今季限りでヤクルトを退団する高津臣吾監督の「思い出作り采配」に、一部の球団OBを中心に、疑問の声が噴出している。なんと10月2日の阪神戦に、シーズン途中からチームに加わった青柳晃洋を先発させるプランを明らかにしたからだ。
青柳は9月22日の、神宮球場での阪神戦に先発登板。5回を投げて4安打3四死球2失点とそれなりの結果を残した。それを評価しての次回登板ならばいいが、試合後の高津監督のコメントが大問題に。
「次も甲子園で(阪神戦に)投げさせるから。もう演出です。何かやらなきゃなと思って、面白いことを」
さる球団OBはこの発言に首を傾げ、こう憤るのだった。
「これはいただけないね。日本ハムの新庄剛志監督じゃないんだから。Bクラスが確定しているとはいえ、仮にも公式戦ですよ。演出云々発言は不謹慎だな」
セ・リーグではDeNAと巨人が、クライマックスシリーズ・ファーストステージの本拠地開催をめぐって、熾烈な2位争いを繰り広げている。他球団が過酷な順位争いを演じている最中、阪神ファンを対象にしたような選手起用に懐疑的な意見が出るのは当然だろう。
スポーツ紙デスクが言う。
「高津監督は青柳が来季の戦力になるか見極めたい、というような発言もしているが、考えてみれば、これは変な話です。来季は別の人間が監督として采配するわけですから。戦力云々は来春のキャンプで新監督が見極ればいいだけのこと。高津監督の仕事ではないですよ」
もちろん野球にはエンターテイメントの要素があり、ファンサービスは必要だ。だが22日の阪神戦での先発起用で、十分に役割は果たしたのではないか。スポーツ紙デスクが続ける。
「なにか高津監督は満員の甲子園で青柳を起用して、歓声を浴びたいような気持ちがあるような気がしますね。それでは自らの思い出作り采配にしかならない」
青柳とヤクルトの契約は、今シーズン終了まで。本人にとっては1試合1試合が、現役続行への真剣勝負だ。再契約、現役続行に向けて100%の力を発揮する気持ちで、マウンドに立つだろう。決して演出ではないピッチィングを見せてほしいものだ。
(阿部勝彦)

