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多士済々なメンバーで極めて難解なレース、“卍巴”争いの主軸はジャンタルマンタルで揺るがない【マイルCS】

多士済々なメンバーで極めて難解なレース、“卍巴”争いの主軸はジャンタルマンタルで揺るがない【マイルCS】

11月23日、秋のマイル王決定戦となるマイルチャンピオンシップ(GⅠ、京都・芝1600m)が行なわれる。

 今年のメンバーは多士済々、様々な臨戦過程を経てトップホースが顔を揃えた。英国調教のドックランズ(牡5歳/英/H.ユースタス厩舎)も含め、なかには予想外の参戦を敢行する馬もいるため、能力の比較が非常に難しく、10回やれば10回違った結果が出そうなほど難解なレースに。特に人気上位は実力が伯仲。三つ巴、あるいは卍巴(4頭による争い)と、様々な前評判が聞こえている。

 争覇圏にいるのはGⅠ実績が上位の4頭、つまり卍巴の争いだとされている。その4頭とは五十音順で、アスコリピチェーノ(牝4歳/美浦・黒岩陽一厩舎)、ガイアフォース(牡6歳/栗東・杉山晴紀厩舎)、ジャンタルマンタル(牡4歳/栗東・高野友和厩舎)、ソウルラッシュ(牡7歳/栗東・池江泰寿厩舎)である。

 このなかで他を差し置いて一歩先んじているのは、ここまでマイルGⅠを3勝しているジャンタルマンタルだろう。2歳時には朝日杯フューチュリティステークス、3歳時にはNHKマイルカップ、そして4歳となった今年は安田記念を制し、今回のマイルチャンピオンシップを勝てば、JRAの牡牝混合マイルGⅠ完全制覇という偉業達成になる。この一点をもっても、このカテゴリーにおける王者と言える存在だ。
  秋の始動戦となった富士ステークス(GⅡ)は僅差の2着に取りこぼしたが、これは斤量59kgを背負ったことに加えて、マイルチャンピオンシップののちに香港マイル(GⅠ)へ遠征するため、いくらか余裕残しの状態で臨んだがゆえのことだと筆者は捉えている。高野調教師は共同会見で、「ドジャースの山本由伸投手の『Losing isn't an option』ではないですが、負ける選択肢はないという感じで、私たちもこの馬に対しては取り組んできました」とコメントし、大きな自信をのぞかせている。人気でも“主軸”の評価は揺るがない。

 昨年の覇者ソウルラッシュの評価は“対抗”。京都のマイル戦は〔2・1・1・0〕と馬券圏内を外したことはなく、今春はドバイターフ(GⅠ、芝1800m)で当時の香港最強マイラー、ロマンチックウォリアーを破って優勝した能力の高さは今回のメンバーで最上位と言えるもの。超高速馬場は合わないが、そこまで極端な時計にはならないであろう今の京都ならば、1800mもこなすタフさも加味して、ジャンタルマンタルと互角の勝負ができるだろう。もちろん7歳になっての衰えはいささかも感じられないし、ドバイでロマンチックウォリアーを下した際に手綱をとったクリスチャン・デムーロ騎手を鞍上に迎えられたのも好材料である。

 アスコリピチェーノは、2歳時に阪神ジュベナイルフィリーズを制し、3歳時には桜花賞(GⅠ)とNHKマイルカップ(GⅠ)でともに2着。今年のヴィクトリアマイル(GⅠ)で2年ぶりのビッグタイトル奪取を果たした。崩れたのは海外遠征での2回のみで、他はオール連対。ポイントは牡牝混合GⅠでの勝ち鞍が無いことで、昨年のNHKマイルカップの2着ではジャンタルマンタルに2馬身半差を付けられている。その点を割り引いて、3番手評価としたい。

 ガイアフォースは芝とダートの二刀流で、芝のマイルGⅠの実績では、安田記念が4着、4着、2着(ジャンタルマンタルと1馬身1半差)としている安定株。今秋は富士ステークス(GⅡ)からスタートし、ここでジャンタルマンタルとソウルラッシュを下して、あらためて能力の高さをアピールした。掴みどころがないという印象は強いが、やはり地力は芝のマイルでもトップクラス。本馬を4番手に取り上げる。
  他は一長一短であり、人気よりも能力が上回っていると思われる馬、伸びしろが大きい馬を狙ってみるのに妙味がある。

 昨年の本レースではソウルラッシュに次ぐ2着に入選したエルトンバローズ(牡5歳/栗東・杉山晴紀厩舎)は、ここ2レースで凡走したためにやや人気を落としている。本来は1800mがベストな馬で、スタミナが要求されるタフな流れになれば浮上してくるのがこのタイプ。上位拮抗で中盤から激しいレースになりそうなここは狙い目だ。

 上昇度が魅力的なのはラヴァンダ(牝4歳/栗東・中村直也厩舎)。2着、3着を繰り返して歯痒いレースが続いていたが、前走のアイルランドトロフィー(GⅡ)では中団から上り32秒4の末脚を繰り出して一気に突き抜けた。秋華賞で4着した経験を持ち、彼女にとってGⅠの壁はさほど高いものではない。優先出走権を持つエリザベス女王杯を見送って臨むマイル戦で、上位食い込みに期待したい1頭だ。
  オフトレイル(牡4歳/栗東・吉村圭司厩舎)は1400mを得意とするスプリンターと捉えられているが、3歳時には1800mのラジオNIKKEI賞(GⅢ)を制しているように、一筋縄ではいかない馬。手綱が渡ってから関屋記念(GⅢ)2着、スワンステークス(GⅡ)1着と手が合う菅原明良騎手の連続騎乗は好材料。〔3・3・1・0〕と、得意とする京都コースでの激走が見られるか。

 なお、本来は中距離向きのチェルヴィニア(牝4歳/美浦・木村哲也厩舎)とレーベンスティール(牡5歳/美浦・田中博康厩舎)は、マイルが距離不足と見て評価を下げた。

文●三好達彦

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配信元: THE DIGEST

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