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怒涛の週末3レース制となるスーパーフォーミュラ最終ラウンド。タイトル争うTOMS、DANDELION、MUGENの見解は

怒涛の週末3レース制となるスーパーフォーミュラ最終ラウンド。タイトル争うTOMS、DANDELION、MUGENの見解は

鈴鹿サーキットで行なわれる2025年のスーパーフォーミュラ最終ラウンドは、当初第11戦と第12戦(最終戦)が行なわれる予定だった。しかし富士スピードウェイでの第10戦決勝レースが天候不良でキャンセルとなったことを受け、鈴鹿での最終ラウンドが行なわれる週末に、この第10戦の代替レースを開催することになった。この異例の3レースフォーマットについて、タイトルを争うチームの首脳陣に話を聞いた。

 今回第10戦が組み込まれたことによって、レースウィークの流れはイレギュラーなものとなる。土曜日の午前中には第11戦、第12戦の予選が行なわれ、午後に第11戦の決勝レース(27周)を実施する。日曜の午前中には第10戦の決勝レースを行なうが、これはタイヤ交換義務なしの19周のスプリントレースとなる。そして同日午後に、第12戦の決勝レース(31周)が行なわれる。チームやドライバーにとっては、目が回るように忙しい2日間となろう。

■イレギュラーなフォーマットでDANDELIONに追い風か?

 この3レースフォーマットでキーポイントとなるのが、第10戦のスターティンググリッドは、10月に富士で行なわれた予選の結果が採用されるという点だ。そのためポールポジションは牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、2番グリッドはイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)、3番グリッドは太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)となる。

 一方でポイントリーダーの坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)は、富士での予選で7番手だった。追いかけるDANDELION勢としては、絶好の状況と言える。しかも距離が110kmと短いスプリントとなるため、追い抜きの難しい鈴鹿では予選上位が圧倒的優位。その上予定通りにレースが成立すればフルポイントが付与される見込みであり、坪井と23.5ポイント差のランキング4番手につける牧野、同じく14.5ポイント差のランキング3番手につける太田にとっては、その差を縮めるチャンスだ。

「ウチと中企さん(NAKAJIMA RACING)以外は大反対じゃないですかね」と語るのは、DANDELIONの吉田則光監督だ。得意の鈴鹿で3レースができること、そして上記の通り有利な状況で代替開催の第10戦を迎えられることから、今回のフォーマットに賛成の立場をとっているが、基本的にはどのチームにとっても大変な週末になるだろうと語る。

「僕らは予選で1位、3位ですからね。中企さんもイゴールが2番手なので賛成じゃないかと思います。それにスプリントなので、スタートしたらそれでほとんど終わりですから。僕たちは賛成ですけど、ただ大変だと思います」

「(得意の)鈴鹿で1レース増えたし、予選ポジションも悪くない。対坪井選手という点で悪くないので賛成ですが、反対が多いでしょうね」

 タイトルコンテンダーの中でもやや後れをとっている感がある牧野だが、前述の通り富士で行なわれた第10戦予選でポールを獲得するなど復調傾向と言える。その要因について吉田監督は「クルマの部品をほとんど変えた」と明かす。

「クルマの部品をほとんど変えたので、ちゃんと正常に戻って良かったなと思います」

「どこに問題があったかは特定できていませんが、残りのシーズンも短いので、何かを変えて変わらなかった……というリスクを負うより、全て変える方がプラスだと判断しました。変えられるものは全部変えました」

 また、岩佐歩夢がランキング2番手、野尻智紀がランキング5番手と追いかける立場にあるTEAM MUGENも、年間12戦の開催を崩さない3レースフォーマットは賛成の立場。特に岩佐は坪井と14.5ポイント差であり、逆転も十分射程圏だ。第10戦は4番グリッドからスタートできる予定であり、坪井よりも前のグリッドを確保している。

「岩佐は3レースやりたいとは言っていましたし、逆転のためには当然チャンスが多い方がいいと思います。スケジュール的には大変ですが、よくちゃんとスケジュールを組んでいただいたなと、ポジティブには思っています」

 そう語るのは、TEAM MUGENの田中洋克監督だ。

「もちろん、メカニックは大変ですけどね。選手権を考えれば、チャンスがあった方がいいので」

「タイヤ交換がなく、予選次第な部分がありますが、そこもポジティブに考えていくしかないですね。野尻も当然タイトルの権利がないわけではないですが、特に岩佐は集中して良い成績をとってほしいですね」

■異例の措置に疑問の声も

 一方でTOM'Sの山田淳テクニカルディレクターは、前出のチーム監督たちも語ったチームスタッフの負担など様々な理由から、3レース制に反対の立場をとっていたと話す。そしてそこには、チャンピオンシップの事情は関係ないという。

「自分たちがチャンピオン争いをしているかどうかにかかわらず、スーパーフォーミュラで(ひとつの週末に)3レースというのはかなり難しいと思います」

「スーパーフォーミュラ・ライツでは、今年のSUGO戦のようにレースが追加されて週末に4レースというケースもありましたが、メカニックやエンジニア、ドライバーにとってもフィジカル的にかなり厳しいですよね。チームとしては3レース制というアイデアには反対でした」

「みんなカーフュー(作業可能時間)を守ってやっているし、今の時代に合うような形で仕事をしている中で、無理やりスケジュールを詰め込むというのはあまり良い形ではありません。労働時間が長くなってしまい、メカニックもどこまでやるべきなのか……といった部分もあると思います」

「もちろん主催者の判断は尊重していますが、決めるにしても、今までどういうやり方をしていたかなどを振り返って、考えてもらいたかったなと思います」

 山田氏は、決勝キャンセルとなった第10戦富士の予選結果が鈴鹿での代替開催においても有効となる点についても、スーパーフォーミュラと同じくJAFによって規則が制定されているスーパーフォーミュラ・ライツを引き合いに出し、疑問を呈した。

「これまでF3やスーパーフォーミュラ・ライツで同じようなことが起きたときは、中止になったレースの予選結果は取り消されて、(代替開催地で)予選を最初からやり直してきました」

「もちろん、今回はスケジュール的にも予選の時間を確保するのは難しかったと思います。だから前回の予選結果を採用することになるのだろうなとは思っていましたが、『今までやってきたことは一体何だったんだろう』という点は気になりましたね」

「当然、こういう意見を言えば『タイトル争いをしているからだろう』と言われますが、そうではありません。もし我々がチャンピオン争いをしていなかったとしても、全く同じ意見だったと思います」

 また山田氏は、タイヤ交換義務なしのスプリントレースという点も疑問に思うと語った。

「もちろんスケジュールはタイトですが、もう少し調整して通常の距離のレースを行なうことは可能だったはずです」

「金曜日にレースができなかったのは、競技団が揃わずにペナルティの審議などができないというのが理由のようですが、1日早く来てもらえるよう要請することもできたと思いますし、それが無理だったとしても、レースフォーマットについてはもう少し検討する余地があったと思います」

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