
SKE48が、35枚目のシングル「Karma」を9月24日(水)にリリースする。ダンスチューンだった前作から一転、大人な楽曲となり、ダブルセンターには現在SKE48の顔となっている熊崎晴香と、初センターの佐藤佳穂が立つ。そして、初選抜には「本日の握手会、ヲタク約1名。」のSNS投稿が話題になった相川暖花がいる。9年目で初センターの佐藤、11年目で初選抜の相川、7年目で初選抜の中坂美祐、それぞれ長い道のりで夢をつかんだ3人に、選抜ステージに立つ覚悟を聞いた。
■佐藤佳穂「いつ指名されてもいいように覚悟を持って活動していた」
――佐藤さんは初のセンターポジションです。今のお気持ちはいかがですか?
佐藤:ずっと憧れていたポジションですし、ここ最近はいつ指名されてもいいように覚悟を持って活動していました。今回の発表にファンの方がすごく喜んでくれたのと同時に、安心をしてくださっている方もいて、それだけ私1人で目指してきた場所じゃないなというのをすごく感じています。
たくさんの人と一緒にたどり着けた場所でもあるので、本当に大切な楽曲にしていきたいですし、いろいろな方に届けていけるように、このポジションに甘えずに、ダブルセンターの1人として活動していきたいです。
――選抜には何度も選ばれていますが、「今度こそ」という気持ちもあったと。
佐藤:そうですね。「次こそは、次こそは」というのが何回も続いていたので、ファンの方には負担をかけてしまったかもしれません。でも、願ってきた時間が長かったからこそ、一緒に喜び合えるうれしさも大きかったなと思います。

■相川暖花「本日の握手会、ヲタク約1名。」からの逆転
――相川さんと中坂さんは初選抜。特に相川さんはここまでに11年と長くかかりました。
相川:自分でも選抜入りは本当にびっくりです。目標とすら言えないぐらい、いつからかそれを口に出すのも怖くなったぐらい遠い夢だったんですよね。たぶん私は選抜に入ることはなく辞めていくんだろうなって、かなうことがない夢だと思っていました。けど、春ぐらいから自分を取り巻く環境が変わって。今は選抜に入れたのはいいけど、気持ちが追いつくのに必死です。
――春ぐらいというのは、「本日の握手会、ヲタク約1名。」の投稿からですよね。あの寂しい状況が続いていたわけですか?
相川:はい。本当に人気がなくて、握手会はずっとガラガラでした。
――状況は変わりましたか?
相川:完売も出て、だいぶ上向きました。初めての方がたくさん会いに来てくださって、すごくうれしいです。
■中坂美祐、メンバーランキング最下位だった中学生の頃
――中坂さんは初選抜に対してどんな気持ちがありますか?
中坂:生誕祭やいろいろな場所で何度も目標だと話してきた場所なので、うれしいのはもちろんとして、最初は衝撃で信じられない気持ちでした。実感が湧いてこない夢のような感じが続いていたんですが、(8月5日に)選抜メンバーが発表されて、ファンの方にお祝いの言葉を頂いてから、「あぁ、選抜に入れたんだ」ってようやく実感できました。私も早くファンの方に伝えたかったので、喜んでもらえたのが本当にうれしかったです。
――中坂さんは、選抜への距離感はどのようなものだったのでしょう?
中坂:私にとっても遠い場所でした。メンバーの人気が目に見える場所って結構あって、握手会もだし、アプリゲーム(「SKE48アイドルアカデミー~私をNO.1アイドルにしてください!~」「SKE48の大富豪はおわらない!」)でのファンが応援しているメンバーランキングとか。私、最初の頃はランキングが毎月最下位だったんですよ。握手会に来てくださる方も全然増えなくて、どうしたらいいんだろうと、当時13歳、14歳なりにすごく考えながら頑張っていたなと思います。
それもあってか、数年前くらいからだんだん握手会に来てくださる方が増えてきて、ラジオの冠番組や、地元企業さんのコーデモデルに就任というお仕事も頂けるようになりました。ファンの方からも「次こそなかちゃん、選抜あるんじゃない?」って声を頂くようになりました。そこから自分でも期待はしていたんですけど、なかなか難しい時期が続いていて、そういう中での今回の選抜入りなので、少しはファンの方に恩返しができたのかなと思います。
――AKB48グループのメンバーは、どのアイドルグループよりも競争社会の中にいると思います。選抜と選抜以外というのをどんなときに実感しますか?
相川:一番はやっぱりコンサートのときですね。選抜は自分の衣装があるけど、選抜外は元々ある既存の衣装を組み合わせて作ったものや、選抜にちょっと似せた感じの衣装だったりするので。選抜メンバーはキラキラ輝く憧れの対象になりますね。
中坂:例えるなら、スタメンとベンチみたいな感じ。選抜のメンバーが欠席したとき、次に一番期待されているベンチメンバーが呼ばれると感じていたから、私は「中坂を入れよう」と思われるように、常に準備をしながら活動していました。

■禁断の恋を歌う大人なSKE48の新曲「Karma」
――新曲「Karma」のMVが8月6日に公開されました。楽曲を聴いたときの印象を教えてください。
佐藤:「Karma」は、前作の「Tick tack zack」、前々作の「告白心拍数」とはまたガラッと変わった曲調で、ダンスも技術面というより、フォーメーションや見せる動きに重きを置いている楽曲になっています。少し大人っぽくて、今までのSKE48からは少し深いところに踏み込んだ曲だなと思いました。
――深いところというのは、歌詞ですか?
佐藤:歌詞もですし、今作はリリースイベントも多くて、SKE48として勝負に出ているシングルなのかなって。そういう意味で踏み込んだシングルになっているという感じです。
相川:歌詞は大親友の恋人を好きなってしまうという禁断の恋。許されない恋だと分かっていても、その気持ちを抑えられないみたいな情熱的な愛を歌った曲になっていますが、曲調はイントロから疾走感があって、私はこのメロディー、すごく好きだなって思いました。
中坂:間奏の曲調とか、めっちゃいいんですよ。
――そのメロディーと歌詞の中のギャップがまたすごいですね。SKE48というと元気な楽曲というイメージもありますし。
中坂:今までの表題曲の中ではなかなかないタイプの楽曲ですよね。歌詞に使われている言葉の一つ一つが力強いというか、アイドルでこういう歌詞を歌っているグループも多くはないんじゃないかなと思います。そういうところで新しいSKE48を見せられるんじゃないかなっていうのは聴いていてすごく感じます。

■ダブルセンターの陰と陽、ダンスが引き立つMV
――センターは、その楽曲の期間中はグループの顔だと思います。佐藤さんはこの曲のレコーディングにどんな気持ちで臨みましたか?
佐藤:明るいイメージが強い晴香さんとは対象的に、私はどちらかというと暗いイメージで、ちょっとダークな部分を持ち合わせているような見え方をしていると思うんですよ。それは自分のいいところだと思うので、影を消すんじゃなくて生かせるようにしています。
MVでも晴香さんと対峙するシーンが多いので、対照的な見え方になるように意識しています。髪形も晴香さんがストレートのロングだから、私はウルフカットにしてみたり。初めてSKE48を見る方にも自分のカラーが伝わるように、スタッフさんと話し合いながら結構考えました。
――MVではどんなところが見どころになりますか?
相川:やっぱりダンスは注目してほしいです。振り入れも含めて3日間みっちり練習して合わせたので、個人個人の動きもそろっているし、フォーメーションもきれいに出来上がっています。特に真上から撮っているイントロシーンは一押しのポイントですね。メンバーが走ってきてきれいな渦巻きを作るんですけど、それがイントロの疾走感とめっちゃマッチしてて、今まで見たことがない撮り方だなって思いました。
――中坂さんも表題曲でのMV参加は初めてですよね。経験してどうでしたか?
中坂:もう緊張しっぱなしでした。カップリング曲のMV撮影ももちろん真剣なんですけど、表題曲での撮影は今まで意識してこなかった細かいところまでみんながきっちりそろえてきて、「これが選抜なんだ」って実感した期間です。すごくいい経験になりました。

■初めて立つ場所だからこその覚悟…17周年、そして未来へ
――10月11日(土)、12日(日)には名古屋・Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホールで「SKE48 17th Anniversary Festival 2025」が開催されます。こんなことをしてみたい、こんなところが楽しみというのはありますか?
相川:選抜と選抜外でいうと、やっぱり周年コンサートが一番ポジションの違いを感じるんですよね。選抜は常にステージの中心にいて、出演曲も多くて。選抜外はその周りを固める感じです。今回は初めて選抜メンバーとして周年コンサートに立てるので、そこはすごく楽しみです。
でも、だからこそ覚悟は持たないといけないという思いは強いです。選抜外のメンバーの気持ちは本当によく理解できるので、みんなの希望にもなれればいいなと思います。

■目指しているメンバーのために、このポジションの価値を高めたい
――初センター、初選抜という目標には届きました。次の目標や、今後はグループの中でどんな役目を持ちたいかなど、今後についての考えを教えてください。
中坂:直近の目標だと、今後も選抜メンバーであり続けられるように頑張ること。もっと先の将来的な目標としては、バンテリンドーム ナゴヤに立ちたいです。これはスタッフさんも含めたSKE48の全員の目標だと思いますけど、そのときにSKE48の中心に自分がいること。それが一番の目標です。
相川:私は4月からTeam Sのリーダーにもなったので、これからTeam Sをもっと盛り上げて、Team Sの良さをもっと世間に発信していきたいです。SNSでいろいろな人に注目されたからこそ、自分が入口になってSKE48を今以上に広めて、SKE48を好きになってもらえるように頑張りたいです。
佐藤:私は表題曲センターに加えてTeam KII「シアターの女神」公演でもセンターに指名されて、責任重大だなって痛感しています。センターを目指しているメンバーのために、このポジションの価値を高めたいと思うし、ファンの方のためにも今回限りでなく、続けてセンターに立てるように努力していきます。
あとは、挑戦する心を忘れずに。初めてのセンターだからといって守りに入らず、失敗してもいいから攻めていきたい。いろいろなことに挑戦していきながら、17周年を迎えて、そして18年目もみんなで走っていきたいです。
◆取材・文=鈴木康道


