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脳は「9歳・32歳・66歳・83歳」で配線パターンが大きく切り替わる

脳は「9歳・32歳・66歳・83歳」で配線パターンが大きく切り替わる

脳には5つの時代がある? 子ども・思春期・大人・前期老化・後期老化

脳には5つの時代がある? 子ども・思春期・大人・前期老化・後期老化
脳には5つの時代がある? 子ども・思春期・大人・前期老化・後期老化 / Credit:Canva

今回の発見により、脳の構造発達は滑らかな連続ではなく、いくつかの大きな転換点によって特徴付けられることが示されました。

これは、いつそしてどのように脳の配線が脆弱になりやすい可能性があるかを考える新たな視点を提供します。

人の脳は一生変わり続けますが、その変化はただの“なだらかな老化”ではなく、9・32・66・83歳という4つの大きなカーブを曲がりながら、5つの時代を旅しているようだ、ということです。

社会的な意味を考えると、この「脳配線の人生地図」はいくつかのポイントで役立ちそうです。

たとえば、9歳前後は、脳が子どもモードから思春期モードへ切り替わるタイミングであり、学習のつまずきやメンタルの揺れが見えやすくなる時期と重なります。

32歳前後は、効率を高め続けてきた配線が安定期に入るタイミングで、長期的なキャリアやライフスタイルを考える上で一つの節目ととらえることもできます。

66歳・83歳以降については、とくに66歳前後が認知症リスクが高まる年齢と配線の再編が重なる可能性が指摘されており、83歳以降の転換点も後期高齢期の変化として今後の研究が必要とされています。

研究者たちは「脳の構造的な旅路が単調な連続ではなく、いくつかの大きな転換点から成ると理解することで、配線がいつ・どのように乱れやすいかを見極める助けになる」と述べています。

もちろん、本研究は統計的な対応関係を明らかにしたに過ぎず、脳がなぜその年齢で変わるのかといった生物学的な原因や関連遺伝子までは解明していません。

それでも、年齢の異なる大量の脳データを横断的に解析し、生涯スケールでの脳ネットワークの変遷を浮き彫りにした意義は大きいでしょう。

人の脳は人生に4度の“生まれ変わり”を遂げる——この視点は、人間の脳が私たちの想像以上にダイナミックな存在であることを教えてくれます。

元論文

Topological turning points across the human lifespan
https://doi.org/10.1038/s41467-025-65974-8

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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