トランプ大統領の「ロス五輪ファースト」指令で大慌て
11月13日まで、米ネバダ州ラスベガスで行われていたMLBのGM会議。スポーツ各紙はポスティング制度でメジャー移籍を目指す村上宗隆(ヤクルト)、岡本和真(巨人)、今井達也(西武)に対する各球団の動向を連日報じたが、煮詰まるのは12月8日からのウインターミーティング(米フロリダ州オーランド)。テーマは別のところにあった。
「来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への米国人選手の派遣自粛問題です」(ドジャース番記者)
2028年夏のロサンゼルス五輪で野球が復活する。
金メダルを獲るには、ドリームチームをつくるのが手っ取り早いが、選手および球団の負担が大きい。不慮のケガがついて回るからだ。
ホワイトハウス筋によると、そこでトランプ米大統領(79)が突然に「ロス五輪ファースト」指令を出したという。
「GM会議を前にこの情報が流れ、対応を協議した。とりわけ慌ただしかったのが、五輪開催都市ロサンゼルスが本拠地のドジャース。会場がドジャースタジアムで、五輪協力は最優先。すでにムーキー・ベッツ、ウィル・スミス、タイラー・グラスノーの3選手はWBC出場辞退の方向に傾いている」(同)
そうなると影響が懸念されるのが「侍ジャパン」の大谷翔平(31)、山本由伸(27)、佐々木朗希(24)の扱いだ。
これまでドジャースは大谷の意向もあり、出場を容認する方針だったが、GM会議後のブランドン・ゴームズGMは「まだ話し合っていない。今後、近いうちに協議していくことになる」と、球団方針を大きく後退させた。
米国選手の主力勢を辞退させる以上、米国の最大ライバルの「日本人選手は出場オーケー」ではフェア性に欠く。そこで大谷、山本、佐々木の出場も見合わせる公算が高まっているのだ。
背景にあるのが、ブルージェイズとのワールドシリーズだ。延長18回を含む死闘を演じ、何とか「連覇」は果たしたものの、疲労残りは明らか。
ある意味でトランプ氏の五輪優先方針は“渡りに船”だった。
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大谷・山本・佐々木、WBC出場は黄信号
中でも山本は、シーズンを通してただ一人先発ローテーションを守り、ポストシーズンもフル回転。
ワールドシリーズでは2戦目と6戦目に先発し、7戦目は「中0日」でリリーフ登板。24年ぶりの“シリーズ3勝”でMVPに選ばれたが、その反動が懸念されている。
大谷も’23年オフの右肘手術から二刀流の復帰1年目を終えたばかり。来季は開幕からリアル二刀流で参戦するとみられ、球団の誰もが「無理をさせたくない」と考えている。
チーム事情でポストシーズンは抑えに転じ、チームを救った佐々木も、5月に右肩を壊して長期離脱した。
来季は年間通して先発ローテ入りが期待され、WBCが行われる3月はトレーニングで調整する必要がある。
「球団の意向で山本と大谷、佐々木は3人とも検討中というが、山本と佐々木の参加は現実的でない。残すは大谷のDH(指名打者)縛りでの参加だが、次に右肘手術となったら、投手を断念せざるを得ないという懸念もある。
ロバーツ監督(53)はABEMAのインタビューで『個人的には3人ともWBCに参加しないでほしい』と言い切っている。これが球団の本意でしょう」(スポーツ紙デスク)
先のワールドシリーズでは手に汗を握る試合が続き、全7戦の平均視聴者数は日本、米国、カナダの3カ国合計で3400万人。第7戦の米国とカナダ合計視聴者も史上最多規模の2430万人。
日本でも全試合の平均視聴者数が970万人を数えるなど、世界中が二刀流・大谷の活躍に湧き立った。
ところが、ドジャース・ロバーツ監督の評判は決して芳しくない。
