やはり長男は姿を見せず――。
「ミスタージャイアンツ 長嶋茂雄 お別れの会」が11月21日に東京ドームで開催され、政財界人、巨人V9戦士、プロ野球会OBや現在のセ・パ両リーグ監督、巨人の現役選手らが別れを惜しんだ。ミスターの背番号にちなんで3万3333本の花に彩られた献花台を前に、ソフトバンクの王貞治会長、愛弟子の松井秀喜氏、親交があった俳優・北大路欣也が別れのメッセージを読み上げた。
まず王会長が特大の遺影を前にして、ミスターに語りかける。
「お元気ですか。本来はふさわしくない言葉かもしれないですが、写真を見ているとそう言いたくなります」
そして「長嶋茂雄は永遠です」と、故人の名言にちなんだ言葉で締めくくっった。
続いて松井氏が登場。
「葬儀では言いませんでしたが、今日はお別れの言葉を言います。ちょうど33年前のこの日、長嶋さんに巨人へ導いてもらいました」
ミスターが自身をクジで引き当てたドラフト会議を思い出すと、
「長嶋さんは僕の心の中で永遠に生き続けます」
そして北大路欣也だ。
「1990年に宮本武蔵の12時間ドラマをやったあとに、長嶋さんから直筆のお手紙をいただいた」
そこには宮本武蔵の「五輪書」を愛読し、宮本武蔵のように生きたいと思っていることが綴られていたという。
さらには高市早苗総理、大谷翔平、イチロー氏がビデオメッセージを寄せている。
この後は御手洗富士夫キャノン会長兼CEOや、長年CM出演してきたセコムの吉田保幸社長、小沢一郎衆院議員、川淵三郎氏らの指名献花が続き、ミスターの交友関係の広さを物語ることになった。
このお別れの会をめぐっては、阿部慎之助監督との確執が噂されたことで、
「巨人を電撃退団した桑田真澄前2軍監督の出席が、焦点のひとつでした」(スポーツ紙遊軍記者)
その桑田氏は槙原寛己氏などとともに出席している。
「さすがに長嶋家の長男として来場するのでは」とされていたタレント・長嶋一茂の姿はなく、巨人・山口寿一オーナーとともに巨人代表献花に登場したのは、三女の三奈さんだった。ミスターとは大きな確執があったとはいえ、出席者からは「一茂はやはり来なかったのか」と落胆する言葉が漏れていた。
午後は戦後最大のスーパースターのお別れの会とあって、一般の献花も受け付けたが、早朝から野球ファンが東京ドームを取り囲む、一大イベントとなったのである。
(阿部勝彦)

