おこづかいは現金じゃなく「電子マネー」にシフト
お金の渡し方に関しても、時代と一緒にアップデートしていきたいところ。
私は、子どもへのおこづかいも、現金ではなく「電子マネー」で十分だと考えています。
財布で現金を持ち歩き、その都度お金を取り出して、支払って、お釣りを受け取って……ということが必要のない世の中に移行しつつある今、子どもの「お財布」はスマホでOKです。PayPayなどの「決済アプリ」をインストールしておけば、それが親子で管理できる便利な財布になります。
たとえば、PayPayをスマホに入れると、ポイントの使い方を「貯める」「運用する」「支払いに使う」から選べる設定があります。お金をただ“使う”だけでなく、増やす視点も自然と身につく設計。これが、電子マネーならではの学びの可能性です。
その上、親側からもスマホでさくっとチャージができるから、忙しい時でも子どもの「今すぐ必要!」に即座に応えられるのが助かるポイント。また、使った金額やお店、日時などの履歴が残るのも電子マネーのいいところ。あとから「何にいくら使ったか」を親子で一緒に見返せるので、お金の流れを自然に理解する力も育っていきます。
実際、アメリカではついに「1セントコイン(ペニー)」の新規製造を2026年初頭までに中止する予定だそうです。小銭の価値が下がり、キャッシュレスへの移行がどんどん進んでいる、世界的な流れの象徴ですよね。
そんな時代に、必要なときだけチャージして、履歴で使い方をチェックする。この小さな習慣が、未来のキャッシュレス社会を生きる土台になるはずです。
お年玉は「海外通貨」、お祝いは「仮想通貨」で
お年玉やお祝いでもらう、ちょっとまとまったお金。もしその一部を“海外通貨”や“仮想通貨”で渡されたら、子どもはびっくりするかもしれません。
でもこれ、すごくいい“リアルなマネー教育”になるんです。
たとえば、ドルやユーロなどの海外通貨。
円安や円高で価値が日々変わる様子を見ることで、「お金の価値っていつも同じじゃないんだ」という経済の大原則を、自然と体感することができます。
私自身、中学生の頃に海外で生活した経験があるのは前述のとおりですが、当時、同じ1万円でも「現地で買えるものの量」が国ごとに大きく異なることに驚き、為替レートの影響を初めて実感しました。この体験が、「お金の価値は国によって変わる」という現実に目を向けるきっかけとなり、世界経済への関心が芽生えたのです。
「世界経済の変化は、自分にも影響する変化」という経済の大前提が頭と体にインプットされると、国内だけでなく、世界中の経済に対してアンテナが向くようになって、お金に対する概念が大きく変わりました。
そして最後に、仮想通貨。
これももはや、新しい“デジタル資産”として当たり前になりつつある時代。価格が大きく動くたびに「投資ってドキドキするね」と実感できたり、「貯金とはリスクの性格が違うんだ」と肌で学ぶきっかけになります。
“円でしか持たない”という思い込みから自由になれば、子どもの「経済センス」は一気にアップグレードされます。
世界とつながるお金の流れに、小さく一歩踏み出してみる。それだけで、未来の選択肢はグッと広がるのです。
とはいえ、海外通貨も仮想通貨も、日常的に使う電子マネー(たとえばPayPayなど)とは異なり、実用性には限りがあります。あくまでも「使うため」ではなく、「学ぶため」に渡すもの、という割り切りは必要。そのため、勉強料としてなくなっても仕方ないと思えるほどの額を渡せば十分。
現代的なマネーリテラシーを身につけるため、価格の変動を冷静に見極めるサバイバル能力を養うための、学習ツールとして活用してください。

