
映画『トリツカレ男』より、主人公の「ジュゼッペ」とヒロインの「ペチカ」 (C)2001 いしいしんじ/新潮社 (C)2025映画「トリツカレ男」製作委員会
【画像8枚】鑑賞前後で印象激変! こちら『トリツカレ男』メインビジュアルなどです
「タイトルとビジュアル」がハードルに?
2025年11月7日に全国公開された劇場用ミュージカルアニメ『トリツカレ男』が好評の様子です。
本作は、いしいしんじ先生の同題小説を原作とする作品で、監督は『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』など劇場版「クレヨンしんちゃん」シリーズ作品を多数、手掛けてきた高橋渉氏が務めています。アニメーション制作はシンエイ動画です。
「好評」の具体的な数字としては、公開2週目の週末成績が、初週の週末対比でほぼ100%を記録したことが挙げられます。通常、劇場公開映画の興収成績は初週から少しずつ落ちていくものなので、これは口コミや作品評によって動員が維持された結果、という見方もできるでしょう。証拠とはいえませんが傍証にはなりそう、といったところです。
そうしたなか先の3連休中日の11月23日、新宿ピカデリーにて高橋監督といしいしんじ先生によるトークイベント付き上映会が開催されました。高橋監督は「皆さんにどう届くのか心配だったが、熱いコメントを書いてくださったり、何度もご覧いただいたり、すごく愛される映画になって、監督冥利に尽きます」と述べています。
実際、各映画レビューサイトやSNSなどでも軒並み高く評価する声が聞かれ、あくまで肌感覚ですが、大半はポジティブな反応で、中立的な意見とネガティブな反応は3割前後くらいと見受けました。シンプルに絶賛/酷評するだけの短文投稿を省けば、ポジティブな割合はもう少し多くなるかもしれません。これはもう「好評」と断じてしまってよいのではないでしょうか。
本作の主人公「ジュゼッペ」の声は、アイドルグループ「Aぇ! group」の佐野晶哉さんが務めています。彼のファンによる熱心な布教活動もあったのでは、と思いきや、実のところ公開から数日間、SNS上などで本作に言及する佐野さんのファンの声は「心配になるくらい、あまり聞かれなかったですね」(20代女性)とか。
「タイトルもビジュアルも、やはりハードルになっていたのではないかと思うんです」(20代女性)
この「タイトル」「ビジュアル」については、ネット上のポジティブな投稿のなかにも批判的な向きは見られ、「ハードルになっている」という彼女の意見は妥当なものといえそうです。
なぜこのタイトルなのか、そしてなぜこのビジュアルなのか、という点については、作品を鑑賞した後だと腑に落ちるものがある(個人の感想です)とはいえ、鑑賞前にはやはり、ポジティブな材料にはなっていないのでしょう。
そうした状況からの、言ってしまえば逆転劇といえる現状があるわけです。観ればわかる、観ないとわからない良さのある作品、といったところでしょうか。
ところが今週木曜日、27日をもって、全国の多くの劇場では終映となってしまいました。公開から3週間、平均的といえば平均的な上映期間といえます。
公開劇場数は今後、ますます先細るばかりでしょう。ただ大都市を中心に上映の続く劇場はまだあります。28日夜の上映で、7割くらい席の埋まった劇場も見られました。
ミュージカルアニメは劇場のスクリーンと音響でこそ映えるもの、もし少しでも興味を惹かれたのなら、まさにいまが劇場に足を運ぶとき、といえるでしょう。
