国内FA権を行使した松本剛が熟考の末に、14年間プレーした日本ハムを離れる決断を下した。「打てる外野手」を探して交渉解禁日の11月13日にいち早くアプローチした巨人が初回交渉で提示したのは、清水隆行や亀井善行ら強打の外野手が背負った背番号「9」だという。
少年時代から東京ドームに通い、巨人に憧れてきた松本にとって、この番号の継承は大きな意味を持つ。今季なかなか固定できなかった中堅の守備位置を任せたいという明確な構想が示され、松本が求める役割と合致した。
帝京高校から2011年ドラフト2位で日本ハムに入団し、内野手から外野手へ転向。2022年には打率3割4分7厘でパ・リーグ首位打者のタイトルを獲り、巧打者としての地位を確立した。
近年は若手の台頭や膝の不安もあって出場機会が減少し、今季は66試合で打率1割8分8厘にとどまった。今回のFA宣言は、環境を変えて再勝負に出るための選択だった。
巨人移籍にあたりさっそく、日本ハムファンによる松本の「トリセツ(取扱説明書)」が取り沙汰されている。
〈バントの成功率は高めだが、ツーストライクから打ちに切り替えることも多く、典型的なバント職人とは言い難い〉
〈ミート力は非常に高いがパワーはなく、外野の前に落とす打撃が中心〉
〈外野守備は堅実だが、札幌ドームでの負担もあり、数年前より守備範囲は狭まっている〉
〈かつて盗塁王争いをした脚力はあるものの、全盛期ほどの爆発力は望みづらい〉
リーダーシップがある反面、結果が出ない時に精神面で揺れやすい、との指摘も。誕生日にサプライズで4番に起用され大喜びしたエピソードは、役割次第で力を発揮するタイプであることを象徴している。
それでも阿部慎之助監督が重視するバント、小技、状況打撃をこなせる外野手は貴重な戦力。固定できなかった中堅の補強ポイントと重なり、松本の加入はチームの懸案解消につながるかもしれない。
首位打者の実績を持つ松本が、新天地の東京ドームでどんなプレーを見せるのか。32歳で踏み出す第二のキャリアの成否は…。
(ケン高田)

