前橋市の小川晶市長(42)が部下の幹部職員とラブホテルに通っていた問題で、小川市長は11月25日に市議会議長に退職願を出し、27日の議会で認められ辞職した。理由について、「どれだけ謝っても尽きるものではない」「自らの行動に対するけじめをつけることが最善」などと説明しているが、7日前まではそうした理由で辞職を求める市民の声を受け入れる姿勢はなかった。なぜ小川市長は突然真逆の方針転換に打って出たのか――。
市民との対話集会、定例会見でも「辞める考えはない」としていた
「市議会側は11月27日の定例市議会開会日に小川市長の不信任決議案を採決する予定で、これが可決され、10日以内の市長の辞職か失職、議会解散のどれかに進む公算がありました。
小川市長は不信任議決を避けるにはその前に辞職するしかなかったのですが、25日に辞職の意向があると周囲に伝え、閉庁間際の夕方5時に富田公隆・市議会議長に退職願を出しました。これで議会は不信任決議案の提出を見送り辞職を受け入れました」(地元記者)
そんな中、25日夜に小川市長は自身のXに辞職を知らせる長文を投稿。
〈市議会の皆さまからいただいたご意見を真摯に受け止め、悩み抜いた末の判断です。(中略)
前橋の未来に不可欠な議論が控えているこの時期だからこそ、一度市長職を離れ、自らの行動に対するけじめをつけることが最善だと判断しました。(中略)
私の行動が市民の皆さんにご迷惑や誤解を生んでしまったことは、どれだけ謝っても尽きるものではありません。だからこそ、今回の決断をもって一度立ち止まり、自らの姿勢を正し、信頼を取り戻すために全力で行動してまいります。〉
文章のあちこちで辞職後の出直し市長選に出馬する意向があることを示唆しており、スキャンダルの“みそぎ”を済ませるための辞職であることがうかがえる。
ポストの文面では市民に謝罪しているものの、問題はまさにこうした理由で辞職を求める声を、小川市長自身が直近まで拒み続けたことだ。
「市長は14日の市民との対話集会でも18日の定例会見でも、辞める考えはないとしながら出直し市長選になれば立候補する意向を示していました。議会が不信任を議決するなら議会解散でなく失職を選び、再び信を問う、との意味ですが、そのわずか1週間後にそれまでまったく言及してこなかった辞職を突然言い出した形です」(前出・地元記者)
「彼女なりに早期選挙での勝ち筋を見つけたんでしょう」
9月24日にラブホ通いが発覚してから、前橋では「市のイメージがめちゃくちゃになる」「子どもたちまで小川氏のことを“ラブホ市長”と呼んでいるので、小川晶の名が書かれた表彰状はもらいたくない」との市民の声が噴出した。
だが市議会から事実上辞職を求める「早期の決断」を求められた小川市長は、事態勃発から3週間たった10月17日に“続投宣言”。
その内容の核心はこうだ。
「喫緊の課題も山積しています。辞任や出直し選挙等も考えましたが、まず選挙の時の公約を1日でも早く果たしてほしいという市民の強いお言葉をいただき、ここで退くのではなく、掲げた公約を実現することが私に課せられた責任であると改めて職責の重さを感じるに至りました。どのような状況にあっても、市民生活を支える行政を止めることはできません」
少なくとも11月18日までは“いかなる状況でも行政を止めない”と決意してた小川市長だが、わずか1週間で“謝り切れない”“一度立ち止まる”に激変したわけだ。
小川市長に批判的な自民党系の市政関係者はこの動きを「彼女なりに早期選挙での勝ち筋を見つけたんでしょう」とみる。
「市長が任期途中に職を失えば、その翌日から50日以内に出直し選挙が行われます。今のところ来年1月5日告示、12日に投開票になるでしょう。不信任決議案が可決されていればさらに最長10日先になっていたのが短期決戦になりました」(同関係者)
出直し選に出馬する公算が高いとみられる小川市長は「よくも悪くも候補者としての知名度は圧倒的」な存在だ。

