2026年からザウバーを引き継ぐ形でF1に参入するアウディ。チームの首脳陣は、アウディは様々なカテゴリーで培ってきた経験が2026年からの新パワーユニット(PU)を理解する上で役立つはずだとコメントした。
アウディは来シーズンに向けて、現在ザウバーの拠点があるスイスのヒンウィルでシャシーを開発している傍ら、アウディの拠点があるドイツのノイブルクでPUを開発している。2026年仕様のPUは電動出力が現在の120kW(161hp)から350kW(469hp)に大幅増。エンジンとの出力比はほぼ50:50になり、ブレーキからの回生エネルギーも2倍になるなど、大きく変化する。
電動パワーという点で言えば、アウディは2015年から2021年にかけてフォーミュラEで自社製パワートレインを開発していた経験がある。彼らが参戦していたのは出力が250kW(335hp)だったGen2車両までであり、現在のGen3 Evoは400kW(536 hp)、次期Gen4は600kW(805hp)までパワーアップするのだが、それでも電気エネルギーのマネジメントが重要であるフォーミュラEの知見は、アウディのF1プロジェクトにとって有益と言える。
アウディの会長であるゲルノート・デルナーは、motorsport.comに対し次のように語った。
「エンジンと電動システムが(F1の)新レギュレーションと共通点の多いル・マンの方が、おそらくフォーミュラEよりも有益だろう。しかしコンポーネントという点で言えば、フォーミュラEも非常に優れた学びの場だと言える。我々も効率の改善や、エネルギーマネジメントをそこで学ぶ必要があった」
またアウディは2016年までWEC(世界耐久選手権)にも参戦していた。そして最大200kW(268hp)の電動パワーを誇るハイブリッドのアウディR18 e-tron quattroで2012〜2014年のル・マン24時間レースを3連覇した。さらに近年では、主に電動パワーで286kW(384hp)を誇るRS Q e-tronで2014年のダカールラリーを制している。
2024年8月からアウディのF1プロジェクトを率いる、元フェラーリ代表のマッティア・ビノットはこう語る。
「私がアウディに加入してから感心させられた点を挙げるとすれば、ダカールやフォーミュラEを通じて築き上げられてきた、ハイブリッドに関する専門知識と技術力だ」
「これは非常に優れた技術であり、我々のF1プロジェクトにも有用だ。そしてそれが必ずや強みにつながると信じている」

