材木座文庫誕生の背景に、奇人の存在……?
ノラさんに大きな影響を与えた、ひとりの“奇人”。
その人こそ、戦後にBBC日本語放送のアナウンサーとして海外で活躍し、その風変わりな生き方が『ある奇人の生涯』(木耳社)として書籍化された、故・石田達夫さんです。
戦争を経験し、世界を渡り歩いた石田さんは、晩年に長野県の自宅で英語塾を開校。
その塾に生徒として通っていたノラさんは、当時の石田さんの印象を「変わり者のおじいちゃんだった」と振り返ります。
奇人・石田さんは、見ず知らずの旅人たちに道で声をかけ、仲良くなったら自宅に住まわせることもあったようで、彼の英語塾兼自宅には、生徒である子どもたち、旅する大人たちが垣根なく集い、混ざり合っていたといいます。
そんな不思議な体験から、「大人も子どもも関係なく集まれる場所って、いいなって思った」そう話すノラさんは、コロナ禍で在宅勤務へ切り替わったことをきっかけに、長年ふんわりと心に描いていた場づくりに、そっと一歩を踏み出していったのです。
路地裏で見つけた、ほっとする居場所
近所に知り合いも少なかったノラさんは、「人は来るだろうか」と少し不安を抱きながら、2023年に材木座文庫を開館。
静かな路地裏に、「面白そう」と興味を寄せた大人たちがふらりと訪れ、やがて子どもたちも遊びに来るようになりました。
編み物や読み聞かせが好きな地域の人たちと出会い、協力してイベントも生まれ、ノラさんが始めたユニークな試みは、少しずつ、やさしく温かな輪を広げています。
この投稿をInstagramで見る
材木座文庫
〒248-0013 神奈川県鎌倉市材木座4丁目5-4開館時間
月・水・金・土:13~18時
※火・木・日は定休日
※詳細・最新情報は公式インスタグラム(@zaimokuza_library)を参照。アクセス
バス停「九品寺」から徒歩5分
「鎌倉駅」から徒歩20分
▼連載記事
#1 東京都中央区「晴海図書館」
#2 神奈川県横浜市「神奈川県立図書館」
#3 北海道札幌市「札幌市図書・情報館」
#4 東京都千代田区「日比谷図書文化館」
#5 東京都江東区「深川図書館」
