
なんだかだるい、肌のくすみが気になる、疲れが取れない……冬になるとこんな不調を感じること、ありませんか?
その原因の一つが、体の”サビ=酸化”。抗酸化食材を意識して食べていても、食べ方や油の使い方を間違えると効果が減る可能性もあります。内科医の工藤あき先生に、冬の抗酸化ケアと油の賢い使い方を伺いました。
冬に”なんとなく不調”が増えるのはなぜ?

なぜ冬になると、こうした不調を感じやすくなるのでしょうか。その背景には「体の酸化」が関わっている可能性があります。
「寒暖差や乾燥が体にストレスをかけます。暖房の効いた室内と冷え込んだ屋外を行き来するだけで、自律神経は想像以上に疲弊します」と工藤先生。冬は乾燥で肌のバリア機能が低下し、日照時間の減少で気持ちも落ち込みがち。こうした心身のストレスが続くと、体内で「活性酸素」が大量に発生します。
活性酸素とは、細胞やDNAを攻撃する物質。この活性酸素によって体が”サビる”、医学的には「酸化」と呼ばれる状態に。
酸化が進むと、血管の脂質が酸化して動脈硬化の原因になったり、肌にシミ・しわ・くすみができたり、代謝が低下して疲れやすくなったりする可能性があります。さらに、酸化と糖化は負のループを形成。糖化が起こると抗酸化酵素の働きも低下し、より酸化が進んでしまうのです。
酸化予防には、激しすぎる運動を避けることや、お酒・タバコを控えることも大切ですが、生活習慣を急に変えるのは難しいもの。工藤先生は、「何かをやめるより、プラスする方が続けやすい。だからこそ、毎日の食事で抗酸化食材を取り入れることが現実的な方法です」とアドバイスしてくれました。
“抗酸化食材”もサビると効果半減してしまう?

体の酸化を防ぐために、積極的に摂取したい抗酸化食材。でも、食べ物自体が”サビて”しまったら効果は期待できません。
(工藤先生)「食べ物も大気中の酸素と反応して酸化します。リンゴを切ったときに断面が茶色く変色するのは、リンゴのポリフェノールが酸素と反応している証拠。市販のお茶やカットフルーツにビタミンCが添加されているのは、酸化を防いで栄養価を保つためなんです」
では、酸化した食べ物を口にするとどうなるのでしょうか。
(工藤先生)「酸化した食材は体内で酸化ストレスを発生させる可能性があります。例えば時間が経ったお惣菜の揚げ物や、古い油で調理されたものは油が酸化しています。せっかく抗酸化を意識しても、かえって体を酸化させてしまうことになりかねません」
程度の差はあれど、酸化した食材は本来の抗酸化力を失っている可能性が高いのです。抗酸化食材の効果を最大限に引き出すには、フレッシュさが何より重要。野菜や果物は切りたてを、揚げ物は作りたてを食べることが理想的です。
