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「審判が権威を見せたかったのか?」NBA初得点を決めたレイカーズ新人への記念球贈呈に待ったがかかるも、ヤニスが“神対応”で問題解決<DUNKSHOOT>

「審判が権威を見せたかったのか?」NBA初得点を決めたレイカーズ新人への記念球贈呈に待ったがかかるも、ヤニスが“神対応”で問題解決<DUNKSHOOT>

現地時間11月15日(日本時間16日)に行なわれたロサンゼルス・レイカーズ対ミルウォーキー・バックスの一戦は、レイカーズが119-95と20点以上の差をつけて快勝。今季10勝目をマークした。

 八村塁がふくらはぎ痛により欠場したこの試合で、栄えあるNBAデビューを飾ったのが、今季加入したルーキーのアドゥ・シーロー。

 今年のドラフトでブルックリン・ネッツから2巡目36位で指名を受けた後にレイカーズにトレードされた21歳のフォワードは、第1クォーター残り2分を切ったところで初めてNBAの舞台に立つと、最終クォーター終盤、110-88とレイカーズがほぼ勝利を確定したところで再びコートへ。

 ファウルを誘ってのフリースロー2本成功に続き、残り1分にはブロニー・ジェームズのノールックパスからリムに叩きつけるような豪快ダンクを見舞った。

 ヒザのケガにより出遅れたが、14試合目にしてようやく迎えたデビュー戦で場内を沸かせるダンクをぶちかました背番号1。その瞬間について「(会場の声は)聞こえていたよ。かなり盛り上がっていたよね。着地してベンチを見たら、みんなが腕を振り回して喜んでいて、みんなが僕のことで喜んでくれていたのが本当に嬉しかった」と振り返った。
  この試合で41得点と大暴れしたエースのルカ・ドンチッチも「ヒザのケガがあったけれど、彼は偉大な選手になるような気がするよ。身体能力が高いし跳躍力も抜群で、なによりファイターだ。彼がコートに立ってプレーする姿を見て本当に嬉しかった」とルーキーのプレーに手応えを感じた様子。

 JJ・レディックHC(ヘッドコーチ)も「彼のこれからが楽しみだ」と期待を寄せる。

「午後のコーチ会議でも話していたんだが、プレシーズンも経験せず、ケガから復帰したばかりのルーキーをいきなり投入するわけで。でも彼は前半の出場時間のなかでも、何度か驚異的なプレーを見せてくれた。オフェンス面の爆発力、ディフェンス面では五分五分のボールを奪いにいく姿勢や、垂直方向の強さもある。シーズンを通して彼の成長を見るのが楽しみだ」

 およそ4分40秒プレーしたデビュー戦の成績は、4得点に1リバウンド。彼にとっては、キャリア初得点を記録した記念すべき夜となった...のだが、試合のあとに珍事が起きた。
  ルーキーは、キャリアで初めて得点を決めた試合で使用したボールを記念に持ち帰ることができるというのは、NBAではいわば慣例。よってジャレッド・ヴァンダービルトが彼にボールをあげに行こうとしたところで、審判の1人から待ったがかかった。

 ヴァンダービルトはその時のことをこう振り返る。

「彼は『(その行為を)報告するぞ』って言ってきたんだ。いったい何を言ってるんだと思ったよ。この審判は、自分に権力があることを見せつけたかったのか?ともかく、さっぱり訳がわからなかった。

 これ(ルーキーに記念球をあげること)は俺がリーグに入るずっと前から行なわれていたことだ。それともあの審判は、自分がボールを家に持ち帰りたかったのか?」

 そんないざこざを目にして、喧騒の輪に歩み出たのがヤニス・アデトクンボ。バックスの大エースは、チームスタッフが持っていた使用球のひとつを手に取ると、ドンチッチに渡した。

「いったい何が起こっているのかわからなかった。(兄の)タナシスに聞いたら『なんでかわからないけど、ルーキーにボールを渡さないらしい』と。俺もなぜ渡さないのかさっぱり理解できなかった。だから取りに行って、レイカーズ側に返したんだ」
  そんなヤニスの行動に、オースティン・リーブスも「本当に品格を感じる」と感嘆していたというが、こうしてボールは無事、シーローの手に渡った。すったもんだはあったが、最終的には自軍の先輩たちのみならず、元MVPのスーパースターまでもが介入してくれたことで、一層ありがたみも増したことだろう。

「最初は(そのいざこざが)自分のためだなんて気づかなかったんだけど、チームにはとても感謝している。自分たちの絆の深さや、いかにお互いの成功を、そしてチームとしての成功を願っているか、その気持ちを象徴していたように思う」

 シーローは試合後、先輩たちの行為に感謝の気持ちを表わした。

「初めての得点はずっと記憶に残るものだ。僕もまだあの時のボールを持っている。彼にとっても、それを家に飾っておくことはきっと大きな意味を持つだろうからね」

 そう自身の初得点に思いを馳せた大先輩ドンチッチのように、傑出したプレーヤーになることを目指して、シーローはNBAキャリアの第一歩を踏み出した。

文●小川由紀子

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配信元: THE DIGEST

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