
本作は、ソウルで初めて恋に落ちた幼なじみのノラとヘソンが、24年後の36歳、NYで再会する7日間を描くラブストーリー。物語のキーワードは「運命」の意味で使われる韓国の言葉“縁(イニョン)”。見知らぬ人とすれ違った時、袖が偶然触れるのは、前世(PAST LIVES)でなにかの“縁”があったから。久しぶりに顔を合わせた2人は、ニューヨークの街を歩きながらこれまでの互いの人生について語り合い、過去自分たちが「選ばなかった道」に想いを馳せる。メガホンを取ったのは、本作で鮮烈な長編映画監督デビューを飾ったセリーヌ・ソン。ノラ役をグレタ・リー、ヘソン役をユ・テオが務めた。

くるまはオールバックのヘアスタイルで、ブルーのシャツの裾をしっかりと白のパンツにしまい、黒のリュックを背負ったスタイルで登場。これは劇中で久々にノラと再会を果たす際のヘソンそっくりのスタイルで、上映後の会場は大爆笑。キョロキョロと人を探すモノマネも繰りだし、「ヘソンです」と挨拶して大きな拍手を浴びた。くるまは、「思いついちゃったんで。ヘソンコーデを組めないかなと思って、そこのユニクロに寄って。いま全部、買ってきました。限りなく近いです」と自身でも大満足の様子。リュックを高めの位置で背負う点もヘソンそっくりだったが、パリッと決めたヘソンと、カジュアルな出立ちのノラという2人のコーデのギャップも時の流れや彼らの関係性をよく表現していると分析し、「僕も大学生の時に、先輩の誕生日パーティに呼ばれて。パーティだからちゃんとした格好をしなければと思って、スーツを着て行った。そうしたらズンズン系のパーティだった。信じられないくらい、浮いていた。ヘソンも同じ気持ちだっただろうなと思う」と共感を寄せていた。

「怖いのは苦手」というくるまは、映画を観る際にも「怖いものは、みんなでしか観られない。『ストレンジャー・シングス』も一人では観られない。暗くて怖い」と明かして会場を驚かせ、「高校生の時から、そうです。ラグビー部のみんなで『パラノーマル・アクティビティ』とか観に行って。一人では怖くて行けないけれど、お互いに『お前、いまビビってただろう』と言いたくて、グランドシネマサンシャイン池袋でラグビー部の男たちがギチギチになって観ていました」と高校時代を回想。A24の『ミッドサマー』(19)に触れながら、「『ミッドサマー』は、たとえツッコミとかでも、芸人さんが使っていたりした。観ておかなきゃと思って観たけれど、怖かった。でも昼の時間があるので。高いところから人が落ちても、昼なのでそんなに怖くない」と恐怖の境界線は明るさにある、と持論を述べ、会場の笑いを誘っていた。

ラブストーリーである『パスト ライブス/再会』は、「はちゃめちゃにずっと映像がきれいですよね」とお気に入りの映画になったようで、とりわけノラの夫であるアーサーを応援したくなったという。ノラの気持ちをすべて受け入れ、ノラとヘソンと一緒にバーにも付き合うアーサー。妻の初恋の相手との再会に同席するアーサーについて、くるまは「だいぶかわいそう」と同情。「応援可能上映だったら、声を出してますよ。『(ノラを)行かせるな!止めろ!』って。よく会場の皆さんは我慢できましたね?」と語りかけ、「最後にアーサーがおごっていた時、笑っちゃいました。アーサーのおごりかい!って。楽しんだ2人で、払えや」とツッコミを入れながら、アーサーを励ましていた。奥浜も、「アーサーがいい人すぎて、好きになる。何度も観ているけれど、苦しくなる」とアーサー派を自認。くるまは「『アメトーーク!』で“アーサー大好き芸人”とかあったら、出ますよ。アーサー、みんな好きですから」と熱く語っていた。

幼なじみへの恋心をいつまでも持ち続けていることに話が及ぶと、くるまは「小学校の時に仲がよくて、ある程度成熟した男女としてお付き合いをしていたわけではない」とノラとヘソンの関係性について言及。「僕は中学、高校と男子校で。初めての彼女ができたのが、大学生の時。その分、小学校の時に好きだった女の子ってめっちゃ覚えていて」とリアルな女性との触れ合いがない期間があるからこそ、少年時代の恋心が鮮明だと話す。「どこかに実体験として残っている記憶がある。ノラを想う気持ちと、小学校の時の大切な記憶、子どものころのピュアな思い出が重なって、かけがえのないものになっているのかな」と想像していた。

NetflixやAmazonプライムの恋愛リアリティーショーでは、スタジオMCとして多くの恋を見守ってきたくるま。「この映画も、やいのやいの言いながら観たい。家でみんなで観ても楽しい」とオススメしながら、ヘソンにもツッコミを入れるだろうと予想し「後輩ならめっちゃかわいがる」とも。奥浜も「リアリティーショーが大好きなので、この映画が大好き」と同調するなど、2人は最後まで本作の展開や恋模様についてのトークが大盛り上がり。がっつりとコスプレをしながら、出演していない作品について思い切り熱弁したくるまは、改めて「どういうイベントだったんですか」とハッとして会場を笑わせる場面もあった。

ステージでは、日本初となるA24公式ECサイト「A24 STORE」が11月25日(火)12:00にオープンすることも発表された。A24のグッズはこれまで本国のECサイトのみでの取り扱いだったが、MOVIE WALKER STORE内にてA24グッズを購入することが可能となる。くるまは、「Tシャツとか売るのかな、生地がいいんだろうな…」と大いに期待。そして最後には本イベントの第12弾となる、シリーズ初の投票企画の結果発表も行われた。候補作のなかから選出されたのは、ティモシー・シャラメがチャーミングな最低男を演じる『マーティ・シュプリーム』。くるまは候補作の1つであったドウェイン・ジョンソンの『THE SMASHING MACHINE(原題)』にも惹かれ、「ドウェイン・ジョンソンで、『THE SMASHING MACHINE』。タイトル、ドウェイン・ジョンソンすぎるでしょう。絶対に観よう!」と今後のA24作品も楽しみにしていた。
取材・文/成田おり枝
