2025年シーズンのスーパーフォーミュラは、11月23日(日)に行なわれる第10戦(中止になった富士戦の代替開催)と第12戦を残すのみとなった。この段階でポイントリーダーに立っているのは坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)で、ライバルに対して大きなリードを保っているが、彼は自分がタイトル争いに「生き残った」立場だと考えている。
現時点でのポイントランキングでは、坪井が112.5ポイントでトップ、次いで太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が96点、牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が92点で続いている。こう見ると、坪井は残り2戦に向けてかなり優位な状況に見える。
しかしながら、坪井は残り2戦共に追い上げのレースをしなければならない。第10戦は牧野がポールポジション、太田が3番手、岩佐が4番手につけている一方で坪井は7番手。最終戦である第12戦も、PP岩佐、4番手太田、5番手牧野、7番手坪井というグリッド順だ。
坪井は土曜午前に行なわれた第11戦と第12戦の予選で上位グリッドを逃した時点で、自身の連覇への挑戦は「終わった」と感じていたという。ただ土曜午後の第11戦決勝では、逆転タイトルに向け視界良好だった岩佐がポールスタートながら1周目に接触リタイア。この岩佐のリタイアによって、4位に入った坪井は首の皮一枚でチャンスが繋がったと語った。
岩佐のコースオフを無線で聴いた時の心境を問われると、坪井は次のように述べた。
「普通にいったら優勝されると思っていました。逆に言うと、今日このような結果に終わっていなかったら、僕はタイトル争いから脱落かなと思っていたので、チャンピオンシップに生き残れたなという感じです」
「予選が終わった時点で正直『終わったかな』という感じだったので(苦笑)、首の皮一枚繋がったかなと思います。明日までタイトル争いに残れる以上は頑張りたいですし、ランキング2位とのポイント差を広げて明日に迎える点はポジティブに捉えたいです」
「あと2回しかレースができないですが、追う立場で失うものはないのでガンガンいきたいです」
スーパーフォーミュラのエンジンは基本的にはイコールコンディションとはいえ、ホンダとトヨタによる2メーカー供給であるため、2社のエンジンに特性差が存在する。ホンダエンジンは低温コンディションでのパワーに分があるとも言われており、今回のレースウィークでもその傾向が如実に出ている。ホンダ勢が上位を独占するという、トヨタ勢の坪井にとっては厳しい週末となっているが、持ち味であるレースでの強さを活かしてひとつでも順位を上げていけば、ポイントリーダーの座を守り切ることは十分可能だろう。

