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偉大な功績を男性に奪われた「女性発明家ランキングTOP10」

偉大な功績を男性に奪われた「女性発明家ランキングTOP10」

科学的な功績を男性に奪われた女性たち
科学的な功績を男性に奪われた女性たち / Credit: National Science Foundation

歴史を振り返ってみると、人類社会には古くから女性差別が存在していました。

時が経ってもそれは変わらず、性差別は科学分野にもおよんでいます。

男性は、聡明な女性たちの科学的発見や偉大な発明をひた隠しにし、自分たちの功績にしようとしたのです。

その陰で、不当に評価されてきた女性たちは数知れません。

そこで今回は、男性の功績にされているが、本当は女性が発見・発明したものトップ10を紹介していきます。

目次

  • 第10位 エスター・レーダーバーグ「ラムダファージ」
  • 第6位 メアリー・アンダーソン「ワイパー」
  • 第3位 リーゼ・マイトナー「核分裂」

第10位 エスター・レーダーバーグ「ラムダファージ」

1950年代に撮影されたレーダーバーグの写真
1950年代に撮影されたレーダーバーグの写真 / Credit: National Science Foundation

エスター・レーダーバーグ(1922-2006)は、アメリカの微生物学者であり、意志の強い野心的な女性でした。

当時は、女性が家の外で仕事をするのは珍しいことと考えられていました。

ましてや、男性が主流となっていた科学分野では尚更です。

レーダーバーグは、家族や友人、教授から科学の道に進むのはやめるよう説得されましたが、頑として聞きませんでした。

結局、彼女は夫の助けもあり、スタンフォード大学の微生物学の研究室に入ることができました。

そこで彼女の才能はまたたく間に開花します。

最初の大きな功績は「ラムダファージ(λファージ)」の単離です。

ラムダファージとは、大腸菌に感染するスティロウイルス科のバクテリオファージのこと。

バクテリアに侵入し、そのDNA内に住むことができる生物として初めて認められたものです。

また、一次ペトリ皿の微生物コロニーを二次ペトリ皿に再現する「レプリカ平板法」も彼女と夫により発見されたものです。

しかし、その功績でノーベル賞を受賞したのは夫のジョシュア・レーダーバーグだけであり、彼女はまったく評価されませんでした。

第9位 ジョスリン・ベル・バーネル「パルサー」

若き日のジョスリン・ベル・バーネル
若き日のジョスリン・ベル・バーネル / Credit: Cambridge University/youtube

イギリスの天体物理学者であるジョスリン・ベル・バーネル(1943-)は、24歳の若さで在籍していたケンブリッジ大学を代表する科学者でした。

2年間ノンストップで研究を続けてきた彼女にとって、最大のブレークスルーが1967年に訪れます。

施設内の電波望遠鏡を担当していた彼女は、電波による奇妙なマークを発見したのです。

それは今までに見たことのないもので、パルス状のコンパクトな天体が自転し、両極から放射性物質を放出していました。

これが歴史的なパルサーの発見です。

彼女は当時、アントニー・ヒューイッシュという男性研究者の下で作業をしていました。

そして、彼女の功績にもかかわらず、ノーベル賞は1974年にヒューイッシュに授与されてしまったのです。

第8位 6人の女性プログラマー「エニアック」

2人のプログラマーがENIACの制御パネルを操作する様子
2人のプログラマーがENIACの制御パネルを操作する様子 / Credit: ja.wikipedia

第二次世界大戦が始まると、アメリカ陸軍の技術部門では、募集できる男性がいなくなり、最終的な手段として女性の募集を始めました。

結果、キャスリン・マクナルティ、フランシス・ビラス、ベティ・ジーン・ジェニングス、ルース・リヒターマン、エリザベス・スナイダー、マーリン・ウェスコフの6名の女性が選抜されています。

彼女らは、戦争に役立つとされていた大型の電子計算機「ENIAC(エニアック、Electronic Numerical Integrator and Computer)」のオペレーターを担当することになりました。

機械の不具合の点検や修復、処理能力を上げるためのプログラミング、高度な計算を行うための配線など、エニアックに関わるあらゆる業務をこなしています。

ところが、エニアックは、他の3人の男性技術者による技術発明であるかのように報道され、6名の女性の努力は完全に無視されてしまったのです。

第7位 ネティー・スティーブンス「性染色体」

ネティー・マリア・スティーブンス
ネティー・マリア・スティーブンス / Credit: Britannica

ネティー・マリア・スティーブンス(1861-1912)は、20世紀を代表するアメリカの遺伝学者の一人です。

彼女はスタンフォード大学を卒業後、35歳という比較的遅い年齢で科学の世界に足を踏み入れました。

生物の胚の性別がどのように決まるかについては、それ以前にもさまざまな説が発表されてきました。

しかし彼女は、オスとメスのミールワームを調べる中で、20番目の染色体の大きさが違うことに気づきます。

彼女は、この違いが胚の性別を決定するという仮説を立て、それが後に真実であることを証明しました。

これが「性染色体」を発見した歴史的瞬間でした。

ところが、この発見は彼女の功績にはならず、彼女の師匠であり同僚でもあったE.B.ウィルソンのものとなっています。

第6位 メアリー・アンダーソン「ワイパー」

メアリー・アンダーソン
メアリー・アンダーソン / Credit: ja.wikipedia

メアリー・エリザベス・アンダーソン(1866-1953)は、アメリカの不動産開発者です。

1902年、冬のニューヨークを訪れたメアリーは、車の運転手が頻繁に車から降りてフロントガラスの雪を拭いているのを目にしました。

「これは非常に面倒な作業だ」と思い、彼女はフロントガラスの雪を拭くための装置の開発を始めます。

何度か失敗した後、ついに、ボンネットの上に設置できるブレード状ワイパーの発明に成功しました。

このワイパーは、前席の人が手動で操作できます。

その後、特許を取得したのですが、この製品は便利ではないということで、どこのメーカーも販売してくれませんでした。

数年後、特許は切れ、ロバート・カーンズという発明家が別のワイパーを作りました。

今日、ワイパーを最初に作ったのがメアリーであることを知る人はほとんどいません。

第5位 エリザベス・マギー「モノポリー」

エリザベス・マギー
エリザベス・マギー / Credit: en.wikipedia

1903年、エリザベス・マギー(1866-1948)は、「The Landlords Game (地主ゲーム)」という名の複雑なボードゲームを考案しました。

このゲームは、アメリカの政治経済学者、ヘンリー・ジョージの単一税論(土地単税)を一般人に正しく理解してもらうためのものでした。

マギーは1904年にゲームの特許を取得しましたが、「ルールが複雑すぎる」ということで、どこの会社も売りに出そうとはしませんでした。

それから約30年後の1932年、チャールズ・ダロウという男性が友人と一緒に、マギーの作ったゲームをプレイしました。

ゲームを気に入った彼は、そのアイデアをパーカー・ブラザーズ社に持ち込みます。

こうして「モノポリー」という名前で発売され、高い人気を得るのです。

しかし、元のアイデアを生んだのがマギーであることは知られていません。

第4位 呉健雄(ご・けんゆう)「パリティの非保存」

呉健雄(ご・けんゆう)
呉健雄(ご・けんゆう) / Credit: ja.wikipedia

第二次世界大戦中、中国系アメリカ人の物理学者であった呉健雄(1912-1997)は、原子爆弾の開発を目的とした極秘プロジェクト「マンハッタン計画」に参加していました。

そこで彼女は、ウラン燃料の濃縮手法を研究をし、戦争が終わってからも、コロンビア大学で、2人の男性の同僚と研究を続けました。

そして、「パリティ対称性の破れ」と呼ばれる物理現象を初めて実験的に実証したのです。

通常の物理現象は、空間反転(たとえば、鏡に映したとき)しても変わらないように見えます。

このように、空間反転した状態と元の状態で物理法則が変わらないことを「パリティ対称性がある、パリティが保存されている」と言います。

物体に働く力は、重力相互作用・電磁相互作用・強い相互作用・弱い相互作用の4つです。

彼女は、このうち弱い相互作用が働いた物理現象でのみ、パリティ対称性の破れが生じることを発見しました。

肉眼で見えるのは、重力相互作用・電磁相互作用のみなので、長い間、すべての物理法則でパリティ対称性が保存されていると考えられていたのです。

これは物理学の大きな功績でしたが、ノーベル物理学賞は、同僚の男性2人に送られています。

配信元: ナゾロジー

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