ウナギの稚魚であるシラスウナギは「白いダイヤ」と呼ばれ、漁には許可が必要で期間も定められていることから、高値で取り引きされてきた。
ところが近年になり、欧州連合(EU)などがウナギの資源減少を理由にワシントン条約において、ニホンウナギを含む全ウナギの国際取引規制を提案。11月24日から始まった会議で仮に取引規制案が採択された場合、ウナギの輸出や輸入は、その国が発行する許可書が必要な「付属書2」の対象となるため、流通量がさらに減少し、価格高騰が必至の状況になってきた。
全国紙社会部記者がその背景を語る。
「かつて日本で多く流通していたヨーロッパウナギは、2007年にワシントン条約で『付属書2』となったことで、個体が激減しました。今回のEUなどの主張は『ニホンウナギも減少傾向にあり、ヨーロッパウナギと外見が似ているため、偽って取り引きされている。だからウナギ属の全種を付属書2に掲載しろ』という、言いがかりに近いもの。対象となるのは稚魚や成魚のほか、かば焼きなどの加工品です」
周知のように、日本は世界最大のウナギ消費国だが、約7割を中国などからの輸入に頼ってきたこともあり、取り引きの規制には反対の立場を取り続けてきた。
「もし採決されれば、スーパーで2000円程度で売られているウナギのかば焼きが、1万円になる可能性もゼロではなくなるでしょうね」(前出・社会部記者)
需要はあるが、供給できない。となれば、価格高騰の連鎖は続く。当然、現れるのが、違法な密漁者だ。実は日本ではかねてから、シラスウナギの密漁が問題視されており、国は2023年末に漁業法を改正。「6か月以下の懲役または10万円以下の罰金」だった懲罰を「3年以下の懲役または3000万円以下の罰金」に引き上げるなど、密漁に対する厳罰を強化してきた。
しかし、不漁の年には1キロの取引価格が400万円前後に跳ね上がるとあって、現在も全国で密漁や、許可を受けた採捕者の過少申告による「違法行為」があとを絶たないという。
漁業関係者が言う。
「稚魚の採捕はあくまでも自治体の養鰻場に入れることを条件に、知事が許可するものですが、公定価格がキロ100万円でも、実際の流通価格が200万円、300万円になると、他県に横流しされるケースが出てくる。日本よりも早く稚魚がとれる台湾からブローカーを通じ、香港経由で大量の稚魚を日本へ密輸するケースもあります。規制が厳しくなればなるほど、ハイリスクを覚悟してでもハイリターンを求める輩が増えることは間違いないでしょうね」
ウナギ規制強化の行方を最も注視しているのは、一獲千金を狙う密漁者と密輸業者かもしれない。
(灯倫太郎)

