乃木坂46・久保史緒里の卒業コンサートが、11月26日と27日、神奈川・横浜アリーナにて開催された。2016年9月4日に3期生としてグループに加入した久保の9年間にわたるアイドル人生を総括する、圧巻のステージが展開された。
■久保史緒里の“乃木坂愛”が感じられた演出
11月26日公演は和の装いのオープニングからスタート。和傘や扇子などを手にしたメンバーに導かれ、人力車に乗った狐面姿の久保がアリーナ後方から登場した。狐の嫁入りを思わせる演出の後、メインステージに到着すると、狐面を外した久保が凛とした表情で「不等号」をパフォーマンスした。
その後も、期別ブロックやユニットブロックなど彼女のこだわりが随所に感じられる選曲と構成でライブは進行し、同日にリリースされたばかりの40thシングル「ビリヤニ」もライブ初披露。アンコールでは久保がリスペクトする先輩・生田絵梨花のソロ曲「歳月の轍」を1人で歌唱する場面もあり、久保の乃木坂愛が感じられた公演となった。
■「人は夢を二度見る」で久保史緒里が単独センターに
11月27日の公演は、久保の「乃木坂46久保史緒里卒業コンサート、開幕します！」を合図に、全メンバーが黒地に金をあしらったドレスで歌い踊った「不眠症」からスタート。以降も「何度目の青空か？」「走れ！Bicycle」「太陽ノック」と初期のヒットシングルを続けて披露し、アリーナ外周やセンターステージ、後方サブステージなどを使ってファンを魅了。梅澤美波からは「久保史緒里、乃木坂人生最後の日。全力で駆け抜ける彼女の姿を見届けてください」というメッセージが届けられた。
久保が「走れメロス」を朗読する映像に続いて、「Never say never」から参加ユニット曲ブロックへ突入した。「平行線」を3期生の梅澤、伊藤理々杏、岩本蓮加、吉田綾乃クリスティーと披露した後には「雲になればいい」で林瑠奈、松尾美佑とともにまっすぐな歌声を届けた。そして、遠藤さくら、賀喜遥香、金川紗耶、佐藤璃果とともに「価値あるもの」を歌い上げた。
合唱コンクールを題材にしたドラマ映像を挟み、ダブルセンター楽曲ブロックが始まった。「今、話したい誰かがいる」では3、4、5、6期生をシャッフルした編成で、久保と吉田を中心に披露された。また、「嫉妬の権利」では林、「ありがちな恋愛」では井上和とそれぞれダブルセンターを務め、久保がシングル表題曲で唯一(ダブル)センターに立った「人は夢を二度見る」では、久保が単独でセンターに立った。
「ドーナツ」と題した幕間映像では、久保と縁の深い平祐奈や古田新太らが特別出演し、ファンからはどよめきが起きた。久保のソロパートにフィーチャーした「狼に口笛を」でライブが再開すると、曲中、「宮城から来た人？」「今日、誕生日の人？」「私よりも久保さんが好きな人？」などのやり取りでファンとコミュニケーションをとる場面も見られた。次いで、「私のために 誰かのために」を柴田柚菜、林の3人で美しいハーモニーを作り上げ、会場が感動的な空気で包まれた直後には、早着替えした久保がヘビーなビートに合わせてキレのあるソロダンスを決め、その勢いのまま「日常」を披露した。
■「私たちが3期生だ！」「3期生、ありがとう！」
ライブが折り返しに差し掛かると、久保は6期生とともに「タイムリミット片想い」を披露。続く「絶望の一秒前」では5期生とともに力強さを表現、「4番目の光」では4期生1人1人と寄り添いながらの歌唱で魅せ、スクリーンを通じて4期生から久保へのメッセージが届けられるサプライズもあった。3期生の歌唱から始まった「設定温度」では、6期生、5期生、4期生という順番で歌い継いだ。
そして、ステージに全員集合すると、1期生の楽曲「Against」、2期生の楽曲「アナスターシャ」と、乃木坂46の礎を築き上げた卒業メンバーの楽曲を堂々と歌い上げた。最後には、ステージに残った3期生5人で原点の1曲「三番目の風」を満面の笑みでパフォーマンス。梅澤の「私たちが3期生だ！」という力強い咆哮に呼応するように、久保が「3期生、ありがとう！」と叫ぶ場面もあり、ライブは次第にクライマックスへと近づいた。
久保のピアノ演奏による「きっかけ」から始まった最終ブロックでは、「最後のTight Hug」「君は僕と合わない方がよかったのかな」といった乃木坂46らしさが凝縮されたエモーショナルなミディアムナンバーを立て続けに披露。今回の公演で唯一2日とも披露された「シンクロニシティ」では、初日の梅澤に替わり久保がセンターを務め、その表現力の高さを提示した。
本編ラストに披露されたのは、久保がセンターに立つ3期生の楽曲「僕が手を叩く方へ」。オーディション合格時から近年までの思い出の映像がバックに流れる中、温かな歌声を届け、約2時間にわたるライブ本編は幕を下ろした。
■松本潤と有村架純のナレーションで両親からの手紙が披露
ファンからの「久保史緒里コール」が鳴り響く中、いよいよ久保の卒業セレモニーに突入。久保の父親と母親からの手紙が、大河ドラマで共演した松本潤と有村架純のナレーションで伝えられると、純白のドレスを着用した久保がステージに登場した。改めて9年間支えてくれた家族、そしてスタッフへ感謝の言葉を告げた。
そして、「いろんなことがあった9年間でした。きっと、皆さんも『ああ、どこかに消えちゃうんじゃないかな』と思う日もあったと思います。だけど、周りの皆さんのおかげで、ちょっとだけ強くなれたんじゃないかなと思います」と口にすると、「ここ最近、自分が卒業する実感があまりなくて。メンバーも周りのスタッフさんも、ファンの皆さんも『本当に卒業するの？』って言ってくださって。すごく嬉しいことだったんですけど、それをこの1日で実感してしまいました」と本音を吐露。
さらに「私にはもうひとつ、(卒業を)実感した出来事があって」と、先日出場が決まったNHK紅白歌合戦に自分が参加できないことで、喜ぶメンバーの姿を遠くから見守ることしかできなかったと告げ、「ああ、やっぱり寂しいな、まだまだみんなと一緒にいたいな、この時間が永遠に続けばいいのに、と思ってしまいました」と心の内を明かした。そして、「皆さんは『乃木坂46になってくれてありがとう』って言ってくれるけど、私はただただ乃木坂46が大好きで、夢のような時間を過ごしていただけて、感謝されるとは思っていませんでした。乃木坂46の久保史緒里を愛してくれて、本当にありがとうございました。決して近道ではない乃木坂人生でしたが、悔いなく卒業することができそうです」と改めて感謝の言葉を届けた。
そんな久保が9年分の思いをたっぷり込めて、卒業に際して贈られたソロ曲「夢の匂い」をライブ初披露。MVの世界観を踏襲した幻想的な空気の中、彼女らしい繊細な表現で見事に歌い上げた。
■「思い出ファースト」ではアリーナ外周を練り歩きファンに感謝
「最後は笑顔で久保を送り出しましょう」という梅澤の言葉に続いて、メンバー全員で「キャラバンは眠らない」「ダンケシェーン」を披露。客席が久保のペンライトカラーである水色と黄色で染まる中、最後は遠藤の「やっぱしーちゃんだな！」という言葉で締めくくられた。
梅澤は「改めて久保の才能に触れた、それに気付かされた2日間だったと思います」とこの2日間を振り返った。そして、「こんなに乃木坂46を愛してきた人に、卒業後もずっと好きでいてもらえるグループになることが新しい目標」と久保に伝え、メンバーから久保へのメッセージが流れた。
そして、久保の「乃木坂人生最後は、この曲で締めくくりたいです！」という言葉とともに「思い出ファースト」に突入。久保を先頭にメンバーがアリーナ外周を練り歩き、ファンに向けて最後のあいさつに回った。曲中、久保は「最高の9年間でした！ ありがとう！」と叫ぶ場面もあり、最高の笑顔で自身の卒業コンサートを終えた。
■久保史緒里「過去も未来も、ずっとずっと乃木坂46が大好きです！」
最後には、6期生を代表して矢田萌華が「史緒里さんは私たちの希望で、私たちの道標でした。史緒里さんが愛した乃木坂46をこれからも守っていきます」、5期生代表の井上が「久保さんが乃木坂46に残してくださったもの、ちゃんと私たちも受け継いでいきます」、4期生代表の遠藤が「ずっと4期生のことを大事に思ってくれてありがとうございました」とあいさつをし、最後に3期生代表として梅澤が「私たちはいつだって乃木坂46の3期生だから。こんなにカッコいい同期を持って幸せです！」と思いを伝えた。
メンバーからの思いを受け、久保は最後に「この2日間、そして9年間、魂の限り踊り尽くしました、歌い尽くしました。私をここに導いてくださった先輩方、私と出会ってくれた同期、そしてこれからを進む後輩たち。過去も未来も、ずっとずっと乃木坂46が大好きです！」とメッセージを送り、9年間におよぶアイドル人生を完結させた。
■乃木坂46「久保史緒里 卒業コンサート」
◇11月26日(火)、11月27日(水)◇神奈川・横浜アリーナ
＜出演者＞
乃木坂46
＜11月26日セットリスト＞
00. Overture
01. 不等号
02. 生まれたままで
03. 13日の金曜日
04. My rule
05. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
06. なぜ 僕たちは走るのか？
07. 熱狂の捌け口
08. I see...
09. 毎日がBrand new day
10. Hard to say
11. 意外BREAK
12. せっかちなかたつむり
13. 光合成希望
14. 言霊砲
15. シンクロニシティ
16. ごめんねFingers crossed
17. Actually...
18. 涙がまだ悲しみだった頃
19. 孤独な青空
20. 好きというのはロックだぜ！
21. ビリヤニ
22. 未来の答え
23. 泣いたっていいじゃないか？
24. 帰り道は遠回りしたくなる
25. 羽根の記憶
26. 君の名は希望
EN1. 歳月の轍
EN2. サヨナラ Stay with me
EN3. 甘いエビデンス
EN4. ひと夏の長さより…
＜11月27日セットリスト＞
00. Overture
01. 不眠症
02. 何度目の青空か？
03. 走れ！Bicycle
04. 太陽ノック
05. 錆びたコンパス
06. Never say never
07. 平行線
08. 雲になればいい
09. 価値あるもの
10. 今、話したい誰かがいる
11. 嫉妬の権利
12. ありがちな恋愛
13. 人は夢を二度見る
14. 狼に口笛を
15. 私のために 誰かのために
16. 日常
17. タイムリミット片想い
18. 絶望の一秒前
19. 4番目の光
20. 設定温度
21. Against
22. アナスターシャ
23. 三番目の風
24. きっかけ
25. 最後のTight Hug
26. 君は僕と合わない方がよかったのかな
27. シンクロニシティ
28. 僕が手を叩く方へ
EN1. 夢の匂い
EN2. キャラバンは眠らない
EN3. ダンケシェーン
EN4. 乃木坂の詩
EN5. 思い出ファースト
