【STYLE 03】『クレイマー・クレイマー』のダスティン・ホフマン
1979年公開。ダスティン・ホフマン演じる仕事人間の夫・テッドが帰宅すると、妻のジョアンナが息子を置いて家を出ていく。残されたテッドは苦労しながらも育児に奔走し、父子の深い絆が生まれるが、家でから1年後にジョアンナが息子ビリーの養育権を求めてテッドを提訴するというファミリードラマ。アメリカントラッドを軸に70年代の要素をミックスしたような装いが随所に見られ、トラッドスタイルの奥深さを感じられる。

「『クレイマー・クレイマー』のダスティン・ホフマンの装いからは非常に“トラッド”が感じられます。なかでもポイントはビットローファー。アイテム自体には“色気”といったニュアンスが感じられるのですが、劇中ではあくまでナチュラルに取り入れられており、『こう履くんだ』という気づきを与えてくれます。こちらもシーンとシーンを掛け合わせたスタイリングで、チェックシャツ、ツイードジャケット、トレンチコートという構成。劇中では『アクアスキュータム』を着ていると言われていますが、『バーバリー』の1枚袖のフルセットがあったのでこちらを代用しました。トップスのレイヤードや、ブーツカットにビットローファーという合わせ、トーンを揃えたカラーリングのバランスなど、現代においてもかなり洗練されたコーディネイトだと思います」
トレンチコート6万9300円/バーバリー、ツイードジャケット7万7000円/ダブルアールエル、ボタンダウンシャツ6600円/ブラックフリース、コーデュロイパンツ6600円/リーバイス、ビットローファー2万9700円/グッチ
【STYLE 04】『冒険者たち』のアラン・ドロン
1967年公開。夢を追うパイロット、エンジニア、彫刻家の3人がアフリカ沖の海底に沈むという財宝を求めて冒険する青春ドラマ。若者たちの夢と挫折、それを取り巻く愛と友情が描かれる。フレンチアイビーのバイブル的作品として知られ、アラン・ドロン演じる主人公の[B-3]の着こなしに代表されるように、アメリカ的なプロダクトをクリーンなスタイルに落とし込んだフレンチの風味が香る絶妙なスタイリングに昇華されている。
旧きよきヴィンテージスタイルにフレンチトラッドのスパイスを

「『冒険者たち』は、フレンチアイビーのバイブル的な作品で、随所に“フレンチ”が感じられる装いが多く見られます。劇中でのアラン・ドロンはダブルポケットのブルーシャツに重厚感のある[B-3]を合わせているのですが、今回は季節が秋ということもあり、少し軽めの[G-1]を選びました。装いを楽しむのであればレイヤードしたい、ということで[G-1]より丈の短い〈リーバイス〉の[2nd]を間に挟んでいます。アイテム自体はコテコテだけど、全体としてクリーンで洗練された装いを意識しました」
G-1ジャケット3万3000円/ウィリス&ガイガー、デニムジャケット44万円/リーバイス、シャツ9900円/ラングラー、パンツ8万8000円/リー、ブーツ4万4000円/オールデン