【不倫ドキュメント・ファイル~なぜ禁断の恋をするのか?】

裏切者は許さない(写真:iStock)
世の中、不倫の話題で持ちきりだ。2024年に実施された調査によると、既婚男性の約2人に1人、既婚女性の約3人に1人が婚外恋愛経験者だという。SNSやマッチングアプリが普及し、不倫のハードルは下がる一方。しかし、その裏にある人間の欲望と自己演出には注意が必要だ。
ワイドショーの定番、それは芸能人の不倫騒動。謝罪会見に活動休止──愛に溺れた代償はあまりにも重い。
世間が「不倫=絶対悪」と決めつけるなかで、それでも、人はなぜその扉を開けてしまうのか。禁じられた恋に身を投じる不倫の背景をCA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持ち、数々の人間模様を見てきた筆者が読み解いていきたい。
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静かに燃え続ける復讐の炎

ずっとワンオペ育児(写真:iStock)
「サレ妻」という言葉が一般的になった昨今、浮気されても耐え忍ぶ女性もいれば、笑顔の裏で静かに牙を研ぐ女性もいる。今回紹介する亜紀さん(45歳・専業主婦/子供あり)は、まさに後者だ。
しかも夫に寝取られた相手は、人生で最も心を許した「親友」。愛情の裏切りに加えて友情まで踏みにじられるという二重の地獄。それでも彼女は折れなかった。
むしろ、心の奥で燃え続ける「復讐の炎」こそが、今日まで彼女を支えてきたという。
亜紀さんは静かに語り始めた。
「夫の二三男さん(48歳・金融/経営者)とは、恋愛ではなく『家同士の結びつき』で結婚したんです。私の祖父は関東圏の政治家、夫の祖父は老舗呉服店の創業者。お見合いから始まり、流れるように結婚。恋愛というより体裁としての夫婦でした」
結婚後は都内の一等地に暮らし、夫は金融業で順調に成功。亜紀さんは専業主婦として家庭を守った。しかし華やかに見える生活の裏で、夫は家庭にほとんど興味を示さなかった。
「『男は外で戦うものだ』が夫の口癖。娘が生まれても育児はすべて私任せ。夜中の帰宅、休日は接待ゴルフ。夫婦というより、ただの役割分担でした」
バーベキューで会った優しいシングルマザー

明るく声をかけてきて(写真:iStock)
そんな夫が、娘が5歳になった時、「会社の社員を呼んで、娘の誕生日も兼ねて庭でバーベキューをしよう」と珍しく家庭的な提案をしてきた。
当日は、10名の社員が集まった中、ひとりの若い女性が明るく声をかけてきた。
「奥様、お手伝いしますね」
彼女こそ、絵里さん(当時23歳)。4歳の娘を育てるシングルマザーで、人懐っこい笑顔と気さくな物腰が印象的だった。亜紀さんとは年齢も近く、すぐに心を許した。
「夫の仕事ぶりや、冷えた夫婦仲の悩みも、本気で聞いてくれる人でした。『社長は本当に頑張っていますよ。周囲に認められたいと必死なんです』と、夫のことをフォローしてくれて。ああ、こんな女性と友達になれたら…そう思ったんです」
実は、ママ友の世界はマウンティングだらけだ。
「『うちの夫は東大卒で』『子どもに恥をかかせないよう、外車に買い替えたの』など、自慢合戦ばかり。そんな中、絵里さんの素朴な優しさは宝物でした」
