鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラ最終ラウンドでは、日曜午前の第10戦でPONOS NAKAJIMA RACINGのイゴール・オオムラ・フラガが初優勝。午後の第12戦(最終戦)ではチームメイトの佐藤蓮も初優勝を狙う走りを見せたが、惜しくも2位に終わった。
最終戦の時点で4人のドライバーが権利を持っていた今季タイトル争いにおいては、3番手スタートの佐藤が終始キーマンとなった。
佐藤はスタートで2番手に上がると、ポールシッターの岩佐歩夢(TEAM MUGEN)を追いかけた。岩佐、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らタイトルコンテンダーが早めのピットストップで後ろに回る中、佐藤はステイアウトを選択して先頭を走った。
そんな中、11周目に中団でアクシデントが発生したことでセーフティカー(SC)出動。佐藤はもう少し引っ張ることで後半スティントをフレッシュなタイヤで飛ばす作戦をとりたかったようだが、このタイミングでピットに入らざるを得なかった。基本的にSC中にピットストップすればタイムロスが少なくアドバンテージになるのだが、佐藤がピットイン・アウトするタイミングではまだSCが集団をキャッチアップしておらず、岩佐らはレーシングスピードで走行することができた。そのため佐藤にとっては、タイヤライフのオフセットを作れないという点でむしろマイナスの方が多い展開であった。
一旦は岩佐、太田の後ろ3番手に回った佐藤だったが、17周目の1コーナーで太田をオーバーテイクし2番手浮上。岩佐を抜けば一気にタイトルの可能性が高まる太田にとっては、大きな痛手であった。そして佐藤は、トップの背後に近付いていた。
このままの順位でレースが終われば、チャンピオンを獲得できる状況だったトップの岩佐。しかし佐藤に抜かれてしまっては、当時7番手を走っていたポイントリーダーの坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)がさらにふたつ順位を落とさない限り、王座はない。シリーズの行方を占う重要なバトルであった。
岩佐と佐藤はフランスF4時代にルームメイトであり、互いをよく知る間柄。しかし佐藤としても悲願の初優勝がかかっており、岩佐に忖度する余裕はなかったと語る。
「レース中はあまり(岩佐のタイトル争いのことは)意識していませんでしたが、そこに忖度している余裕は自分にはないので、できる限りプッシュを続けていました」
最終ラップまで岩佐の背後でプレッシャーをかけ続けた佐藤だったが、0.731秒届かず。自己最高成績の2位ではあるが、悔しさを滲ませた。
「最終レースは優勝しか見ていなかったので、悔しいですね」
「SCが出てしまったことで思っていた戦略をとることができず、一度後ろに下がる形となりました。クルマの調子は良かったとはいえ、(ライバルとの)タイヤのライフ差もあまりない中で抜いていく必要があり、最後まで岩佐選手を抜くことができませんでした」
「展開に恵まれなかった部分はありましたが、攻めきれなかった部分もあったので、そこは反省したいです」
佐藤にとって今回もうひとつ悔しい思いをしたのが、チームメイトであるフラガの優勝だ。
今年は山本尚貴の引退により、チーム所属3年目の佐藤はエースナンバーである64番を背負っての参戦。しかし、NAKAJIMA RACINGにとっての久々の優勝、MUGEN、DANDELION、TOM'Sの3強チーム以外での久々の優勝は、ルーキーのフラガによって達成されてしまった。
「やっぱりチームメイトが1番近いライバルなので、先を越されたのは悔しかったですね」と語る佐藤。しかし彼はここ数年、トラブルや不運によってその速さに見合ったリザルトを残せなかったことも確か。実力は決してフラガに劣っていないという自負は持ち続けている。
「ただ、自分がドライバーとしての能力で負けているだとか、そういう風には1度も思ったことがありません」
「レースは展開だったりが絡んでくるものです。展開に恵まれて、自分が力を出し切って、チームもミスなくやれば勝てると思っています。今回は勝てませんでしたが、またチャンスはあると思うので、これからも頑張ります」

