挑戦してみることに。
ここでは、好きなキャラだからこそ、そのイメージを損なうことを恐れてコスプレを避けようとする紗寿叶と、それでも自分の「好き」を諦めない都のコスプレ感の違いが明らかとなった。かつての都も紗寿叶と同じく、好きなキャラとは程遠い自分にショックを受けたものの、その違いを埋めようと技術を磨いてきたのだ。10年という長い月日をかけてコスプレに邁進してきた都のマインドや言葉はとても重く、不意のサプライズにブチ切れていた紗寿叶も思わず聞き入ってしまうほど。この一連のやり取りにはSNSでも「胸に谷間ができて嬉しそうなジュジュ様、貴重すぎて悶絶した」「都さんのスタンス好き!メンターになってほしい」などの声があがっていた。

■旭が抱える過去のトラウマと救いとは?
一方そのころ、旭は造形の手ほどきをするために新菜宅を訪問していた。「棺」合わせのための小道具を作りながら、もともと興味のなかったコスプレをするようになった経緯を語る旭。漫画やアニメに理解のない家庭環境から、自分の趣味を隠して生活するようになっていた旭にとって、都と伊藤涼香(CV:三宅麻理恵)との出会いはかけがえのないものだった。そのふたりのためならできる限りのことをしたいという旭の純粋な想いに、自身の境遇を重ねて共感を覚える新菜なのだった。
中盤では、クールでミステリアスな印象だった旭の秘めた想いが明らかに。中学生の頃、大好きだった漫画を母親から「みっともない」と罵られ、全て捨てられてしまった旭は、その日以来、自分の“好き”を封印して心を閉ざして生きてきたのだ。サブタイトルの「自分の人生には良い事なんて起こらないと思ってた」という言葉は旭の言葉であり、彼女の絶望の深さを物語っている。それだけに涼香と都との出会いは特別で、ふたりの存在が旭の世界に再び彩りを与えてくれたことを考えると、よくぞ出会ってくれたと思わざるを得ない。この展開にはSNSでも「旭さんの過去、想像以上にしんどかった…」「お母さんの言葉が残酷すぎる」「これは共感しかない」など、心を痛める声が多く寄せられていた。

■「好き」を続けるのに年齢は関係ない! 大人たちの言葉に感動
都の手によりブラックロベリアに扮した紗寿叶。まだ自分の姿に自信が持てない紗寿叶だったが、それを見た妹の乾心寿(CV:羊宮妃那)は「本当に可愛い」と大興奮、さらに海夢はあまりに尊いビジュアルに号泣してしまう。こうして、紗寿叶の新コスプレへの挑戦は、都の卓越したコスプレ技術もあり大成功に終わる。紗寿叶は都たちに感謝の意を伝えると、さらにコスプレをいつまで続けられるのかについて悩んでいたことを告白。そんな彼女に対して、都と涼香は年齢は関係なく、いくつになっても自由に楽しんでいいのだと力説。大人たちからの力強い言葉を聞いた紗寿叶は、心の底から晴れやかな笑顔を浮かべるのだった。
終盤の都たちの会話劇は、コスプレを楽しむすべての人の背中を押すエールのような展開となった。紗寿叶が抱える「いつまでコスプレを楽しんでいいのか?」という悩みは、おそらく多くの人が共感できる悩みでもあるだろう。そんな問いに対して、都と涼香は「楽しむこと辞めるなんて、もったいないじゃんよ」「いくつになっても続けていいし、初めてもいいんだよ」「趣味続けるのに、なーんも気にしなくていいんだぜ」とポジティブな発言を繰り返す。さらには、大人になれば「お金の力でできることが増える」と楽しそうに盛り上がるふたりの姿はまさに趣味人の鏡。そんなふたりの話を聞いていた紗寿叶の表情がだんだんと柔和になり、最後には吹き出して笑ってしまう流れは、コスプレに限らず、“好き”を楽しむすべての人の心に刺さる名シーンで、本作が持つ「好きを諦めなくていい」という優しいテーマを象徴する一幕でもあった。これにはSNSでも「都さんの言葉、全オタクに刺さる名言すぎる」「『人生、大人でいる時間の方が遥かに長い』って本当にそう。好きなことを辞める必要なんてないんだなって勇気もらった」「着せ恋はただ可愛いだけじゃなくて、こういう“好き”を肯定してくれる哲学があるから本当に好き」など、感動と興奮のコメントで溢れていた。さて次回第24話「Dear My Dress-Up Darling」は9月20日放送済み。次回のレビューもお楽しみに!
※種崎敦美の“崎”は、正しくは「たつさき」。
◆文/岡本大介


