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楠木ともり2ndアルバム発売「自分の目で見たもの、感じたものをもっと丁寧に扱いたい」

楠木ともり2ndアルバム発売「自分の目で見たもの、感じたものをもっと丁寧に扱いたい」

【写真を見る】「チェンソーマン」(マキマ役)などの作品に出演する声優・楠木ともり
【写真を見る】「チェンソーマン」(マキマ役)などの作品に出演する声優・楠木ともり

声優としても活躍している楠木ともりから2ndアルバム『LANDERBLUE』が届けられた。「シンゲツ」(アニメ『魔王学院の不適合者Ⅱ 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜』エンディングテーマ)、「back to back」などの既存曲を収めた本作のコンセプトは、彼女自身の誕生石であるターコイズ。石言葉は、成功、自由、繁栄。「御守りのように心強い味方になれますように」という願いを込めた本作について、彼女自身に語ってもらった。

■「受容」「受け入れる」という感覚が大きくなってきたんです

——2作目のフルアルバムが完成。11曲中9曲が楠木さんの作詞・作曲ですね。

やっぱり達成感がありますね。アルバムの制作が決まって、かなりたくさん新曲を書かないといけなくて。指針がないと筆が止まっちゃうんじゃないかと思ったので、まずコンセプトを決めたんです。私のチームにはプロデューサー的なポジションの方がいなくて。統括するのは自分なので、みんなで同じ方向に進むためにも共通のテーマが大事だなと。

——アルバムのコンセプトは12月生まれの楠木さんの誕生石、ターコイズ。それをもっとも強く反映しているのが11曲目の「turquoise bule」です。

コンセプトを決めた直後に取り掛かったのが「turquoise bule」ですね。これまでの曲は「目の前の壁を乗り越える」「ぶつかっていく」「抗う」というパワフルなものが多かったし、聴いてくれる方もそういうイメージが強かったと思っていて。でも、アーティストデビュー5周年を迎えて、年齢的にも25歳になり、「受容」「受け入れる」という感覚が大きくなってきたんです。冷静に俯瞰して「自分ではどうしようもないことだから、受け入れよう」という判断ができるようになってきたし、そのうえで「じゃあ、どうしようか?」と考えるというか。そういう変化を曲に落とし込んだのが「turquois blue」。音数が少なくて、穏やかな感じの表題曲は初めてですね。
声優・シンガーソングライターとして活動する楠木ともり
声優・シンガーソングライターとして活動する楠木ともり


■一度でいいから、曲順どおりに聴いてもらえたらうれしいですね

——1曲目の「twelve」は、アルバムのプロローグ的な役割の楽曲。

楽曲が揃って、全体像が見えてきた段階で、この世界にスッと入ってきてもらえる曲を1曲目に置きたいと思って。アルバムは11曲入りなんですが、最後の「turquoise blue」の後、また「twelve」に戻ってきてもらえば12曲目ということになるのかなと。あと、歌詞の一行一行もすべて12文字にしてるんですよ。

——「黒い風は音を立てて / 私の横を通り過ぎ」……ホントですね!

そうなんです(笑)。今回のアルバムは曲間の長さにもこだわっていて。一度でいいから、曲順どおりに聴いてもらえたらうれしいですね。

——5曲目の「優等生」はダークファンタジー的なサウンドの楽曲。

これまでは幅広く、いろんな人に共感してもらえることを意識していたんですが、5th EP「吐露」くらいから、特定の人に向けて、テーマを絞ってつくるのもいいなと思い始めて。今回のアルバムでも、そういう曲を入れたかったんですよね。「優等生」のテーマとしては……私、中学生くらいまで頑張って優等生してたタイプなんです。素の自分は全然そんなことないんですけど(笑)、勉強もある程度頑張って。そうすると周りの期待も上がるし、「優等生な自分を裏切れない」という感覚が強くなって、それがすごくしんどかったんです。頑張っても褒められない、愛が返ってことないという虚しさを感じていたし、人に相談しても「自慢?」みたいに思われて。その頃の自分を認めてあげたいし、頭をなでなでしてあげたいという気持ちでつくったのが、この曲ですね。

——セルフラブ、大切ですね。今も周囲からのプレッシャーを感じることがあるのでは?

仕事を始めてしばらくは、周りの期待に応えなきゃと思っていたし、無理をして、背伸びした自分を見せようとする部分があったと思います。それがしんどかった時期もあったんですけど、ここ数年は自分を大事にしようという気持ちが大きくなってますね。自分の目で見たもの、感じたものをもっと丁寧に扱いたいし、そうやって今度は社会人としての自分を愛せるようになるんじゃないかなって、頑張ってる感じです(笑)。
アルバム『LANDERBLUE』をリリースした楠木ともり
アルバム『LANDERBLUE』をリリースした楠木ともり


■幸いにも定期的に歌いたいこと、伝えたいことが浮かんでくる

——ポップな手触りの「Nemesia」は、言葉がテーマだとか。

言葉はすごく怖いものだと思っているんです。仕事柄、自分の気持ちや考えを言葉で表現することが多いし、それを評価していただくこともありますが、自分の中で後悔することもたくさんあって。あと、自分が紡ごうとした言葉を飲み込んだり捨てることは、自己否定とイコールだと思うんですね。言葉にすることが苦手な方もいらっしゃると思いますが、そういう方に「あなたが紡ぐ言葉だから価値があるんだよ」「自分の言葉に自信を持っていいんだよ」と伝えたい、ちょっと心が軽くなるような曲を届けたいと思ってつくったのが、「Nemesia」ですね。

——「それでも」の“あなたの声が聴きたいよ”というフレーズも心に残りました。

この曲を書いたきっかけは、すごく尊敬していて、たくさんの影響を受けたアーティストの方が亡くなられたことなんです。いつか渡そうと思って、その方に向けた手紙を書いていて。なかなか納得がいかなくて、いつか清書しようと思っていた矢先、突然いなくなってしまって……。書きかけていた手紙も消去したんですが、行き場がなくなった気持ちを曲にして残したいと思ったんですよね。自分本位の塊みたいな曲だし、アルバムに入れるつもりはなかったんですけど、人によっては「大切な人に思いを伝えたい。まだ間に合うかもしれない」という気持ちになってもらえるかなと思って、収録することにしました。

——やはり楠木さん自身の言葉、その中に込めた想いが、アーティスト・楠木ともりの軸なんでしょうね。

詞先で曲をつくっているくらいなので、やっぱり大事にしている部分ではありますね。幸いにも定期的に歌いたいこと、伝えたいことが浮かんでくるので、それが続く限り、自分で歌詞を書きたいし、それを曲にしていきたいなと思ってます。

——「このアルバムがあなたのお守りとなりますように」という願いも込められているとか。楠木さんにとってのお守りは、どんなものですか?

元気を出したいとき、落ち込んだときに聴く曲もそうですけど、モノへの愛着もだいぶ強めなんですよ。以前、担当してくださっていたマネージャーさんからいただいたハンカチがあるんですけど、ライブだったりオーディションだったり、「今日は勝負」という日には必ず持っていくようにしています。持っていると安心するし、パワーがみなぎるんですよね。

■コラム / 楠木ともりが今好きな映像コンテンツは?

「バナナマンのせっかくグルメ!!」(TBS系)
「ゾゾゾ」(YouTube)

欠かさず見ているテレビ番組は「バナナマンのせっかくグルメ!!」。自分の機嫌を取るためにおいしいものが不可欠なんですけど、グルメ番組を観ていると「みんなも食べることが好きなんだな」って思えるし、おいしいものもいっぱい知れるので。「バナナマン〜」は録画して、時間があるときに一気に観ています(笑)。

YouTubeだと「ゾゾゾ」。心霊スポット、特に廃墟に行って、本当に見えるかどうか検証するんですよ。これみよがしに驚かせるのではなくて、「ほら、ここに映ってますよ」くらいのテンションで、それが好きなんですよね。

(取材・文=森朋之)


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