
『あんぱん』蘭子役の河合優実さん(2024年11月2日、時事通信フォト)
【画像】え…っ? 「まず河合優実と顔が似てる」「めっちゃ美人」 コチラが「蘭子の一部モデル」の昭和の大物著名人(20代の頃)です
ほかのキャラよりもモデル多い?
『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢さんをモデルにしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』で、特に人気を集めている登場人物といえば、主人公「柳井のぶ(演:今田美桜)」の妹「朝田蘭子(演:河合優実)」です。最終週で、彼女と「キューリオ」の社長「八木信之介(演:妻夫木聡)」の恋模様がどうなるのか、気になっている方も多いでしょう。
戦前は進学せずに郵便局で働きながら家計を助け、戦争で結婚を約束した恋人の石工「原豪(演:細田佳央太)」を亡くし、戦後は物書きとしてキャリアを積んで、戦争体験者の取材にも取り組んでいる蘭子は、『あんぱん』の登場人物のなかでもかなり波乱万丈な人生を歩んでいます。その彼女には、公式で言及されている「3人のモデル」がいました。
まず、史実上の蘭子のモデルは、暢さん(旧姓:池田)の妹である瑛(えい)さん(1920年~2003年)です。 やなせさんと暢さんが初めて出会った、高知新聞時代に着目した書籍『やなせたかし はじまりの物語:最愛の妻 暢さんとの歩み』(高知新聞社)には、瑛さんの次男、川上峻志さんへのインタビューも載っています。
瑛さんは暢さんと同じく大阪の阿倍野高等女学校を卒業したのちに高知に戻り、南国市後免町の教員、曽我部鹿一さんと出会って結婚しました。その後、瑛さんは鹿一さんと満州にわたって3人の子宝(2男1女)に恵まれるも、戦争がはじまり、鹿一さんは徴兵されて戦死します。そして、1945年8月のソ連軍の侵攻後に瑛さんは子供たちを連れて鹿一さんの故郷、愛媛県今治市に引き揚げ、生活苦のなかでやむを得ず峻志さんを養子に出したそうです。
瑛さんは、60年代になってから暢さんの誘いで東京へ呼ばれ、経理担当としてやなせさんのスタジオの仕事を手伝うなど、姉夫婦を支えました。死後は鹿一さんとともに今治市の軍人墓地に眠っています。
蘭子は結婚、出産は経験していないものの、戦争で愛する男性を失った点や、しっかり者で頭がいいところなどは、瑛さんの人物像が反映されているのでしょう。
また、『あんぱん』の脚本を担当している中園ミホさんは、ドラマのガイドブックや各媒体のインタビューで、各登場人物に『アンパンマン』のキャラクターを当てはめていることを語っています。朝田家三姉妹は、のぶが「ドキンちゃん」、三女「メイコ(原菜乃華)」が「メロンパンナ」、そして蘭子は「ロールパンナ」がモデルだそうです。
三姉妹の衣装には戦前の着物姿のときから、それぞれキャラのイメージの配色が施されていました。蘭子のテーマカラーは、「ロールパンナのクリアなブルー」(東京ニュース通信社『NHK2025年前期 連続テレビ小説 あんぱん おたのしみブック』より)です。
メロンパンナの姉であるロールパンナは、「ジャムおじさん」が入れた「まごころそう」と、ばいきんまんの入れた「バイキンそう」によって、正義の心と悪の心の両方を持っています。
「蘭子=ロールパンナ」だと察していた視聴者からは、「蘭子中心のシーンになると映像、人物の感情表現の陰影が映画っぽくなる感じ。蘭子=ロールパンナちゃんを象徴しているというのが胸に落ちる」「八木さんに映画を批判してると指摘された時は、蘭子ちゃんはブラックロールパンナちゃんと同じ黒い服を着てた。謝罪のときは青い服の優しいロールパンナちゃんになっていて、衣装で二面性を表現してる」などの意見が出ていたほか、豪が戦死したばかりの頃は蘭子がロールパンナのように「闇落ち」してしまう展開があるのではないか、と心配する声までありました。
そして、ほかの『あんぱん』登場人物のモデルが「史実」「アンパンマンキャラ」に限られているなか、蘭子にはもうひとり「一部が重ねられている」人物がいます。その人物とは、ネット上でも予想されていた通り、昭和を代表する脚本家として知られる向田邦子さん(1929年~1981年)です。
1950年代後半、やなせたかしさんが雑誌に映画評を書いていた際の担当編集者だった向田さん(当時20代)は、フリーになってからもやなせさんが脚本を担当したドラマ『ハローCQ』(1964年)のシナリオを手伝ったり、やなせさんにエッセイ『父の詫び状』(1978年)のイラストを依頼したりと、長年親交を持っていました。
『あんぱん』には明確に向田さんに該当するキャラは登場しておらず、蘭子が上京してライターとして映画のレビューを書き始めた頃から、SNS上では「蘭子のモデルは向田邦子なのではないか」という噂が出始めます。
そして「週刊文春 2025年9月11日号」(文藝春秋)に掲載されたインタビューのなかで、脚本の中園さんは蘭子の物語に関して、自身が一番尊敬する脚本家である向田さんを「一部イメージして」書いていたことを明かしました。最初からそうすると決めていたわけではなく、蘭子が映画好きで文章が得意なキャラに育っていたので、途中から向田さんのイメージを重ねたそうです。
実在の波乱万丈な人生を送った女性と稀代の脚本家、『アンパンマン』屈指の人気キャラであるロールパンナも重ねられた蘭子には、最終回までにどのような運命が待ち受けているのでしょうか。26週の予告では、泣いている八木の姿と白髪姿になった蘭子がほほ笑んでいる場面が連続で流れており、どんな展開があるのか気になるところです。
