
【バイタルエリアの仕事人】vol.58 山田楓喜|「ポルトガルに行ったとは思ってない」“島”での衝撃体験で得たもの。初先発で退場さえポジティブに。どん底も知る24歳の根源は――
攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第58回は、京都サンガF.C.でプレーする山田楓喜だ。
【前編】vol.58 山田楓喜|A代表は目ざすべき場所だけど、CLで優勝したい想いの方が強い。これからもっと上に行く。もっと上の自分を見たい
前編では自身とチームの状態、日本代表について語ってもらった。後編でのメインテーマは海外挑戦である。2025年1月から半年間在籍したポルトガル1部ナシオナウで何を感じ、どう成長したのか。“島”での日々は刺激に満ちたものだったようだ。
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ナシオナウは島にあるクラブなので、ポルトガルに行ったというより、なんて言うんやろな…1つの島に移住したみたいな。
島っていうのが1番しんどかったです。島から出るのにも飛行機を使わないといけないし、日本人も全然いない。あそこを半年経験したら、どこでも行けるなって感じます。もうポルトガルに行ったとは思ってないです。それぐらいの“島”でしたね。
驚いたことで言えば、正直、向こうの人は練習とかをあんまりちゃんとやらないんですよ。でも、試合になると一気に変わる。熱量などの部分が、人が変わったかのようになるので、それはすごいなと思いました。練習から100%でやって、日々成長していくのは日本人の良さでもあるんですけど、それとは別の気持ちというか。試合になると一気に人が変わるので、それは向こうに行って1番びっくりしましたね。
他には、スタジアムで練習をするんですけど、ロッカールームのトイレが、一生水が湧き出てて洪水状態になってるのに、誰も直さないで1日中ほったらかしとか。「いやいや、これ見て何で業者とか呼ばへんねん」って思ったりしました。
あとは食事ですかね。向こうに行って「日本食好きやな」って思いましたね。基本、自分で作ってました。使うのは向こうの肉や野菜ですけど、日本のレシピを見ながら真似てやっていたので、まだギリギリ大丈夫でした。チームの食堂とかで出る料理を食べると、めちゃくちゃまずいですね。多分、日本人には合わない料理が出てきました。
言語面は、監督もポルトガル語しか喋れなかったので、ポルトガル語で言ってることを、英語を喋れる人が僕に伝えてくれるみたいな感じでしたね。
挨拶とか、ちょろっと喋る程度のポルトガル語は覚えたんですけど、他は全く分からないので、英語で対応していました。別に僕は、英語を理解はできるけど、喋れるわけじゃないので、簡単な言葉を喋りながらって感じですね。あとは色んな日本語を教えたり(笑)。
例えば…練習後に僕がちょっとボールを蹴っていた時に、ポルトガル語で「早く帰れ」って言われたんですよ。それを日本語でそのままそっくり返して教えたりしていました。
2024-25シーズンの後半に京都からのローンでナシオナウに加入した山田は、ポルトガルリーグ13試合に出場し、1ゴール2アシストをマークした。
途中出場でのデビューを経て、初先発した新天地2戦目には、51分に2枚目のイエローカードを受け、まさかの退場とった。
ただ、チームはファレンセに2-0で快勝したなか、「向こうに行って初先発でレッドを受けるって、普通の人じゃできないので、逆に(前向きに捉えています)。負けてたらあれですけど、その試合は勝ったので別に良かったかな」と言ってのけるのだから、なんとも頼もしい。
初先発で退場さえもポジティブに――いかなる時も前へ前へと進む24歳にとって、支えになっている言葉があるという。以前、京都でヘッドコーチを務めていた長澤徹氏からのメッセージだ。
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プロになって最初の2年間は全く試合に出れなくて、ずっと練習していて、3年目にようやくちょろっと試合に出て活躍し出した時に、ちょっと沈む時期があったんですよ。
その時期に「お前はどん底を経験してるんだから、試合でちょっとミスしたり、試合に出れなくなっただけで、沈むことないだろ」「どうやったら試合に出て活躍できるか、復活できるか、お前は身を持って体験してんだから」って言われたのがずっと心の中にあります。
今もだし、海外に行ってた時、ヴェルディにいた時も、自分の場合ずっと浮き沈みしながら成長していく選手なんですけど、その言葉を言われてから、沈んだ時に嫌な気にならなくなりましたね。逆に「成長してる」みたいな方向に捉えられるようになりました。
多分それがあったから、強気な発言もできてるんだと思うし、メンタル的な部分も成長したのかなって思います。
※このシリーズ了
取材・構成●有園(サッカーダイジェストWeb編集部)
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