強力なライバル不在の時期にあえて展開
ちなみに『無限城編』は世界で大掛かりなプロモーション展開を行っています。プロモーション費がどれほどなのかは発表されていませんが、世界レベルの興行ですから、相当な金額が投入されていると思います。
筆者は今年2025年のカンヌ国際映画祭に行きましたが、会場近くの大きなモニターで同作の予告が流れているのを見かけました。アメリカ版の吹替にはチャニング・テイタムという大スターも起用されています。またロサンゼルス・ドジャースとのコラボも実施、アメリカ最大級のポップカルチャーのコンベンションであるサンディエゴのコミコンでは、6000人収容の最大ステージでイベントを行うなど、アメリカではさまざまなキャンペーンを展開していました。
ハリウッドの大作映画では、プロモーション費用だけで100億円を超える作品も珍しくありませんが、この1作だけ大がかりに宣伝したところで、元々のファン層が厚くなければ、どれだけ頑張ってもこれほどの大ヒットにはならなかったでしょう。実際、100億円かけてもコケた映画はいっぱいあります。その意味で、『無限城編』の大ヒットは、これまで積み上げてきたシリーズの魅力が世界に認識されたことの証明と言えると思います。
また、世界公開が本格的に始まった時期、強力なライバルとなるようなハリウッド映画が少なかったことも「追い風要因」として考えられます。日本では夏休みの目玉として公開されましたが、アメリカではオフシーズンの9月に封切られており、これはソニー・ピクチャーズがそういうタイミングを狙って公開したのだと推察されます。アニメ作品は、ホリデーシーズンに家族みんなで見に行くというより、熱狂的なファンが劇場に訪れるものなので、いつ公開してもある程度の興行が見込まれるのでしょう。
しかも、『無限城編』のすごいところは、これが3部作の1本に過ぎないということです。今後、さらにファンベースが拡大すれば、2作目、3作目はさらに大きな興行収入を記録する可能性があります。この3部作の興行がどこまで伸びるのか、ひょっとして『スター・ウォーズ』や『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のように世界を席巻することになるかもしれません。
