
【ホンダの空への憧れがハンパない!?】 エンジンなしでもロマンはデカかった!「熱気球ホンダグランプリ」現地レポートの画像一覧
ホンダと言えば、クルマやバイクだけでなく、最近では飛行機やロケットも手がけているモビリティーの大手だ。創業者の本田宗一郎の「空への憧れ」は強く、そのロマンを体現するイベントが「佐賀バルーンフェスタ」だ。ただの「空に浮かぶお祭り」という認識で現地を訪れた記者は、その奥深さに衝撃を受けた。
このイベントは、ホンダが1993年から30年以上もサポートする正式なシリーズ戦「熱気球ホンダグランプリ」の一戦なのだ。モーターがないのにモータースポーツ的な熱い戦いを繰り広げる124機の熱気球と、約84万人の来場者を魅了するその競技の仕組みと魅力を徹底レポートする。
ホンダがロマンと夢を追う「空のスポーツ」
ホンダジェットを見るにつけ、エンジンが付いていればいいんだろうな、と思いきや今回のイベントはホンダが強力バックアップしつつも、動力源はまったくなし。風まかせというのが注目のポイントとなる。そのイベントの名は「佐賀バルーンフェスタ」だ。たくさんの熱気球が空に浮かんでいるのを見たことがあるかもしれないし、一度見てみたいという声はよく耳にする。
ワタクシ、クルマのレポートがメインということもあって、佐賀バルーンフェスタについては知っていても、「みんなで浮かび上がっているお祭りだろう」的な認識しかなかった。今回、現地に行ってみて、そんな甘っちょろいものではないことを初めて知り、その奥深さについて知ることとなった。
そもそも佐賀バルーンフェスタは「熱気球ホンダグランプリ」というシリーズ戦のうちの1戦で、バルーンたちは年間を通じて競い合っているというからまさにレース。風まかせに飛んでいるように見えて、熱い戦いを繰り広げているわけだ。
ホンダは誰でも楽しめる競技(もちろん見るほうで)で、ロマンと夢を感じるということで、「熱気球ホンダグランプリ」を1993年から30年以上も強力サポートしているという。一時、ツインリンクもてぎでも開催していたのはこれらの背景ゆえ。また佐賀についてはアジアのシリーズなどにもなっていて、海外勢も集結。2025年はなんと20カ国から124機が参加したというから、圧巻なのも当然だ。
風の層を読み解く「空の頭脳戦」驚きの競技方法

音もなく、どんどんと近づいてくるだけでなく、スタートしてしばらくすると戻ってくるのも不思議。
競技というが、肝心の戦い方がこれまた面白い。すべて風まかせなので、ルートというかコースはその日に決定し、場合によってはキャンセルになることも。
カギとなるのはタスクポイントで、決められた場所にある目印にマーカーと呼ばれるオモリを落とせれば獲得できて、さらにそのポイント数で順位を決めてそれに基づいてグランプリポイントが得られて最終的な勝敗が決まる。
と、意外に複雑だが、単純にマーカーがどこに落ちたか見ているだけでも面白いし、もっと言ってしまえば、飛び上がったり、向こうから向かっていくのを見るだけでも十分に楽しめる。実際、来場者数は約84万人で、家族連れも多くて、いわば花火大会のような雰囲気で盛り上がっていた。

巨大なバーナーでバルーンの中の空気を温めて浮力にする。炎と噴射音は圧巻。
ルートは会場をスタートにする場合だけでなく、別の場所から会場にやってきたり、決められた地点を順に回ったりするなど、さまざま。もちろん動力はなく、風の向きだけで移動するのが熱気球の特徴。上空の風向きは層になっていて、上下をバーナーの加減で調節することで目標の向きに吹く風に乗ってコントロールしている。
地上にいるスタッフが小さな風船を上げて指示を出していてはいるものの、そもそもどこかに流れていったり、落ちたりするようではパイロットにはなれないとのこと。確かに巨大な熱気球がコントロール不能で、あちこち行ったり、落ちたりしては、競技もなにもないだろう。
