いよいよあす(21日)、仙台サンプラザ大会でYoshiki Inamuraの持つGHCヘビー級王座に挑戦する清宮海斗。
新世代として苦楽をともにしてきた後輩のYoshiki(稲村愛輝)に、挑戦者として挑む時が来た。自身にとっても待望のシチュエーション。今年一気に台頭したOZAWAも含めたNOAH新世代の闘いが、仙台から本格スタートする形となる。
清宮自身も「仙台が歴史の転換点になる」と見越して杜の都に乗り込むが、今年はこれまで散々だった。王座戦で2度に渡ってOZAWAに破れ、タッグタイトル戦でも王座奪取はならず。ポスターも中心から外れて横を向き、卑屈に不遇を叫んでもN-1は獲れなかった…。そんなうっ積した思いも交えつつ、“爆発寸前"な清宮に直前の心境を聞いた。
【清宮海斗インタビュー】
――Yoshiki InamuraとのGHC戦に向けて、前哨戦もすべて終わりました
▼清宮「まずタイトルマッチに向けて受け入れなきゃいけないのは『彼が今のNOAHのど真ん中だな』ということ。実際に今の彼に触れてみて、NOAHの新しい風も感じましたし、その“変化"も外から見てるのと、実際当たるのではまた感じ方も違いましたね。戦う前から褒めちぎってもしょうがないんですけど、選手目線で見ても想像以上に成長はしている。試合だけじゃなくて、お客さんと一緒になってNOAHの中心を目指してる感じも“稲村"らしいなって」
――あのアメリカンな空気感と勢いで、会場の空気を“持っていかれる"危機感を感じた?
▼清宮「危機感ていうより、あいつのやり方っていうのができてきたんだと思います。WWEでいろんなことを学んできたんでしょう。会場の空気ももちろんですけど、試合の空気の持っていき方ですよね。試合って“リズム"が大事なんですよ。『ここは自分が持っていく!』という強引さを感じるようになったのは、素直に脅威ですね。緩急もあって明るさもあって、いいじゃないですか。まったく新しいInamuraをお客さんも楽しんでるんじゃないですか」
――とはいえ、その明るさの中にも、スイッチが入ると仕留めにくる猛烈さがある
▼清宮「激しい当たりなら自分も負けないんで望むところですよ。明るくニコニコ、アメリカンな姿もYoshiki Inamuraの“素"だと思いますけど、純粋な“強さ"を追求する戦いもまた、彼の"素"ですからね。僕は知ってますから。ずっと一緒にやってきたんで。前哨戦を通じて、その本来の“強さ"の部分が見えてきたのは、自分にとってはワクワクでしかないですよ」
――闘うとなれば話はまったく変わってくる?
▼清宮「そりゃそうですよ。これは“闘い"ですから。僕だって今年はずっとGHCヘビーを目指してやってきた。Inamuraは『正々堂々、フェアに』って言うじゃないですか? でもね、これは“競い合い"じゃないんですよ。闘いなんてすよ。“勝つか、負けるか"、そのために俺たちやってきたんでしょ?って。 あいつのいう“正々堂々"なんて、まだまだ綺麗事ですよ。僕がとっくに通ってきた道だよ、と。そこはもう馴れ合いじゃない、闘いをしっかり見せたい。自分はそう思ってます」
――とはいえ、OZAWA選手も含めて、この3本の軸が次のNOAHを創るとみる向きもあるだけに、新しいNOAHの闘いを見せつけたい思いもある?
▼清宮「もちろん、そうならなきゃいけないという思いは、自分の内側にはありますけど、仲良し3人組じゃないですから。OZAWAも相変わらず好き勝手やってるし(笑) 三本の矢は全然同じ方向を向いてないですからね。ただ、稲村が海外に行く前『近い将来、GHCを二人でやって、このNOAHを盛り上げていこうぜ』って、その約束を果たす時が来たわけですから。そういう部分では今回絶対突き抜けたいですし、燃えてますね。この試合が、プロレスリング・ノアの歴史の転換点になると思いますよ。……ただ、一個だけいいですか?」
――もちろん、なんでしょうか?
▼清宮「なんかみんな最近海外から帰ってくると、自分を“踏み台"にしようとしていくんですよ。海外から帰ってきたらとりあえず清宮にいっとけ!みたいな風潮あるじゃないですか。…俺はアイツらの格上げマシンじゃないんですよ! これほんとムカついてるっていうか。確かにNOAHは新しい時代に突入してるとは思いますよ? でも自分は自分でInamuraがいなかった1年間だって、GHCのベルトに向けてやってきて、常に進化を続けてきた自信も自覚もあるんですよ」
――とはいえ今年は元日武道館でのOZAWA戦敗退から始まり、GHCタッグ戦ではオモスにKOされ、OZAWAとの再戦にも敗れ、ポスターは中心から外れ、横を向き、卑屈さを全開にしてもN-1は取れなかった
▼清宮「散々じゃないですか! 会社からの風当たりも冷たいし! ChatGPTに相談しても辛らつなこと言われるし!」
――そこに“Yoshiki Inamuraの踏み台になってしまう"を加えるわけには…
▼清宮「いかないでしょ!! ここ数年、NOAHのトップとして対抗戦、タイトルマッチ…、ずっと身体張ってやってきたんですよ。この経験は僕の財産ですよ。この差をタイトルマッチであいつにも、みんなにも、見せつけてやらないと。次の仙台きっちり勝って、全員見返して、NOAHのど真ん中に戻って、ポスターでもド正面を向いてやりますよ!」
――ベルトを持って12・7後楽園のデビュー10周年記念プロデュース興行を迎えると
▼清宮「「そうですよ! ベルトを持って10周年!! 今年のこれまでのアレコレは、10周年に向けた溜めです! 溜めに溜めたものを10周年興行、そして元日の武道館で爆発させてやりますよ!」
――今年のこれまでの不遇は、10周年に向けた壮絶なフリに過ぎなかったと
▼清宮「自信はあるんですよ、正直。あいつに負けたことだって一度もないんで。あいつにとっては最強の挑戦者だと思いますよ。シングルになったら自信だってありますから。だからタイトルマッチの経験値の違いっていうのは確実にあると思うんで、彼のさらに奥の奥にある感情的な部分を引き出してやりますよ。で、最終的にはおいしくYoshiki Inamuraをいただこうと思います!」

