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【北中米W杯出場国紹介|第5回:キュラソー】百戦錬磨の指揮官が欧州基準の戦術的秩序をもたらす。ビッグサプライズを起こしてもおかしくない

【北中米W杯出場国紹介|第5回:キュラソー】百戦錬磨の指揮官が欧州基準の戦術的秩序をもたらす。ビッグサプライズを起こしてもおかしくない


 地図を広げれば、点のように見える南カリブ海の島国が、サッカーの“世界最大の舞台”にたどり着いた。

 北中米カリブ海予選を勝ち抜いたキュラソーの人口は約15万人。2018年のロシア大会に出場したアイスランドの33.5万人(当時)を大きく下回る、“W杯最少国”となる。

 日本プロ野球の東京ヤクルトスワローズなどでホームランを量産したウラディミール・バレンティンの出身国でもある。スポーツ全般で身体能力の高いアスリートを輩出してきた背景が、サッカーにも活かされている。

 オランダ王国を構成する一地域だった歴史を経て、1958年のスウェーデン大会から「オランダ領アンティル」として予選に参加し、2014年のブラジル大会からは「キュラソー」に。18回目の挑戦で手にした本大会の切符は、まさに悲願と言っていい。

 今回の北中米カリブ海の予選は、開催国枠でアメリカ、メキシコ、カナダが免除され、そのほかの国々でわずか3.5枠を争うレギュレーションだった。キュラソーのグループはジャマイカ、トリニダード・トバゴ、バミューダ諸島が同居する組み合わせだったが、格上と見られたジャマイカにホームで2-0と勝利し、予選突破のかかったアウェーの最終決戦もスコアレスドローで乗り切った。
 
 最終的な予選成績は6試合で3勝3分けの無敗。失点はわずか3という堅守ぶり。その功労者が、元オランダ代表監督のディック・アドフォカートだ。ヨーロッパのクラブや代表の監督を歴任した百戦錬磨の指揮官は、キュラソーに欧州基準の戦術的秩序を持ち込んだ。オランダが伝統とする4-3-3を軸に、ブロックのスライドや縦方向の連動性を徹底。守備の安定は、まさにアドフォカートの手腕を象徴している。

 その戦い方を支えるのは、キュラソーにルーツを持ちながら、旧宗主国のオランダなど、欧州で生まれ育った選手たち。近年の代表強化の流れは明確で、自国生まれの選手の育成と並行して、欧州主要リーグの経験を持つ選手を継続的に招集。チーム力を底上げした。

 FIFAランキングは2015年12月に151位だったが、現在は82位。わずか10年での目を見張るジャンプアップは、育成とスカウティング、そして欧州組の流入が相乗効果を生んだ結果と言える。
 
 攻撃はシンプルなサイドアタックがメインとなる。ウイングには、ケンジ・ゴレやソンチェ・ハンセンら、突破力と推進力に優れた選手を擁し、彼らのドリブルがハマった時の得点力は強豪国であっても手を焼くだろう。

 攻守の要となるのは、キャプテンのレアンドロ・バクーナだ。34歳のボランチは現在、トルコでプレー。プレミアリーグのアストン・ビラ在籍時にはサイドバックとして名を馳せたが、現在は中盤の舵取り役として不可欠な存在となっている。広い視野とゲーム管理の巧さは、若い選手が多いチームに安定感をもたらしている。

 前線ではユルゲン・ロカディアがエースに君臨する。かつてオランダの名門PSVやプレミアリーグのブライトンで活躍したストライカーはオランダ生まれだが、祖国でのW杯出場を目ざすため、2023年にキュラソー代表を選択した。

 現在は無所属ながら、193センチのサイズを利したフィニッシュワークは依然として脅威で、コンディションさえ整えば、攻撃の核となることは間違いない。
 
 さらに期待の新星として、21歳のジョルディ・パウリナが台頭してきた。ドルトムントのセカンドチームに所属する191センチのストライカーで、昨シーズンのDBFポカールで、トップチームのデビューも果たしている。

 代表デビュー戦となった11月のバミューダ諸島戦でいきなり2得点。フィジカルとスピードを兼ね備えたストライカーは、本大会でブレイクするポテンシャルを秘めている。

 W杯の抽選ではポット4に入るため、グループステージで対戦する3チームはいずれも格上となるが、予選から見せてきた一体感と選手のポテンシャルを考えれば、本大会でビッグサプライズを起こしてもおかしくない。初出場のキュラソーが、世界の舞台でどんな物語を紡ぐのか。

文●河治良幸

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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