この12月2日以降、健康保険証は「マイナ保険証」に一本化され、「紙の保険証」の使用は原則不可となるが、国がゴリ押しする制度改悪の矛盾は拡大の一途をたどっている。
政府の発表によれば、10月末時点におけるマイナンバーカードの保有率は79.9%。このうちマイナ保険証の登録率は87.8%で、利用率はわずか37.14%に留まっている。
逆に言えば、いまだ2割の国民がマイナ保険証どころかマイナンバーカードすら保有していないという実態が浮かび上がってくるのだ。
本サイトが8月27日に公開した記事で指摘したように、この間、政府は利用者をはじめとする現場の声を無視し、暫定措置でその場をしのぐ大迷走を続けてきた。その挙げ句に断行される今回のマイナ保険証への一本化をめぐっては、ザッと列挙しただけでも、以下のような大きな問題点が指摘されている。
●必要なシステムが導入されていないなど、いまだにマイナ保険証に対応できない医療機関や薬局が数多く存在する
●システムのトラブルに備え、利用者はマイナ保険証登録時に交付される「資格情報のお知らせ」を、マイナ保険証とセットで常に携行する必要がある
●かかりつけ医への通院であっても、マイナ保険証で診療を受ける際にはその都度、4ケタの暗証番号を入力しなければならない
●マイナ保険証の利用時に暗証番号の入力を3回続けて間違えると使用不能となり、市町村の窓口などに出向いてロック解除の手続きをしなければならなくなる
●マイナンバーカードにはカードそのものの有効期限(10年)とは別に、カードに搭載された「電子証明書」の有効期限(5年)があり、利用者が電子証明書の更新を行わなかった場合、マイナ保険証も期限切れ失効となってしまう
●2026年3月までに電子証明書の更新が必要となる利用者は約1580万人に上り、期限切れ失効で保険診療を受けられなくなるケースが続出するおそれがある
●マイナ保険証に記録される処方薬情報のデータ更新には1カ月程度かかるため、利用者は医療機関や薬局の窓口で「紙のお薬手帳」を常に提示する必要がある
いかがだろうか。政府は期限切れとなっている紙の保険証の使用を来年3月まで認める暫定措置に乗り出したが、まさに屋上屋を重ねるがごとき慌てっぷり、デタラメぶりではないか。
そもそも「保有は任意」とされているマイナンバーカードに、マイナ保険証を組み入れたこと自体がマヌケだったのだ。政府が「マイナ保険証と紙の保険証の併用」を認めさえすれば、全ての問題は解決する。まさに「過ちを改めるに憚ることなかれ」だ。
(石森巌/ジャーナリスト)

