巨人・阿部慎之助監督のコメントの通りであれば、田中将大の次回登板は9月28日のヤクルト戦ということになる。しかし同日のマウンドは日米通算200勝の快挙がかかった大舞台だけでなく、「投手・田中」の命運を左右するものとなりそうだ。
「前回登板の9月21日の試合を落とし、ナイトゲームでDeNAが勝ったため、巨人の2位浮上は絶望的となりました。巨人、DeNAともにこの時点で残り試合は6、68勝64敗5分のDeNAに対し、巨人は67勝67敗3分。巨人が残り6試合を全勝したとしても、DeNAとの直接対決は2試合なので、他球団に4勝すれば勝率で上回れません」(スポーツ紙記者)
つまり、21日の中日戦を田中で落としたことで、巨人は自力での2位浮上の可能性を喪失してしまったことになる。
「田中は楽天時代の昨年9月28日のオリックス戦に登板し、敗戦投手になっています。この年の1軍初登板でしたが、チームのAクラス入りがかかった大事な一戦でした」(楽天関係者)
田中は2年連続でしくじってしまったのだ。
「マー君、神の子、不思議な子」と、かつての楽天・野村克也監督が称したように、負けがつかない強運の持ち主だった。その強運はどこにいってしまったのか。もう使い果たしてしまったのだろうか。
球界OBが言う。
「投球スタイルも変わりました。21日の3回以降はカットボールを交え、タイミングを外したり、バットの芯を外してゴロアウトを取っていました。力でねじ伏せる若手時代の投球ではありませんね」
僅かなコントロールミスが命取りになる…そんなコントロール重視の投球が今のスタイルだ。投球スタイルが年齢とともに変わるのは仕方ないことだが、田中には経験によって培われた配球術がある。今シーズン中に200勝を達成してもらいたいものだが、こんな声も聞かれるのだ。
「巨人の選手も田中に勝ってもらいたいと、いつも以上に力が入っているようです。プレッシャーにはなっていませんが、ヨソいきの野球になってしまうんでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
守っている野手を鼓舞するようなピッチングを見せなければならない。「運」はまだ残っているのか。田中が「神の子」に戻れなければ、200勝に到達後も苦しい投球が続くのではないだろうか。
(飯山満/スポーツライター)

