最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
モラントはトレードされるのか?素行に問題、コーチと確執、故障が多く高年俸と悪条件揃うスターの行く末は<DUNKSHOOT>

モラントはトレードされるのか?素行に問題、コーチと確執、故障が多く高年俸と悪条件揃うスターの行く末は<DUNKSHOOT>

現地時間11月13日(日本時間14日、日付は以下同)、メンフィス・グリズリーズのジャ・モラントがボストン・セルティックス戦の試合中に右足ふくらはぎを負傷し、約2週間欠場すると発表された。

 このニュースに、グリズリーズの球団首脳は落胆しているはずだ。戦力として重要な選手であるからだけではない。トレードする上での商品価値が下がりかねないからだ。

 今でもモラントはグリズリーズの主力である。平均17.9点は離脱時点でチームトップ、7.6アシストも同様。何よりチームで一番の人気選手、全国区の知名度を誇るスタープレーヤーだ。

 契約も今季を含め3年残っているし、本人が出ていきたいと言っているわけでもない。そのような選手の放出など普通はあり得ない。だが、一向に改まらない素行の悪さを考えると、ほかの手段は残されていないかもしれない。

 モラントは、今やリーグ1の問題児と言っていい。2019年のドラフト2位指名でグリズリーズに入団すると、ルーキーイヤーに平均17.8点、7.3アシストをマークして新人王を獲得。3年目の2021-22シーズンには平均27.4点と一気に数字を伸ばしてオールスターに出場、MIPに選ばれた。
  ケビン・デュラント(ヒューストン・ロケッツ)からも「あいつはリーグの顔になるだろう」と言われていたほどで、同年オフには5年1億9400万ドルの高額契約を手にした。

 ところが2022年7月、モラントはメンフィスのショッピングモールで警備員と小競り合いになる。その直後には、自宅で開かれたピックアップ・ゲームに参加していた少年の頭部を叩き、警察が呼ばれた騒ぎも報道された。

 その後もモラントの家族や友人が絡んだトラブルが頻発。そして2023年3月には、自身のインスタライブ中に拳銃を見せびらかす愚行に及び、リーグから8試合の出場停止を科される。

 ところが何の反省もしていなかったようで、2か月後にまたも“拳銃見せびらかし”を繰り返す。再犯とあって25試合出場停止の重罰となり、もはやモラントはリーグの顔どころか、新たな悩みの種となってしまった。
  モラントは当初からトラブルメーカーだったわけではない。大学時代の彼を見ていたスカウトは「コーチの手がかからない、聖歌隊の少年のような男」と表現していたし、別のスカウトも「家庭環境、勤労意欲などすべての項目をチェックして、何ひとつ問題はなかった」と振り返っている。プロ入り後も最初の数年は、悪評は聞かれなかった。

 しかし、金銭と名声を得た者の周囲には、おこぼれにあずかろうとする人々が寄ってくるのが世の常。そうした連中を上手にあしらえればいいが、縁が濃ければ濃いだけ難しくなる。そもそも本人の鼻が伸びてしまい、それまでの謙虚さを失う例も多々ある。

 モラントもその落とし穴に嵌った。次第に金遣いが荒くなり、振る舞いが横柄になり、練習に遅刻したり、二日酔い状態で現れたりするようになった。今やメンフィスの歓楽街では“モラント御一行様”は要注意人物として警戒されているという。
  このような選手を扱う上で、現ヘッドコーチのトゥオマス・イーサロは適任とは言い難い。イーサロはフィンランドで生まれ、ユーロリーグで名将としての評価を高めた後、昨年グリズリーズのアシスタントコーチに就任して初めてNBAと関わりを持った人物である。アメリカのバスケットボール・カルチャーと縁が薄いだけでなく、育った環境もモラントとは対照的とあっては、彼を理解して適切に指導し、信頼を得るのは難しいだろう。

 また、戦術面でも短時間で一斉にメンバーを入れ替えるといった新機軸を打ち出しており、一部の選手から不満が漏れている。その“一部”には当然モラントも含まれており、11月初めに彼はイーサロと衝突し、チームから1試合出場停止を命じられていた。

 おまけに、モラントは故障欠場も多い。もともと果敢なプレースタイルが人気の一因でもあったのだが、身体能力の高さが体格に見合っていない印象もあり、2023-24シーズンは右肩の負傷で9試合の出場にとどまった。

 昨季も50試合で、これまではルーキーシーズンの67試合が最多出場。つまりは、現状のモラントは“素行に問題があり、コーチとの折り合いも悪く、故障がちな高年俸選手”なのだ。
  ただ、グリズリーズとしても簡単にモラントを放出できない事情がある。中小都市のメンフィスは、ニューヨークやロサンゼルス、マイアミのような、NBA選手たちが喜んで行きたがる土地ではない。人気FA選手を獲得できる確率は低く、特別な才能を持つ選手は手放しづらいのだ。

 となると、トレードするにしてもモラントと同格で、同じくらい問題を抱えた選手——例えば、モラントのドラフト同期で1位指名だったザイオン・ウィリアムソン(ニューオリンズ・ペリカンズ)あたりとの交換でないと、ファンにも納得してもらえない。
  実際にザイオンとのトレードが噂に上っているわけではないし、6勝11敗と低迷を極めるチーム状態を考えれば、イーサロが先に放り出される可能性のほうが高い。

 とはいえ、モラント自身が行動を見つめ直さない限り、状況は良くはならない。悪い方向へ人が変わった彼は、今度は良い方向に変わることができるだろうか。

文●出野哲也

【画像】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!
配信元: THE DIGEST

あなたにおすすめ