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『ばけばけ』トキの「思い出」の話題を止めたヘブン先生 銀二郎の件よりも辛い小泉八雲の「最初の結婚の失敗」とは

『ばけばけ』トキの「思い出」の話題を止めたヘブン先生 銀二郎の件よりも辛い小泉八雲の「最初の結婚の失敗」とは


『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

【画像】え…っ! 夫婦で立って並ぶと「なんか小っちゃくてかわいい」 コチラが小泉八雲さん(ギリシャ人)と小泉セツさん(日本人)の身長差です

前の妻も「怪談好き」だった?

 2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツがモデルの物語です。

 第8週39話では「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」を気遣う優しい姿が話題になりました。特に視聴者の反響が大きかったのが、ヘブンの同僚「錦織友一(演:吉沢亮)」が、4年前に別れたトキの前夫「銀二郎(演:寛一郎)」について話そうとしたときに、ヘブンが「思い出はべらべら話すものじゃありません」と言って止めた場面です。

 SNSでは「錦織さんが核心に触れる前におトキの大切な想いに気づく。これまで結構扱いづらい人として描かれてきたけど、ヘブン先生は本来人の機微の分かる方だった」「ヘブンはイライザさんのこと誰にも語らず写真をそっと伏せているのかもしれない。トキちゃんにも踏み込んではいけない部分があることをちゃんと悟ることができる人」「ヘブン先生良いなぁ。人の思い出は軽々しく話しちゃ駄目的な……そうなんだよな」「今日はヘブンさんの良いところたくさん見られて良かった。『ハジメテ タノシイ』『ケガ ハ ナイ?』とか」と、ヘブンに好印象を持った人びとの声があいついでいます。

 ヘブンが銀二郎に関する話題を止めたのは、実は彼も離婚を経験しているからかもしれません。モデルの小泉セツさんとラフカディオ・ハーンさんは、出会う前にどちらも結婚に失敗していました。

 セツさんは1886年頃に、養家の稲垣家に前田為二さんという士族の男性を婿にもらい結婚します。しかし、借金を抱えた稲垣家の窮状や、一家の大黒柱として期待される重圧に耐えられなくなった為二さんは、1年ほどで大阪に出奔してしまいました。セツさんは彼を迎えに大阪まで行くものの、心ない言葉を浴びせられ、別れることになったそうです。

 一方、1869年に19歳で渡米したハーンさんは、1872年頃からオハイオ州のシンシナティ・インクワイアラー社で記事を書き始め、1874年に正社員に採用されます。その後、ハーンさんは文才を活かして人気の新聞記者となっていくのですが、最初の結婚で躓いてしまいました。

 ハーンさんは1872年頃、下宿先で料理人をしていた、白人と黒人の混血女性マティ・フォリーさんという女性(当時18歳)と出会い、恋に落ちます。ハーンさんが重い病気にかかったとき、マティさんが献身的に看病してくれたことが、結婚の決め手になったそうです。

 また、マティさんは自分が見たという「幽霊」の話をするのが得意でした。のちに結婚する「怪談好き」のセツさんとの共通点もあったのです。

 そして、ハーンさんは1874年の6月、マティさんと結婚しました。理想の相手との結婚に思えましたが、当時のオハイオ州は白人と黒人の婚姻を禁じており、周囲にも反対され、最初に結婚式を頼んだ牧師にも断られたそうです。

 それでもふたりは事実婚のような形で夫婦になることができましたが、その後の周囲の風当たりは強く、職場でも邪険に扱われ、アパートを借りるのも苦労し、さらにライバル紙にハーンさんの結婚を批判する記事まで書かれたといいます。その後、ハーンさんはインクワイアラー社から、給料の低いコマーシャル社に転職することになりました。

 さらに、マティさんとの関係もこじれていったそうで、各書籍を見ると「彼女は忽ち増長して厚かましくなり気取り屋となった」(評伝『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』引用)、「(マティは)同棲生活の間に、日頃にプラウドになり、我儘が募り、不躾に金品をのみ強要するに至った」(ハーンさんの長男・小泉一雄さんの著書『父小泉八雲』引用)と、マティさんがハーンさんを悩ませるようになっていったことが語られています。

 そして、マティさんとの結婚生活が破綻したハーンさんは1877年10月にシンシナティを去り、ニューオーリーンズで新聞記者として再出発しました。マティさんはその後、靴職人の男性と再婚し、彼が死ぬまで20年以上連れ添ったそうです。

『ばけばけ』第1週4話では、ヘブンが拳銃自殺を試みる場面がありました。時期的に1875年頃と思われるので、当時のヘブンもハーンさんのように結婚に失敗し、仕事でも苦汁をなめていたのかもしれません。今後、語られることはあるのでしょうか。

※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」

参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』(中央公論新社)、『小泉八雲 漂泊の作家 ラフカディオ・ハーンの生涯』(毎日新聞出版)、『父小泉八雲』(小山書店)

配信元: マグミクス

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