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「ボールを蹴るのが怖くなった」駒澤大で1年生から主力も最終学年で味わった“挫折”。苦しみ続けた今季を経て小林栞太はJ入りを目ざす

「ボールを蹴るのが怖くなった」駒澤大で1年生から主力も最終学年で味わった“挫折”。苦しみ続けた今季を経て小林栞太はJ入りを目ざす


 強烈なミドルがゴールネットに突き刺さった瞬間、駒澤大学の応援席が大歓声に沸く。苦しみ抜いたキャプテンが自らの左足でチームの1部復帰に貢献した。

 11月15日に行なわれた関東大学サッカーリーグ戦2部の最終節で2位の駒澤大は首位の法政大と対戦。この上位直接対決で、前半から得点を重ねて4-0の完勝。2部優勝と1部昇格を決めた。

 その大一番で輝きを放ったのは、4-4-2の左サイドハーフで久々に先発入りしたDF小林栞太だ。1-0で迎えた17分、左サイドを駆け上がると、中央からのパスにダイレクトで合わせて豪快に左足のシュートを突き刺す。「すごく落ち着いて枠に入れることだけを考えた」と自慢のキックを遺憾なく発揮した。
 
 そんな小林は鹿島アントラーズユースから21年に駒澤大に入学し、1年時には開幕スタメンとゴールを記録するなど、当時から主力として試合に絡んできた。順風満帆な大学生活を送り、最高学年に上がる際にはキャプテンにも立候補。先頭に立ってチームをけん引していく意欲に満ち溢れていた。

 しかし彼に待っていたのは、過酷な日々だった。昨季終盤に左ひざの半月板を損傷し、手術とリハビリを経て今年5月に復帰するも、翌月には左ひざの内側側副靭帯を断裂。さらに半月板も以前とは異なる箇所を痛めるなど、短期間で2度も大きな怪我に見舞われた。ピッチに立つどころか「ボールを蹴るのが怖くなった」と言う。

 ピッチの上で主将として味方を先導する姿を思い描いていた大学最終年は、自身の左ひざと向き合う時間となった。「キャプテンとして本当このままチームに何も残せずに終わっていくのかな」という焦りに加えて、4年生になって試合に出始めた同級生が活躍する姿に「自分ももっとできるのに」と悔しさを募らせた。「チームがうまくいけばいくほど複雑な気持ちにもなった」と不安な感情も自らを蝕んだ。
 
 ただ、だからこそ自らの武器を磨き続けた。左足での正確なキックやクロスを持ち味としていた小林は、“蹴る恐怖”を克服するためにひざの状態を確かめながら何度も何度もボールを蹴った。法政大戦も少しでも出られればという見立てだったが、紅白戦での活躍も相まってスタメンに復帰。怪我で失いかけた自信を日頃のトレーニングや試合で取り戻した。

「正直キックは誰にも負けないという自信があった。けれども怪我をしたことでその自信が崩れてしまった。その中でリハビリを続けたり、この試合で久々にコーナーキックのキッカーを務めたりして、1本目から感触もよかった。そこで自信を取り戻せたかなと思う」

 そういった陰ながらの努力は、当然チームメイトも見守っている。最終戦でのゴール時に駒澤大の応援席から「本当に感動した」、「もう泣きそうだよ」という声が聞こえてくるなど、同僚たちにも6番の活躍は勇気を与えた。小林の代わりに腕章を巻き、今季を戦い抜いたGK永田陸も信頼を口にする。
 
「彼は1年生時に開幕戦でフリーキックを決めて、そこから輝いていくと思っていた。今年は少し落ちてしまったけど、やっぱりあいつが点を決めて終わると、“小林栞太で始まって、小林栞太で終わる”のだろうなと思っていた」

 決して理想的な最終年ではなかったかもしれない。それでも「3年生までの大学生活で少しうまくいきすぎた」と笑みをこぼすなど、これからのサッカー人生に向けてポジティブに捉えている。

「ここで大きく挫折したことによって、選手として逆境を跳ね返す力がひと回りもふた回りも強くなった。振り返ってみればケガはすごくキツかったけど、今後サッカーを続ける上で貴重な経験になったと思える」

 大学でのキャリアは一区切りとなったが、自身のサッカー人生としてはここが再スタート。精神的にも強くなった22歳がプロサッカー選手の夢を叶えるべく、挑戦を続けていく。

取材・文●藤井圭

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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