
いせたくや役、大森元貴さん(Mrs. GREEN APPLE)のプロフィール写真
【画像】え…っ? 「渋いイケオジ」「サングラス似合う」 こちらが「いせたくや」のモデル、やなせたかしさんの盟友「いずみたくさん」の姿です
『アンパンマン』のアニメを観ているとき、ずいぶんと老け込んでいた「いせたくや」
2025年前期に好評を博したNHK連続テレビ小説『あんぱん』の特別編が、11月24日に再放送されます。やなせたかしさんとその妻・暢さんをモデルにした本作の特別編が、多くのファンからのリクエストに応え、再びお茶の間に届けられます。
特別編のなかのひとつ「男たちの行進曲」では、「柳井嵩(演:北村匠海)」と長年タッグを組んできた作曲家「いせたくや(演:大森元貴)」のスランプを描いた物語が描かれました。スランプに陥ったたくやが、嵩の書いた歌詞をきっかけにどのように創作意欲を取り戻していくのか、その感動の瞬間を再び味わえます。
最終週で老けメイクでアニメ『それいけ!アンパンマン』初回放送(1988年)を観ていたことも話題となったたくやですが、彼は嵩よりは一回り年下で、当時まだ50代のはずです。ずいぶん老け込んでいたのは、モデルとなったいずみたくさんの最期と関係していたのかもしれません。
いずみたくさんは、やなせさんより11歳年下の1930年生まれの作曲家です。ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』の現場で初めてやなせさんと出会い、「手のひらを太陽に」の作曲を担当したことで知られています。また、1976年から始まったミュージカル版『アンパンマン』シリーズを企画するなど、やなせさんの盟友としてさまざまな仕事をしました。
そのいずみさんは、やなせさん(2013年死去)よりも20年以上早く、1992年5月11日に62歳という若さで肝不全によりこの世を去っています。
やなせさんの自伝『アンパンマンの遺書』(岩波書店)によると、いずみさんの遺作となったのは、やなせさんと長年続けた『アンパンマン』のミュージカルシリーズ第6弾『それいけ!アンパンマン-アンパンマンと勇気の花』の挿入歌「すすめ!アンパンマン号」でした。
当時、病床で鉛筆を持つ力も失っていたいずみさんは、夫人の庸子さんに口頭でメロディーを伝え、楽譜に書いてもらう形で完成させたそうです。この曲はのちにアニメでも使用され、多くの子供たちに愛されています。
やなせさんは著書『アンパンマン伝説』(フレーベル館)で、親子で「すすめ!アンパンマン号」が一番好きだという方からの手紙を引用し、亡きいずみさんへの思いを「GO!GO!GO!アンパンマン号GO!うれしそうに歌いながらそのまま天国へいってしまった さよならたくちゃん! もうかえってこないんだね」という詩で表現しています。
作中では語られていませんが、『あんぱん』最終回の終盤(1993年頃)では、たくやも遺作を残して亡くなっているのかもしれません。11月24日放送の特別編では、まだ比較的若くて元気な頃のたくやの姿が描かれます。どのようにしてスランプから脱し、創作への情熱を取り戻していくのかに注目です。
