優秀賞・努力賞に広がる多彩な視点 学生たちが見つめたホスピタリティの未来

最優秀賞の2名に続き、日本語部門・英語部門では優秀賞と努力賞がそれぞれ選ばれました。テーマはいずれも、ホテル業界の課題に向き合う中で学生が感じた疑問や理想を具体的に言葉にしたものばかりです。ここでは、その多彩な取り組みをまとめて紹介します。
◆日本語部門の優秀賞・努力賞
日本語部門の優秀賞には、昼間部ホテル科1年の上野華蓮さんが選ばれました。テーマは「ホテルの1泊から始まる地球の未来」。ホテルが持続可能性に取り組まなければ2030年に生き残れないという危機感から、環境配慮を“見える化”し、宿泊者が楽しみながら参加できる仕組みを提案しました。
努力賞には3名が選出されています。
・高木翼さん「人は補助でこそ輝く」
・原田未輝さん「プログラムできない心」
・丸山和紗さん「働く人の夢を応援できるホテル」
いずれも、働く人の個性や思いに寄り添い、ホテルがどうすれば人を支えられるのかを考えた内容となっていました。現場で目にする小さな気づきから、未来の働き方にまで視野を広げている点が印象的です。
◆英語部門の優秀賞・努力賞
英語部門で優秀賞を受賞したのは、昼間部英語専攻科2年の若林美幸さんです。テーマは「The Future is Immersive(没入型の未来)」。マーケティング理論を手がかりに、ARなどの最新技術を活用することでホテルの理念をより深く体験として伝えられる未来を描きました。
努力賞には以下の3名が選ばれました。
・齊間夕樹乃さん「Partners for the Future(伴走者として見る景色)」
・小野愛美さん「Beyond Differences(違いをこえて)」
・久保愛美さん「One team」
お客様との関わり方、スタッフ同士の協力関係、多様性への向き合い方など、それぞれの視点からホスピタリティを再解釈した発表が並びました。学生一人ひとりが異なるアプローチで業界の未来を考えていることが伝わるラインナップとなっています。
観光需要増と人手不足の時代に、多様な視点を育てる“実践教育”の価値

ホテル・旅館を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しています。訪日外国人旅行者は増え続け、2025年の暦年でも高い水準で推移しています。観光需要が高まる一方で、人手不足は依然として深刻です。特に東京都心ではラグジュアリーホテルの開業が相次ぎ、業界全体として「新しいサービスを提供したいのに人が足りない」という状況が続いています。
こうした背景の中で、将来の担い手がどのような価値観を持ち、どんな提案を生み出すのかはますます重要になっています。専門学校日本ホテルスクールが弁論大会を続けている理由には、この“変化の時代を生きる力”を学生に身につけてほしいという思いがあります。
同校は開校以来、産学連携を軸とした実践教育を積み重ねてきました。弁論大会に業界トップの総支配人や企業の代表者が審査員として参加するのも、机上の学びだけでなく「社会とつながった学び」を大切にしているからです。現場で働く人の視点を学生が直接知る機会は、ホスピタリティの本質を理解するうえで大きな意味を持っています。
学生たちの発表からは、環境問題、接客のあり方、多様性、チームワークなど、業界が抱えるテーマを幅広く捉えようとする姿勢が感じられました。変化が続くホテル業界で求められる視点を、学生たちがどのように考え、どんな未来像を描いているのか──。そのプロセスを見守ることが、この大会の大きな価値と言えます。
