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『ばけばけ』ヘブン先生が1か月だけレストラン経営してたのは実話通り 史実を見ると「値段が衝撃」「最悪の潰れ方」

『ばけばけ』ヘブン先生が1か月だけレストラン経営してたのは実話通り 史実を見ると「値段が衝撃」「最悪の潰れ方」


『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)

【画像】え…っ!「めっちゃ美味そうなんだけど」「絵が上手すぎ」 コチラが小泉八雲がアメリカ時代に「自分で挿絵も描いた」意外な料理本です

料理好きでもあったハーンさん

 2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)さんと、彼を支え、さまざまな怪談を語った妻の小泉セツさんがモデルの物語です。

 11月21日放送の第40話では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の未来の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、同僚の「錦織友一(演:吉沢亮)」や生徒たちにクイズを出す場面が描かれました。そこでヘブンがギリシャ出身であることや、現在40歳であることなどが明らかになります。

 今回のクイズ大会で出された問題の答えは、いずれもヘブンのモデル、ラフカディオ・ハーンさんの事実に基づいていました。ハーンさんは1850年6月にギリシャのレフカダ島に生まれ、2歳でアイルランドに移住、松江にやってきた1890年8月時点で40歳です。

 また、40話で明らかになった情報のなかで、特に意外に思う視聴者の声が多かったのが、ヘブンが「1か月だけレストランを開いたことがある」という事実でした。こちらも、ハーンさんの実話に基づいています。

 1869年に渡米したハーンさんは、1874年にオハイオ州シンシナティのシンシナティ・インクワイアラー社という新聞社の正社員になり、優秀な記者として人気を得ました。しかし、州の法律を無視してマティ・フォリーさんという黒人と白人の混血女性と結婚したことで、職場での風当たりが強くなり、ハーンさんは給料の低いライバル社に転職、その後マティさんとの結婚生活も破綻し、1877年にルイジアナ州ニューオーリーンズに移り住みます。

 ハーンさんはニューオーリーンズでデイリー・シティ・アイテムという新聞の準編集者の職を得ますが、アイテム社の給料は週10ドル程度しかなく、シンシナティで最高週25ドルも稼いでいたのと比べると、収入はだいぶ落ち込んでいました。

 そこで、ハーンさんは倹約を心掛け、毎週2ドルで生活をやりくりして100ドルの資金を貯めます。そして、ある友人と1879年3月2日に「不景気(ハード・タイムズ)」というレストランを開きました。

 ハーンさんの経営は大胆で、このレストランは何でも1品5セントという、破格の値段だったそうです。職場のアイテム紙も利用し、ビラに「なんだって相場の半額」「南部で一番安い料理店」と書いて新聞に挟み込んだといいます。

 当時ハーンさんが知人に送った手紙によれば、行きつけの中国人夫婦のレストランが、定食4皿にコーヒーとお茶菓子付きで25セントという値段設定で、広告も出さずに繁盛していたため、それを参考にしたそうです。

 しかし、レストラン「不景気」は1879年3月22日、開業からわずか20日で潰れました。経営に失敗したどころの騒ぎではなく、一緒に店を開いた友人が売上金を持って、料理人と一緒に逃げてしまったのです。ハーンさんによると、彼は「コーヒーがまずいという客を殺しかねない凶暴な大男」でした。ハーンさんのもとには、負債だけが残されます。

 ハーンさんはこの失敗を経て、20代の最後に文筆業だけで生きていく決意を固めました。後年、自分のような馬鹿正直者は商売など到底できないと、家族に漏らしたそうです。

 しかし、ハーンさんの料理への興味は尽きず、彼は新聞記者を続けながら米・仏・西の文化が混じり合ったニューオーリーンズ独特の「クレオール文化」の料理について研究し、1885年に400ものレシピをまとめた生涯唯一の料理本『クレオール料理 (A Collection of Culinary Recipes) 』を発表しています。

『ばけばけ』でもいずれ、ヘブンお手製のクレオール料理が出てくるかもしれません。

※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」

参考書籍:『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』(著:田部隆次/中央公論新社)、『小泉八雲 漂泊の作家ラフカディオ・ハーンの生涯』(著:工藤美代子/毎日新聞出版)

配信元: マグミクス

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