皆さん、「地味なできごとを面白く描いている漫画」って言われたら、どんな作品が思い浮かびますか?
この記事で書きたいことは、大体以下のようなことです。
・1巻完結の漫画って、作者さんのセンスと読み味が、短い展開の中にぎゅっと詰まっててとても良いですよね
・個人的ベスト「1巻完結漫画」としては、岩明均先生の『雪の峠・剣の舞』をあげたいです
・特に前半の短編『雪の峠』、「佐竹家の城をどこに建てるか」という話で、地味なテーマなのにとにかく面白い
・史実のエピソードを背景に、駆け引きあり、策略あり、意外な展開あり、組織論あり、爽快な後味ありと、限られた枠内で絶妙の完成度
・「ちょんまげのおっさんたちが会議してる場面が最高に面白い」という稀な一作
・「地味なテーマを面白く描く」ってすごく難しいと思うんですよね
・あと内膳の奥さんが、岩明作品でトップを争うんじゃないかと思うくらい可愛い
・ちなみに、上泉信綱(かみいずみのぶつな)の高弟である疋田景兼(ひきたかげとも)が主役の『剣の舞』ももちろん超面白いです
・唯一最大の欠点は電子化されていないこと
以上です。よろしくお願いします。
ということで、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、あとはざっくばらんにいきましょう。
ライター:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ、三児の父。ダライアス外伝をこよなく愛する横シューターであり、今でも度々鯨ルートに挑んではシャコのばらまき弾にブチ切れている。好きなイーアルカンフーの敵キャラはタオ。
Twitter:@shinzaki
「1巻で完結する漫画」のお勧めを聞かれたら、何を選ぶか?
1巻で完結する漫画のお気に入りってあるでしょうか? 話の尺が短くて、詰め込む情報の厳選が必要な分、作者さんの持ち味や描写がぎゅっと凝縮されていて、連載漫画とはまた違った、独特の味わいがありますよね。
もちろん、「1巻で完結する漫画」といっても色々なカテゴリーがあります。いくつかのエピソードが入った中・短編集もあれば、1冊まるごと1つの物語というのもありますし、続きそうなのにここで終わっちゃうのかもう少し読みたいな、という作品だってあります。
しんざきのお気に入りで言うと、萩尾望都先生のSF大傑作『11人いる!』とか、1冊なのに10冊分くらい読んだ気がする藤本タツキ先生の『ルックバック』、床をごろごろ転がりたい時にお勧めの恋愛もの『伊藤さん―秋★枝短編集』、優しい読み味なのにどこかふわふわとした不思議なエピソード集であるちょめ先生の『室外機室』あたりは鉄板だと思っている次第ですが、その上で。
「何か一作、自分の中でのベストの作品を選べ」と言われれば、『寄生獣』や『ヒストリエ』の作者である岩明均先生の『雪の峠・剣の舞』をあげると思います。
『雪の峠・剣の舞』は、戦国時代~安土桃山時代から、『雪の峠』と『剣の舞』、2つのエピソードが収められた歴史漫画の中編集です。どちらのエピソードも超面白いのですが、本記事では主に『雪の峠』を中心に、この作品がいかに面白いかについてご紹介したいと思います。
史実を元にした作品とはいえ、多少のネタバレが混ざってしまうことについてはご承知ください。

