圧巻の奪三振ショーでプロにアピールした。11月19日に開催された「明治神宮野球大会」大学の部の決勝で、青山学院大学が立命館大学を4-0で下して優勝。史上6校目の連覇に導いたのが青学のエース・中西聖輝(4年生)だった。
今秋のドラフト会議で中日に1位指名された本格派右腕は立ち上がりから無双。中西いわく「ストレートに強いという情報があった」という前情報を生かして、「かなり試行錯誤しました。普段しないような配球もした」とカーブやフォークを効果的に用いて三振を量産した。それも、4回裏2死に死球を与えるまで完全試合、7回裏2死にシングルヒットを打たれるまでノーヒットピッチングというオマケ付き。結果、大会歴代3位タイの17奪三振で完封勝利と有終の美を飾った。スポーツ紙デスクが解説する。
「智弁和歌山高校3年時にエースとして夏の甲子園優勝に導きました。青学に進学後にトミー・ジョン手術を受けて、しばらくはリハビリ生活を余儀なくされましたが、3年時にはリーグ戦で主戦を任されるまでに回復。最速152キロのストレートとフォーク、スライダー、カーブなどの豊富な変化球のコンビネーションでプロ野球でも即戦力の評価を得ています。先発のコマが足りていない中日では1年目から先発ローテーション入りが期待されています」
阪神の森木大智、ソフトバンクの風間球打など高卒でドラフト1位指名された同世代投手の中には戦力外通告を受けた者もいる。一方で、中西は「戦国東都」と呼ばれる東都大学野球リーグで非の打ちどころがないスーパーエースに成長。残りの学生生活はプロ入りまでの準備に費やされるという。そこで、試合後の囲み取材で「学生生活でやり残したこと」について聞いてみると、「今後も日々のレベルアップが重要だと考えています。むしろ、プロの世界に入る前に(トレーニングなど)やり残しがないように頑張りたいと思います」と日本一を戴冠した直後でも慢心する様子はいっさいナシ。
もっとも、青学OBには広島の常廣羽也斗が単位不足で留年したままプロ入りした“前例”も一部で報じられていた。続けて、卒業単位について尋ねてみると、「たぶん、大丈夫です」とコメント。問題なく卒業証書を手にして春を迎えられるのだろう。同じくドラフト1位でDeNAに指名されたチームメイトの小田康一郎とともにプロのデビュー戦が待ち遠しい。(下の写真2点も中西投手)



