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【現地取材】ヴェローナに敗れたペルージャ石川祐希が自省、次節の昨季王者との一戦は「またレベルの高い試合になると思う。こういう試合を勝っていくために日々練習している」

【現地取材】ヴェローナに敗れたペルージャ石川祐希が自省、次節の昨季王者との一戦は「またレベルの高い試合になると思う。こういう試合を勝っていくために日々練習している」

現地11月16日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガ2025-26シーズン前半5節が行われ、男子日本代表の石川祐希が所属するシル スーザ スカイ・ペルージャはラーナ・ヴェローナとホームで対戦。セットカウント2-3(23-25、25-17、23-25、25-16、12-15)で激闘の末に惜しくも敗れ、今季初の黒星を喫した。

 昨季のコッパイタリアでヴェローナに決勝進出を阻まれたペルージャは、快勝したクーネオ戦から中2日のハードスケジュールで因縁の相手との一戦に臨んだ。

 先発は、司令塔が感冒による体調不良から復帰初戦のイタリア代表シモーネ・ジャンネッリ、OPは元チュニジア代表ワシム・ベンタラ、MBにアルゼンチン代表アグスティン・ロセルとイタリア代表ロベルト・ルッソ、Lが元イタリア代表マッシモ・コラチ。OHには2試合連続で先発出場の石川と、その対角にポーランド代表カミル・セメニウクを起用した。〈S:セッター、OH:アウトサイドヒッター、OP:オポジット、MB:ミドルブロッカー、L:リベロ〉

 一方のヴェローナは、チヴィタノーヴァにストレートで敗れて3位となったものの、ペルージャ戦まで丸1週間を準備に費やした。敵将は2023-24シーズンから2季にわたり率いたトレンティーノでチャンピオンズリーグ優勝とリーグ制覇を果たし、スロベニア代表を指揮するファビオ・ソーリ新監督だ。

 規格外な得点力を備えるノウモリー・ケイタ(マリ)と主将でクラブ創設の2021-22シーズンから在籍する23歳のロック・モジッチ(スロベニア代表)のOH2枚、ロレンツォ・コルテジアと、石川とともにミラノでプレーオフ2季連続4強入りを果たしたマルコ・ヴィテッリのイタリアMBコンビにLのフランチェスコ・ダミーコが昨季からの主力メンバー。そこに司令塔マイカ・クリステンソン(米国代表)とOPダルラン・ソウザ(ブラジル代表)ら新メンバーを加え、虎視眈々と初タイトル獲得を狙っている。

 緊張感に包まれ幕を開けた第1セットは一進一退のまま後半へ。16-15でジャンネッリのブロックディフェンスを石川がレフト攻撃で得点へつなげてリードを2点に広げた。ところが、終盤の入りに守備で連携ミスが出たペルージャは、ケイタのサーブでエース2本を許して2点ビハインド。レセプションで失点に絡んだ石川だったが、すぐにブロックアウトで点差を詰める。

 それでも直後にネットから離れたトスをクロス方向へ打ち切ったアタックが惜しくもコートを外れ、続くロセルの攻撃もブロックに阻まれてしまう。相手のセットポイントを3度にわたりしのいで23-24と粘ったペルージャだったが、OPダルランに9得点目を決められて第1セットを奪われた。

  第2セットはベンタラと石川のサーブでブレークを重ねて序盤に4点リード。しかし、相手のエースの後、被ブロックやレセプションの乱れで中盤に9-9とされる。そこから、ルッソと石川がサーブでブレーク4本に貢献。石川は以降も守備でセメニウクのブロックアウトを引き出すと、自らもバックアタック2打やレフトからの絶妙なプッシュで次々と加点し、ペルージャがヴェローナのブレークを単発4本に抑えてセットを奪い返した。

 第3セット開始から間もなく石川のアタックが相手ブロックに阻まれ1点を追う展開に。ジャンネッリのエースで同点へ追いつくが、次のサーブはネットにかかりセメニウクの被ブロックで劣勢へと逆戻りする。ペルージャは8-11の場面で第1セット終盤と合わせケイタに3本目のエースを献上した石川をベンチに下げ、元ウクライナ代表オレフ・プロトニツキを送りだす。後半、ベンタラの好調な攻撃とエース2本を含むサーブで18-18と巻き返したが、セメニウクのサーブミスでセットポイントを握ったヴェローナがモジッチのストレート弾で2セットアップ。ペルージャは後がなくなってしまう。

 フルセットへ持ち込みたい第4セット、ここでも攻撃にエースとベンタラが奮闘を見せ序盤に5点のリードを奪う。さらにセメニウクと、このセット開始からコートインした元アルゼンチン代表セバスティアン・ソレのエースなどでたたみ掛け、ヴェローナを突き放してそのままセットを奪取した。

  迎えた最終セットは両者譲らず接戦のままコートチェンジ。ところが、9-9からOPダルランにタイムアウトを挟んで3連続エースを許してしまう。11-13と窮地に追い込まれた場面で投入された石川がレフト攻撃で相手の初回マッチポイントを阻止するも、次のプレーでMBヴィテッリのクイックがコートに突き刺さり試合終了。ペルージャは今季初黒星を喫して勝点1を手にするに留まった。

 石川は8得点(アタックのみ)を記録。繰り上げ開催の最終節を含め消化試合が1つ多いペルージャの順位は暫定首位。最終節を除いて試合数を揃えた場合は、勝点(14)と勝利数(5勝1敗)で並び得失セット率で上回るヴェローナに首位の座を明け渡して後続2位となっている。

 昨季のペルージャは、ヴェローナに敗れたコッパイタリア準決勝から3連敗に見舞われた時期にテンポの速い攻撃の導入へと舵を切った。「前シーズンの過ちは二度と繰り返さない」と繰り返し発言しているアンジェロ・ロレンツェッティ監督は、それを継続して今季へ臨むと決断。ここまでの7試合で、セッターとのコンビネーションで試行錯誤が続いた昨季から精度は格段にアップしており、石川が当時のインタビューで「適応に最も労している」と明かしていたベンタラの好パフォーマンスがそれを物語っている。

 新加入の若手セッター、ブライアン・アルジラゴスが度肝を抜かれたという高速テンポ。それを誰よりも知る背番号14に今、感じている手応えは? と筆者が尋ねるとこのような返答が返ってきた。

 「今日は1本チャンスボールから速いセットを打った時に、相手のブロックが見えずにネットのギリギリに、これくらいしか手が出てないところに当たってシャットされてしまったので、、、」と第3セットにケイタのサーブをAパスで上げ、好機を作った自身のレセプションを得点に変えられなかった一打を、手振りを交えて自省した。

 続けて、「そういうリスクもあるなっていうことは考えなければいけないですけど、まぁ悪くはないかなっていうか、いい形ではまっていると思います」としっかり前を向き、手応えを口にしている。

 ロレンツェッティ監督は試合後のクラブ公式インタビューで、「負けたことは決して肯定できないが、内容はよかった。選手たちは丁寧なプレーに徹している。このような戦い方を継続していくことが大切だ。改善すべき昨季からの課題がいくつかあるのは確かだが、総評としては厳に戒めるほどネガティブな点はない」とチームのパフォーマンスを評価。その表情や口調に落胆や焦りの色はなく、むしろ今後のシーズンへ向けて好感触を得られた試合と捉えているようだ。

 ペルージャは次戦のレギュラーシーズン前半7節(日本時間11月24日午前2時開始予定)で、3位イタス・トレンティーノとのアウェー戦に挑む。

 石川は1週間を準備に充てて迎える昨季リーグ王者との一戦へ、「またレベルの高い試合になると思うのでしっかりと切り替えたい。こういう試合を勝っていくために日々練習しているので、まずはこの1週間しっかり練習して臨みたいです」と、力強く抱負を語ってくれた。

取材・文●佳子S.バディアーリ

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配信元: THE DIGEST

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