●闇バイト対策で需要アップ。抑止力としての効果も期待
ネットワークカメラ市場が大きく成長している背景にはいくつかの要因があるが、最大のトピックとして挙げられるのが、23年末ごろから社会問題として取り上げられるようになった「闇バイト」だ。特に関東地方を中心とした連続強盗事件が報道されるようになった24年夏以降、ネットワークカメラの販売が伸びた時期とリンクする。
一連の報道によれば、闇バイトによる犯罪は事前に下見して侵入経路などを確認した上で行われているとのこと。ネットワークカメラは映像の記録や遠隔モニタリングのほか、設置するだけで犯罪を抑止する効果も期待できるため、防犯対策を検討する一般家庭で支持を伸ばした格好だ。
●盤石になった「Tapo」シリーズへの信頼感
実は一般家庭向けのネットワークカメラを展開しているメーカーはそれほど多くない。TP-Linkはネットワークカメラのブランド「Tapo(タポ)」シリーズを、市場が立ち上がり始めた19年ごろから展開しているが、競合が少ないことも追い風にシェアを着実に伸ばしてきた。
ネットワークカメラは防犯目的ということもあり、ユーザーにとって信頼性が最重要。先行者として地道に製品開発やマーケティングに取り組んできたことや、「最も売れている」という事実が他のカテゴリー以上に評価され、ここ数年でさらに地位を盤石なものにしたのだ。
より具体的な理由として、根本氏はTapoシリーズの多彩なラインアップと全モデルに共通する使いやすさを挙げる。「Tapoはそのときどきで変化するお客様のニーズに合わせたモデルをコンスタントにリリースしてきた。例えば、直近では4Kモデル。フルHDでも顔くらいなら認識できるが、4Kであれば車のナンバープレートまで鮮明に確認することができるため、需要が高まっている」(根本氏)。
4Kモデルに加えて、新たなトレンドになっているのが、配線不要のフルワイヤレスモデルだ。従来のネットワークカメラは電源を確保するために配線を行う必要があり、一般家庭では導入の大きなハードルになっていたが、同社は小型のソーラーパネルと本体を一体化することで、この課題を解決した。
全モデルに共通する使いやすさに該当するのが、アプリと記録方法だ。セッティングから映像の確認までスムーズに操作できるアプリはブラッシュアップを重ね、多機能ながらシンプルなインターフェースに仕上がっている。デジタルに詳しくない高齢者からも好評で、同シリーズの安心感につながっている。
記録方法は、全てのモデルでローカル保存とクラウド保存の2パターンに対応している。コストを抑えるならSDカードによるローカル保存、セキュリティを強化するなら有償サービスを活用したクラウド保存という選択肢があるので、ユーザーは予算や目的に沿ったぴったりの使い方ができる。
なお、有償サービスについても、iOSが月額400円/台~(年額4000円/台~)、Androidが月額440円/台~(年額4400円/台~)とリーズナブル。コスパがすぐれている点も魅力となっている。今後は室内のHDDに映像を記録できるNAS機能を備えたハブ製品も展開予定で、使い勝手の良さはさらに高まりそうだ。
エンジニアである齋藤氏は、Internet Protocol Version 6 (IPv6)に対応していることも、ユーザーにとって安心材料につながっていると語る。「市場で現在販売されているモデルでもIPv6に対応していないものは意外と多い。当社製品はネットワーク機器のメーカーということもあり、このあたりは漏れなく対応している」とのことだ。

