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綾野剛、自身の役は「美しさの中にある滑稽さみたいなものが持ち味」荒井監督との信頼関係も見せる<星と月は天の穴>

綾野剛、自身の役は「美しさの中にある滑稽さみたいなものが持ち味」荒井監督との信頼関係も見せる<星と月は天の穴>

11月18日に都内で映画「星と月は天の穴」の完成披露試写会が行われた
11月18日に都内で映画「星と月は天の穴」の完成披露試写会が行われた / ※ザテレビジョン撮影

綾野剛が主演を務める映画「星と月は天の穴」が12月19日(金)より全国公開される。そこで、公開に先駆け、11月18日に都内で完成披露上映会と舞台挨拶が行われ、主演の綾野と、共演の咲耶、田中麗奈、監督の荒井晴彦が登壇。

■1969年という日本のを背景に愛をこじらせる一人の男の日常を描く

本作は、芥川賞作家・吉行淳之介氏の同名小説が原作。1969年という日本の激動期を背景に、過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代の小説家・矢添克二(綾野)の日常をエロティシズムとペーソスを織り交ぜながら描く、一人の男の私的な物語だ。監督は、日本アカデミー賞最優秀脚本賞を4度獲得した脚本家・荒井晴彦氏が担当。また、綾野演じる矢添と画廊で出会う女子大生・紀子を咲耶が、矢添のなじみの娼婦・千枝子を田中が演じる。

■綾野「耳で見る映画、読む映画とも言えるなと」

ステージに登壇した綾野は、完成した映画を見た感想を「映画にはいろいろな見方があるかと思いますが、この作品は目で見るというよりかは、耳で見る映画、読む映画とも言えるなと。そういう作品にはなかなか出会えないですし、荒井さんの前で言うのもアレですが…“珍味”な作品です。試写を見たときに、撮影現場では感じられなかった味わいを感じました。強いメッセージを込めたというよりは言葉の美しさや滑稽さ、言葉をなりわいにしている矢添から放たれる言葉は、今の時代だと“化石男”とも言えるので、そういった部分を楽しんでいただけたらと思います」とコメント。

また、荒井監督は10代の頃に原作と出会い、長年映像化を願っていたという。司会から「原作のどこに惹かれたのか?」と聞かれた荒井監督が「ちょっと言いづらいです…」と答えるのをためらう様子を見せると、綾野が「確認しましょうか?」と笑顔で声をかける。そして、2人でこそこそと耳打ちをし、話を聞いた綾野は「あ~…、荒井さんでもその思いを文体にするのは難しいかも…」と悩むも、「笑っちゃうようなとあるシーンがあり、なかなか本領発揮ができなかったけど、とあるものを見つけたらなぜか本領発揮をできるような気がしてきたと…」と監督の思いを代弁。田中も「想像力が、ね」とフォローし、綾野が「まさにね!奮い立たされたという」と言葉を選びながらも、丁寧に語った。

■咲耶、オーディションの合格は「現実感がなく夢見心地でした」

今作は初めての舞台挨拶で、紀子の役をオーディションで勝ち取ったという咲耶は「今作のオーディションのお話をうかがってから台本などを読ませていただき、絶対に紀子の役を勝ち取りたいという思いが強くなりました。受かった時はふわふわして現実感がなく、夢見心地でした。うれしかったです」と笑顔で心境を明かした。

一方、過去に荒井の脚本作品に参加したことがあるものの、監督作品は初だという田中は「ずっと荒井組に入りたいと思っていたので幸せでした。念願かなってお声がけいただいた時は驚きましたが、とてもうれしくて、でも、緊張もしていたのですが、剛くんが荒井組の先輩なので付いていこうと意識しました」と笑顔を見せた。

■綾野「矢添の声はラジオボイスのようなイメージ」

1969年が物語の舞台となり、“1969年”という年代について荒井監督は「まず、『星と月は天の穴』という作品タイトルのオチを付けたくて、1969年のアポロを入れたいなと思いました。また、1969年は世の中でいろいろなことがあった年代で、自分の人生においても致命傷を負った時期でした」とコメント。

そんな時代を生きる主人公・矢添について綾野は「面白い人だなと。最初に、脚本を読んだ時、せりふに行動や表情、感情がすべて書かれていたので、肉体的な表現でせりふを邪魔しないかということをすごく意識しました。その中で、当時の映像を見たのですが、出力が高いというか、発言する人の言葉に力がこもっているように感じました。きっとマイクの性能でロー(低音)を拾えず、ハイ(高音)が強くなっているからそういう印象になるのかもしれないと思った時に、矢添の声はラジオボイスのようなイメージで、丁寧にせりふを編んでいく時にあまり抑揚を付けないほうがいいのかなと監督と相談しました。そのほうが時代にマッチングしやすかった気がします」と演じる上で気を付けたことを明かした。

■綾野と田中が現場での荒井監督の様子を明かす

司会から「荒井監督は綾野さんについて“俺よりも役について考えてくる役者”とおっしゃっていましたが、どのような時に感じましたか?」と聞かれた新井監督は「俺は現場であまり何も言わないので、(綾野と田中が)『カットをかけた後のOKラインが分からないよね』と話していたのを耳にしまして」と告白。

すると、田中は「何もおっしゃらないので、自分の演技が本当に大丈夫なのかな?できているのかな?と思いまして」と当時の心境を口に。また、綾野は「ワンシーンをだいたいワンカットで撮っていくので、カメラを5分以上回しっぱなしにすることもあって。カットがかかってから、OKなのかOKじゃないのか迷うことがあったので、監督を見に行くと“あれ、寝てる?”と(笑)。見ている時に心地よくなって眠ってしまったのかと思うくらい、そんなことはなかったんですが、それくらい静かに見られていたなと」と現場を振り返った。

そんな綾野の話を聞いた荒井監督は「起きてるよ!(笑)」とツッコミ、続けて、「たまにOKの声が大きいときもあるじゃない。あのシーンの時は」と、とあるシーンでの撮影時には大声でOKと言った主張すると、綾野が「あー!言ってましたね!」と笑顔を見せ、一方の田中は「あのシーンは自分の世界に入ってしまい、なかなか現実に戻ってこれなかったので、聞き逃してしまいました」と悔しそうな表情を見せた。

■綾野「矢添以上に女性たちの魅力が詰まっています」

さらに、咲耶について、荒井監督がオーディションで見つけた時に“今までどこにいたの?”と発言したことを司会から聞かれると、荒井監督は「オーディションの最後に来たから、今までどこにいたの?と」と答えると、すかさず綾野が「シャイもほどほどにしてください(笑)!今まで世に出てきていてもおかしくなかったのに、“今までどこにいたの?”と、言ったんですよね」と代弁を。すると、荒井監督は「いつも通訳してくれる。現場でもそうです」と言い、綾野との信頼関係を見せた。

話題は印象的なシーンへ。咲耶は「すでに公開されている“隠しているものが現れたとき、一つのことは終わるのさ。そして、また別のことが始まる”というせりふが一番好きで。今回の作品に出てくる登場人物みんなに当てはまる言葉で、この言葉を矢添さんが発するシーンが印象的です」と語り、田中は「エンドロールがすごく好きで。咲耶ちゃんがあることをしているんですが、この年齢でしか出せない色気と無邪気さと少女っぽさとがあって、“女の子”と“女性”を行き来している姿が魅力的でした」とコメント。

最後に、荒井監督は「見て面白かったらぜひ宣伝してください。でないと、次回作が作れなくなるので(笑)。もうすぐ80歳になりますし、山田洋次に負けたくないし、お願いします!」と呼び掛け、綾野は「登場人物がとても魅力的で、矢添以上に女性たちの魅力が詰まっています。その中で、グズグズしている矢添という人がどのように言葉と向き合っていくのか、その美しさの中にある滑稽さみたいなものが彼の持ち味なので、“はいはい、まあまあ”と思いながら、受け止めて、手のひらで転がしてやってください。そうしたらこの作品も育っていくと思います」とメッセージを送り、締めくくった。


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