(©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会)1,400万人以上が住むといわれる東京。そんな場所でも、ひとりひとりの「東京」があるはずです。
木村拓哉さん演じるタクシー運転手・宇佐美浩二が、倍賞千恵子さん扮する85歳の高野すみれを、東京から神奈川の高齢者施設まで送り届ける1日を描いた『TOKYOタクシー』が11月21日より公開。
一緒にタクシーに乗って、東京を巡る小さな奇跡の旅へ出かけてみましょう。
■葛飾・柴又からはじまる旅
(©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会)『TOKYOタクシー』は、日本の心を見つめてきた名匠・山田洋次監督がメガホンを取った91番目にあたる作品。
94歳になる山田監督が、2022年のフランス映画『パリタクシー』を原作に、舞台を東京に移して、登場人物たちの人生をやさしいまなざしで追いかけます。
山田監督といえば、的屋を生業とする「寅さん」が主人公の『男はつらいよ』シリーズでおなじみ。その寅さんの故郷は、東京の葛飾・柴又とされており、賠償さんは寅さんの妹・さくらとして出演しています。
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■山田洋次監督が見つめた街
(©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会)宇佐美がすみれさんを迎えに行く場所は、じつは葛飾・柴又。それまですみれさんがずっと住んでいた自宅のある場所です。
すみれさんが宇佐美の運転するタクシーで、東京を巡りながら、自らの人生と街の記憶を語る物語の最初にふさわしく、ここは人情と変わらない風景のある「東京」です。
大阪府出身の山田監督ですが、この地は監督にとって、古き良き日本の風情を残す象徴だと考えてもいいのでしょう。
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■めがねが映すもう一つの視点
(©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会)やがて宇佐美とすみれさんの間に、不思議な連帯感が生まれます。住み慣れた東京を離れるすみれさんにとって、これは人生の終わりに向かう旅のはずでしたが、お互いの素性が明らかになるにつれ、「いまを生きる」ひとときになっているのです。
途中、宇佐美がめがねをかける場面が数回登場します。運転中はめがねをかけていない宇佐美が、あえてめがねを取り出す瞬間は、物事を見つめ直すためのしぐさのようにも思えます。
アメリカの作家、ソローの言葉を借りるなら、「大切なのは、あなたが何を見るかではなく、何が見えているかだ」。
山田監督が描いてきたのは、見過ごしてきたものを見つめ直す人々でした。どんな物事でも、めがねをかけて見てみれば、きっと別の角度からの解釈ができるのかもしれません。
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『TOKYOタクシー』
11月21日(金) 公開
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