2025年シーズンもMotoGPに参戦するLCRホンダに、今年から新たに日本企業のスポンサーとしてSOLIZEグループが加わった。そこには、企業の露出以外にも、厳しい世界で戦うレーサー達から刺激を受けて欲しいという社長の想いがあった。
ルーチョ・チェッキネロ代表が率いるLCRは、ホンダ陣営に属する独立チームとして長年MotoGPに参戦。最高峰クラスへの参戦は、来年で20周年を迎える。
近年は2台体制のうち1台に、出光興産がメインスポンサーとして就き、日本人ライダーの中上貴晶がそのシートを獲得し、2024年シーズンまで7シーズン最高峰クラスを戦ってきた。
そして今年、LCRホンダの新たなスポンサーとして加わったのがSOLIZEグループだ。
SOLIZEは自動車業界を中心に受託製造やエンジニア派遣、3Dプリント試作などの事業を展開している会社。彼らはグローバル展開を進める中で、東南アジア地域における事業拡大を目指し2025年2月にタイに現地法人を設立。そうした事業拡大の中でMotoGPチームのスポンサードに踏み切ったという。
SOLIZEにとって幸運だったのは、2025年は中上の後任として初のタイ人MotoGPライダーのソムキアット・チャントラが起用されたことだった。さらに当初はLCRホンダ・イデミツ側のみだったサポートを、ヨハン・ザルコの乗るLCRホンダ・カストロール側に拡大すると、彼がフランスGPで優勝したことは会社側としても思いがけないプレゼントだったという。
MotoGPチームのスポンサー就任にはそうした露出機会の増加なども当然目的としている。しかしSOLIZE側としては、社員にプラスの影響を与えたいという点も重視していたようだ。
SOLIZEグループ企業のSOLIZE PARTNERSの社長を務める井上雄介は、ライダー達の『人生賭けてやってる』ストイックさを、社員に感じてほしいのだと話した。
なお井上社長は、現職に就く以前はホンダ(HRC含む)で開発スタッフとして働いており、2010年代にはモトクロス世界選手権やAMAスーパークロス、AMAモトクロスをはじめとしたカテゴリーで活躍してきたレース畑の人物でもある。
「(レースマシンの)開発を自分が責任者となった時、もしくは設計の段階からやってきた時や、ワールドチャンピオンを取るために開発をずっとリードした経験とかがあった時に、レースの開発はすごい難しいということ以外にも、チームのみんなと一緒にそれを超えていく、という経験がすごく良かったんです」
井上社長はそう語る。
「我々は今はスポンサーとしての支援になっていますが、彼らの生き様だとか、仕事に対する向かい方というのは、普通の仕事とは全然違う世界観だったりするわけです」
「私はずっと一緒にやっていましたが、(レース界は)ストイックですし、本当に”人生かけてる”と思うんですよね」
「そういった中で、我々の会社の従業員も、それを感じてくれると嬉しいなと思っているんです。それをスポンサードしていれば、少しでも身近に感じるんじゃないかと考えています」
「もちろん中には仕事でそういうレースの開発に関わるメンバーもいるんですけど、オフィシャルにSOLIZEという名前をつけるというのは、すごくいいチャンスだなと思っています」
なおSOLIZEがスポンサーに就くことを決めるまでには、井上社長としても様々な折衝が必要だったという。しかしスポンサーに就いて半シーズン以上が経過した今では社員からの応援の声も強まっているようだ。
さらに井上社長は、MotoGPを今年買収したリバティ・メディアによる好影響も期待していると語った。
「やはりグローバルに出て行くときにモータースポーツと関わっていくというのは、自動車やオートバイに関わっている人なら重要だと思いますし、(リバティの買収は)我々としても、良い方向性だと捉えています」

