
ロックミュージシャンとして知られるブルース・スプリングスティーンの若き日を描く映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」が、11月14日(金)に日本公開される。公開に先駆け、10月27日(月)の第38回東京国際映画祭【ガラ・セレクション】部門正式出品も決定した本作より、スプリングスティーンが76歳の誕生日を迎える9月23日午前7時に、本予告が公開された。
■ロック界の“The Boss”ブルース・スプリングスティーン
「ロックの英雄」「アメリカの魂」と称される歌手のスプリングスティーン。1949年9月23日、米ニュージャージー州フリーホールドに生まれ、1973年のデビュー以来、今もなおローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニーと同列の現役で最も象徴的なロック・アイコンとして君臨している。
自分自身の生きる喜びや苦悩、葛藤、痛みや怒り、現代社会が抱える矛盾やさまざまな問題を歌い続け、1975年に発表された「明日なき暴走」が一大センセーションを巻き起こし、“The Boss”と称される存在となった。
1984年に「Born In The U.S.A」を発表すると、84週連続ベスト10入り、世界で3000万枚以上売り上げるヒットを記録した。
本作の舞台は「Born In The U.S.A」発表前夜、1982年のニュージャージー。世界の頂点に立つ直前、若き日のスプリングスティーンが成功の重圧と自らの過去に押しつぶされそうになりながらも、わずか4トラックの録音機の前で、たった一人、静かに歌い始める姿が描かれる。
若きスプリングスティーンを、ディズニープラスで配信中のドラマシリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」でゴールデングローブ賞を獲得した、ジェレミー・アレン・ホワイトが演じる。
■ブルース・スプリングスティーンが76歳の誕生日に、本予告解禁が解禁
この度、“The Boss”ことスプリングスティーンの誕生日に合わせて、本作の本予告映像が解禁された。予告は、巨大スタジアムを埋めつくした観客に向かって、ブルース・スプリングスティーンがギターを振りかざす場面で始まる。
しかし、演奏の音は遮断され、場面は森の中の一本道へと切り替わり、スプリングスティーンが「人々が見つめるのは、理想を映した俺の姿」だと独白しながら歩く後ろ姿が映し出される。続いて、彼とマネージャーのジョン・ランダウがニューアルバムについて話し合う場面が登場する。
主人公・スプリングスティーンを演じるのは、ジェレミー・アレン・ホワイト。これまでとは異なる新たな演技で、ロック界のカリスマであるスプリングスティーンを体現している。また、マネージャーのランダウ役はアカデミー賞(R)ノミネートの名優である、ジェレミー・ストロングが務める。誰もいないメリーゴーランド場の映像に、ランダウの「彼は、成功や名声を置き去りにすることに罪悪感を抱いていた」という声が重ねられていく。
映像は、今は誰も住んでいないニュージャージーの家を車中から見つめる場面へと続く。「過去は俺を追いかけ、未来は逃げていく」というモノローグに、幼少期の父との関係を描いたモノクロの回想シーンが差し込まれる。父親役は、「アドレセンス」で、第77回エミー賞リミテッド・シリーズ部門主演男優賞に輝いたスティーヴン・グレアムが演じている。
さらに映像では、レコード会社を訪れたランダウが重役から「次のアルバムは必ず大成功する。それを逃すわけにはいかない」と一気にまくし立てられる場面が描かれる。映像が切り替わり、コンサートの熱狂がホワイトアウトすると、夜の街を歩くランダウはスプリングスティーンに「初めてチャートのトップ10に入った。連中は流れに乗ることしか頭にない」と伝える。
スプリングスティーンは、過去のトラウマと大ヒットを求められるプレッシャーを振り払うかのように、ニュージャージーの自宅にわずか4チャンネルの録音機材を用意し、レコーディングの準備を進めていく。ダイナーで顔を合わせたランダウに、「今の俺にはそれだけが意味を持つ。それだけが信じられるものだ」と、新アルバム『ネブラスカ』がどんな意味を持つかを伝えると、ランダウは「どんな代償を払っても、手に入れる」のだなと念を押す。こうしてふたりはロックの深淵へと踏み出していく。
やがて、『ネブラスカ』に収録された楽曲「Atlantic City」が流れ始め、スプリングスティーンの過去・現在・未来を象徴するように橋の映像が映し出される。彼が自宅にこもって創作を続ける一方で、ランダウは「キャリアとしては常識外れに見える。だが、それが彼の狙いだ。彼には確かに感じているものがある。とても個人的なことだ」と、レコード会社の重役に誠実に向き合う。
続くシーンでは、幼少期のスプリングスティーンがバーで酒を飲む父の大きな背中に恐る恐る手を姿と、そして突然姿を消した父に再会する成長した今が対比的に描かれ、決して消し去ることのできない過去と、未来への重圧を抱えた33歳のスプリングスティーンの葛藤が浮き彫りになっていく。そして、ランダウの「私たちは信じている。彼の音楽は人々に希望を与える」という言葉が胸を締めつける。
予告のラストでは、孤独のハイウェイを走るスプリングステイーン、いつも彼を見守るランダウの微笑みが切り取られた後、小さなライヴハウスのステージに立ったスプリングスティーンが「曲作りは答えを出す旅だ。誰かが人生に小さな意味をくれる」と目を輝かせる。観客の熱狂、恋人とのひととき、砂漠を疾走する車、いつも優しい母との抱擁、スタジオセッションなど、彼の人生を彩る様々な情景が次々に映し出される。そして、「完璧じゃなくていい、心に響けばいい」という彼の切実な言葉で予告映像は締めくくられる。

