WSBKで3度の王者であるトプラク・ラズガットリオグルが、2026年シーズンからはMotoGPに転向し新たな挑戦をスタートさせる。11月18日に彼はバレンシアテストでプラマックとの仕事をスタートさせたが、チームマネージャーはラズガットリオグルがMotoGPでも速くなれると自信を感じている様子だ。
2025年シーズンの終了からわずか2日、18日(火)に行なわれたバレンシアテストは、ラズガットリオグルにとってMotoGPデビュー第一歩の日だった。事前にプライベートテストでヤマハのV4マシンを走らせていたものの、その時間もわずかであり、初乗りと大差ない状態で臨んだ公式テストで彼がどんな走りを見せるのかは、MotoGP関係者からも注目を集めた。
そしてラズガットリオグルが記録したタイムはテスト最速のラウル・フェルナンデス(1分29秒373/トラックハウス)から、1.294秒差の18番手タイムだった。そしてそのタイム以上に、仕事ぶりやバイクへの理解の速さなどでチームは感銘を受けている。
「ヤマハにとっては非常に重要な1日だった。我々はV4エンジンと共に新たな時代をスタートさせ、4人のライダーが沢山の情報を収集してきたんだ」
プラマックのチームマネージャーであるジーノ・ボルゾイはそう語る。
「もちろんトプラクはMotoGPマシンにこれまでほぼ乗ったことがないわけで、何かアドバイスを出すことはできなかった。しかし、彼はマシンのダイナミクスに関して非常に的確に話してくれた。とても理解力のあるライダーだ。興味深いフィードバックもあったし、私からしてみるとスピードもとても速かった」
「彼はこのバイクに関して一番知識が無いライダーだということを考慮すれば、もしかすると、予想していたよりも速かったかもしれない。まだまだ新しいプロジェクトで、すべきことはたくさんあるんだ」
「総じて彼のテストはとてもポジティブなものだったし、その人柄も一緒に働きやすいものだった」
ラズガットリオグルにとってMotoGP転向のハードルは高いと見られてきた。そもそも異なるメーカーのタイヤを使うことになるため、その特性に不慣れなことや、プロトタイプマシンと市販マシンベースのWSBKではブレーキング特性が異なる点などがハードルとして挙げられてきた。
しかしラズガットリオグルはMotoGPマシンにも上手く適応を進めているようだ。
「まだ彼はブレーキングで適応していく必要はある。MotoGPのブレーキングとタイヤという側面は、本当に信じられないほど重要だからだ」
「最初の方は彼も非常に強くブレーキングをかけていたが、走行を重ねて行くにつれて、スーパーバイクで彼が親しんでいたハードブレーキングがここでは効果的ではないと理解を進めていった。もちろん、まだ学ぶべきことは残っているが、彼はかなり早く適応を進められるライダーだった。カメレオンのようなライダーで、すべきことに適応するんだ」
「彼はMotoGPでも速さを発揮できる資質を備えている」
なおヤマハはバレンシアテスト翌日の19日にも、プライベートテストを実施。ラズガットリオグルはここでさらにMotoGPマシンへの適応を進めていくことになる。

