11月23日に開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権最終戦鈴鹿で、TEAM MUGENの岩佐歩夢が参戦2年目にしてチャンピオンに輝いた。岩佐は王座獲得が理想のスタイルではなかったと認めつつも、チームとともに掴んだ結果を喜び、そして”日本一”という肩書きを今後にしっかり活かしたいと語った。
岩佐はレッドブルの育成ドライバーとしてフランスF4でチャンピオンに輝き、その後FIA F3、FIA F2とステップアップ。F2ではチャンピオン争いを繰り広げ、F1参戦に必要なスーパーライセンスの発給条件を満たした。そして2024年からはスーパーフォーミュラに参戦。並行してレッドブル陣営のシミュレータ/リザーブドライバーも務めるなど、F1に最も近い日本人ドライバーということで大きな注目を集めている。
SFでの1年目をランキング5位で終えた岩佐は、2年目の今年はさらにパフォーマンスを向上。トラブルやアクシデントによって初優勝は第8戦SUGOまでおあずけとなったが、完走したレースはすべて表彰台という安定感でタイトル争いに食らいつき、最終戦を迎えた。
中止となった第10戦の代替レースも含む、2日間で3レースという過密スケジュールとなった最終ラウンドで、岩佐は第11戦、第12戦のポールポジションを獲得。6ポイントを獲得し、さらにチャンピオンに近づいた。
土曜日に行なわれた第11戦では1周目に接触リタイアという悔しい結果だったが、日曜午前の第10戦は4位に入ってポイントを重ね、そして第12戦では佐藤蓮(PONOS Nakajima Racing)との接戦を制して今季2勝目。ランキング首位に立っていた坪井翔(Vantelin Team TOM'S)が8位に沈んだ結果、岩佐が大逆転で2025年のSFチャンピオンに輝いた。
「率直に嬉しかった」と、岩佐はレース後の記者会見で口にしたが、今回のレースの苦しさは相当なモノだったと続けた。
「単純に最終レースがなかなか苦しかったです。佐藤選手から迫られる形でしたけど、それをなんとか退けて、プッシュプッシュしてという状況でした。残り周回数の情報は入っていたんですが、”全く減らないな”という凄く長い感覚でした」
「その苦しい中でも勝てたというのが、まず凄くホッとしました。最初はチャンピオンを獲れたのかどうか分からなかったので、(チャンピオン決定の)情報が入った時にはホッとする気持ちがありました」
「ここまで常にスピードはありつつ、かなり(ポイントの)取りこぼしが多かった。正直この週末も、昨日のレース(第11戦)があのような形で終わって、正直苦しい状況だったと思うんです」
「でもしっかりとみんなで力を合わせて、改善することができました。昨日ちょっと問題があったスタートも、しっかりとできましたし、今日は2レース両方でペースも良くて、良い車があって、ピットストップも本当に完璧でした。本当に全てがうまくいったからこそ獲得できた結果だったと思うので、それに対しての喜びが一番大きかったです」
ただ岩佐は、理想的なチャンピオンの獲り方ではなかったとも感じていたと話す。
「自分たちがこうすべきだった、やるべきだった戦い方とはちょっと違った形だったかなとは正直思っています」
「過去を振り返ると、全9戦の時などは大まかに”3勝したドライバーがチャンピオン”というような感じでした。なので『今年は4勝ぐらいはしないとキツイよね』みたいな話をしていました」
「やっとSUGOで勝てましたけど前半戦は勝てない時間が続いてしまいました。結果的にシーズン2勝でチャンピオンというのを考えると、完走した時に表彰台にいた事はすごく大きかったと思います」
「ただ逆に、リタイアで落としたレースが数多くあったことを考えると、そういったところはチャンピオンをを獲りに行く(正しい)やり方ではないかなとは思います」
「本当に僅差で勝てたというところなんで、自分の中ではまだまだうまくやらなければいけなかったと思います」
そして岩佐は今シーズンは「チーム全員が、昨年から同じ方向を向いて全力で尽くしてくれた」ことが形となり、自信に繋がったとも説明。チームと応援してくれた人たちのおかげでチャンピオンになれたことを感謝したいと語った。
またスーパーフォーミュラでのチャンピオン獲得が岩佐自身の今後にどう関わってくるかという点に対しては、”日本一”の肩書を活かしていきたいと語った。
「今の時点では分からないですね」
岩佐はそう語る。
「逆に言うと、これからこのチャンピオンの価値や、それをどう活かすかは自分次第になってくると思います。だからこそ、しっかりとこのチャンピオンという肩書き、”日本一”という肩書きを活かせるようなこの先の進め方をしていきたいと思います」
そして岩佐は、こうも語っている。
「今後も世界の頂点を目指して突き進んでいきたいです」

